初日に平幕・大栄翔に敗れ、痛恨の黒星スタートを喫した正代。この日は「0勝1敗」の小結・隆の勝と対戦したが、武隈親方は取組前に「開き直って自分らしい相撲を取ってほしいですね」、「(関脇に)落ちたら落ちた時に考えればいいので、目の前の一番に集中してなんでも思い切りやればいいんじゃないかなと思いますけどね」と奮起を期待した。
ただ、正代は迎えた取組では立ち合いから右ののど輪で上体を起こされると、間髪入れずに左をおっつけながら前に出た隆の勝に、なすすべなく押し出され2連敗。それでも、武隈親方は「まだ13日あるのでね、まあまだまだこれからですね」とまだ挽回はできると激励した。
武隈親方は計33場所(2014年9月場所~2020年1月場所)務めた大関からの陥落が決まった2020年1月場所後に現役を引退したが、それまではカド番に8回陥りいずれも脱出した力士。この経験もあってか、正代についても残り13日で星を戻すことは十分可能と考えているようだ。
この武隈親方のコメントを受け、ネット上には「カド番8回逃れてる豪栄道が言うと説得力が凄い」、「確かにまだ序盤も序盤だし騒ぐような段階ではないな」と納得の声が挙がった。一方、「正代は場所前から元気無かったしもう上がり目は無いのでは」、「コロナでの調整遅れが響いてるようだから、ここから復調するのはちょっと考えにくい」と復調は望めないとみるコメントも多数みられた。
「正代は先場所後の2月7日に新型コロナに感染したことが判明し、療養を経て同月18日に稽古を再開。コロナの症状は幸いにもそれほど深刻ではなかったそうですが、今場所直前の3月4日には『稽古に支障はないけど体力的に、ちょっと落ちているのは感じてます。ちょっと(調整は)遅れているような気がします』と、調整遅れでコンディションが仕上がっていないと不安を吐露したことが伝えられています。今場所の連敗スタートもこの調整遅れが大きく響いているものと思われますが、本場所中は普段通りに稽古の時間は取れないため、残り13日間で状態を持ち直すのはかなり厳しいのではとみているファンも少なくないようです」(相撲ライター)
過去6場所は勝ち越し4回(2ケタ以上0回)、負け越し2回と特に目立った数字は残せておらず、年齢も30歳といつ急な衰えがきてもおかしくない状況の正代。15日の3日目・逸ノ城戦にも敗れ初日から3連敗となったが、武隈親方の激励もむなしくこのまま沈んでいってしまうのだろうか。
文 / 柴田雅人