問題となっているのは、前日まで「1勝1敗」の平幕・石浦に対しての発言。石浦はこの日「2勝0敗」の平幕・琴ノ若と対戦したが、立ち合いもろ差しを許すとそのまま土俵下へ一気に押し出され敗戦。この際にどこかを痛めたのか、転落後はしばらく地面にうずくまったまま動けなかったが、心配して集まってきた警備の親方衆の肩を借りて立ち上がった後は自力で花道を下がった。
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この様子を見ていた舞の海氏は「これはまだ動けませんから、もう琴ノ若は勝ち名乗りを受けた方がいいと思うんですよね」と、土俵下で待機していた琴ノ若に早く勝ち名乗りを受けさせるべきではと主張。これを聞いた向正面解説の立浪親方(元小結・旭豊)は「今場所から(負傷発生時は)、相手が引き揚げてから勝ち名乗りを受けるって変わったんです」と、今場所からルールが変わった旨を説明した。
勝ち名乗りが終わり土俵上が次の取組に移ったところで、花道を担当するアナウンサーは石浦に付き添った親方衆から、石浦が首を痛めたと聞かされたことを報告。舞の海氏は「目まいがして起き上がることができなかったのかもしれませんね」と推測しつつも、「もしそうでなかったら、一瞬だけ電気が走っただけだったらサッと土俵に上がって礼をして下がった方がいいですよね。あれだけ長い間土俵下にうずくまっているというのもよくないと思います」と、可能ならばすぐに土俵に戻って礼を行うべきだったと苦言を呈した。
石浦対琴ノ若戦から3番取組が行われた後、花道担当アナウンサーは「どこでそうなったか自分でも分からない」、「当たって体の左半分に電気が走った」と語った石浦がこれから病院に向かうことを報告。
すると、舞の海氏は「聞こえ方によってはずいぶん厳しいことを言うなと聞いてる人もいるかもしれないんですけども」と前置きした上で、「やっぱり序ノ口から結びまで流れがあるんですよね。そしていい相撲をどんどん続けていくことで館内がだんだんあったまっていくんですよね。(でも)ああいう場面があると、一気に冷え込みますよね。流れを止めてはいけない、これはお客さんのためでもあると思うんですよね」、「本当に立てないんだったら仕方ないんですけれどもね、首ですから、立てるわけですから」と再度石浦に注文をつけた。
この舞の海氏の発言を受け、ネット上には「負傷して動けない力士に対する言葉ではない、人格を疑う」、「流れ止まって客も白けるからさっさと立てって言い草はヤバすぎる、過去最悪レベルの失言では」と批判が殺到した。同時に、「舞の海は去年力士が首痛めて亡くなってることを忘れたのか?」、「首の負傷は人命に関わりかねないのに舐めすぎでは」といった指摘も多数みられた。
「角界では昨年3月場所中に三段目力士が首を痛め土俵上で動けなくなり救急搬送。そのまま入院しましたが、入院から約1カ月後の4月28日に急性呼吸不全で亡くなっています。当時の報道によると、同力士は寝たきりの入院生活の中で肺血栓を患っていたといい、関係者に『たんがよくたまる』などと訴えていたそうです。稽古・本場所で何百番と相撲を取り実力を高める力士にとって首の怪我はつきものですが、命に関わる重大なリスクもあるだけに、今回の舞の海氏の発言は受け入れられないと憤っているファンも少なくないようです」(相撲ライター)
16日の報道では、石浦が相撲協会に「頚椎(けいつい)症性神経根症の憎悪のため、向後2週間程度の安静加療を要する」との診断書を提出し4日目から休場することが伝えられている。舞の海氏は石浦の負傷は軽症だろうと考え苦言を呈したと思われるが、その見立ては完全に間違っていたようだ。
文 / 柴田雅人