同戦は高安が立ち合い強く当たりながら左の差し手を狙うも、御嶽海は右のおっつけでこれを阻止。しかし、なおも圧力を緩めない高安の攻めに御嶽海は少し体を引いてしまい、これを見た高安から押しを見舞われ土俵際へ追い込まれかけた。
ところが、御嶽海が押しを食らった直後、御嶽海の後方で取組を裁いていた伊之助が押された御嶽海とぶつかり、吹き飛ばされるように土俵下に転落。場内からは「あぁ~」とどよめきが挙がったが、御嶽海はこの直後に体を入れ替え逆に高安を土俵際に追い込むと、最後は体を預けるように土俵下へ押し出し勝利した。
>>場内騒然、無防備な相手を突き飛ばした力士に批判相次ぐ 大相撲3月場所、ネット上をにぎわせた土俵内外の驚きの光景<<
伊之助、御嶽海共に接触によるけがなどはなかったが、ネット上には「伊之助何やってんだよ、取組の邪魔になるようなところに位置取るなよ」、「場内のお客さんもみんなあ然としてるな…」「去年も2回(2021年3月場所千秋楽、同年9月場所14日目)くらい力士と接触してたが、一体何回同じことをやれば気がすむのか」と呆れ声が挙がった。
同時に、「高安が可哀想すぎる、伊之助が御嶽海と接触してなければ負けてなかっただろ」、「舞の海さんも伊之助が御嶽海を助けたって言ってるね」、「行司が力士とぶつかって取組結果を狂わせるなんてあり得ん、こんなことならもう引退を考えた方がいいのでは」と、この接触が取組に致命的な影響を与えたとする批判も多数見られた。
「引いたところを高安に押された御嶽海は体をグラつかせながら後方に下がるなど明らかに体勢を崩していましたが、伊之助との接触直後に体勢を盛り返し逆転勝ち。この相撲内容から、伊之助が接触していなければ押しの勢いが弱まることはなく、そのまま高安が御嶽海を下していたのではないかと憤っているファンは少なくないようです。なお、NHK中継で解説を務めていた舞の海秀平氏(元小結)も、取組直後に『これ(接触)にも助けられてるように見えますよね』と接触が御嶽海を助ける形になったと指摘しています」(相撲ライター)
過去6場所は御嶽海に対し「3勝2敗」と勝ち越しており、9日の対戦も優勢だった高安。今回の敗戦についてのコメントは特に伝えられていないが、伊之助に水を差されての黒星が2日目以降の相撲に響く可能性もゼロではなさそうだ。
文 / 柴田雅人