前日まで「4勝5敗」の輝はこの日、「5勝4敗」の平幕・志摩ノ海と対戦。立ち合いでは志摩ノ海に先んじて勢いよく立ち上がったが、行司は両者の呼吸が合ってないと判断しすぐに待ったをかけた。
ところが、輝は行司が待ったをかけた時点ですでに志摩ノ海の目前まで接近しており、そこから中腰状態の志摩ノ海の肩を両手で思い切り押す。強烈なつっかけを受けた志摩ノ海は、土俵外まで大きく後退しながら尻もちをつき転倒。幸いにも怪我などはなくすぐに立ち上がったものの、場内からはどよめきが起こった。
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この輝の相撲を受け、ネット上には「おい何してんだ、一歩間違えたら土俵下に転落して大怪我もあり得たぞ」、「まだ体勢固まってない相手をあそこまで強く突き飛ばすのは危なすぎるだろ」と怒りの声が寄せられた。一方、「幕尻で失速中だから焦ってるのか?」、「絶対連敗止めなきゃって思いが空回りした感じにも見えたな」と、つっかけに至った背景を推測するコメントも多数みられた。
「幕尻で今場所に臨んでいる輝は幕内残留には勝ち越しが必須ですが、初日から5日目までは『4勝1敗』と好調。ただ、6日目から9日目までは4連敗を喫しており、この4日間は腰高をつかれて敗れる相撲が目立っています。そのため、輝は“何としてでも連敗を止めないといけない”、“相手に懐に潜り込ませたくない”という気持ちから、立ち合いで気がはやり過ぎてしまったのではとみているファンは少なくないようです。輝は真面目で稽古熱心な力士で、普段の取組では荒い取り口はほとんど見られないのですが…」(相撲ライター)
その後、取り直しの一番では低い体勢で左右をおっつける志摩ノ海に苦戦し、最後はとったりで地面に倒され5連敗となった輝。この日NHK大相撲中継で解説を務めた北の富士勝昭氏(元横綱)は「今日の相撲を見るとまだまだ下半身の、なんていうんですかね、もろさが抜けてないですね。前にも後ろにももろいね」と、腰高の課題は根深いと指摘している。
文 / 柴田雅人