「11-2」とパナマ9点リードの7回表1死一塁。攻撃側のパナマは10点差をつけてコールド要件を満たしたかったのか、一走が盗塁を試み成功させる。ただ、野球では大量リードしているチームは終盤のバント・盗塁を慎むべきという不文律が世界的に存在することもあってか、スタンドからはブーイングが上がった。
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今回台湾側は特にアクションは起こさなかったが、“不文律破り”を受けたチーム側が試合中、または試合後に激怒したケースは過去に複数存在する。日本球界では今季から阪神を率いる岡田彰布監督が、オリックス監督時代(2010-2012)のある試合で不文律破りを受け激怒した過去がある。
問題の試合となったのは、2010年6月4日・オリックス対阪神戦。オリックスは6回裏終了時点で「0-4」と劣勢で、終盤戦に入った7回裏も1点を失いなおも1死一、三塁というピンチを招く。ここで打席には鳥谷敬が入ったが、その鳥谷の2球目、代走として途中出場していた一走・藤川俊介が二塁にスタートした。
オリックスバッテリーは5点差の状況で盗塁を仕掛けられるとは思っていなかったのか、藤川に悠々と二塁を陥れられる。これで1死二、三塁とピンチが広がった後、オリックスは鳥谷に犠飛を打たれ6失点目。この後8、9回にそれぞれ1点を返すも「2-6」で敗れた。
オリックスは同月2日・中日戦で8回から7点差を覆し「10-7」で勝利を収めていたことから、阪神側は5点差がセーフティーリードではないと考え二盗を仕掛けたとされている。ただ、岡田監督は内心ブチ切れていたようで、試合後の報道では「(阪神は)やってしまいましたなあ」、「5点差で、ファーストから(走者が)走ってしもたなあ。これは大変なことやと思うよ」と怒りのコメントを口にしたことが伝えられた。
さらに、同監督は「あしたも試合あんのになあ。これは大変よ」と翌日の対戦で報復を行う旨も口にし、ファンの間では「そんな脅迫めいたこと口にするのはダメだろ」、「本当に報復死球とかぶつけたら大乱闘になるぞ」と物議を醸した。
ただ、注目が集まる中で迎えた翌日の試合では、オリックス側は登板した3投手(山本省吾、平野佳寿、岸田護)がいずれも死球を与えずに「9-4」で勝利。岡田監督の不穏なコメントとは裏腹に、クリーンな形でのリベンジに成功している。
今回不文律破りを受けた台湾は無得点ならコールド負けとなる7回裏、西武でプレーするウー・ネンティンが2ランを放ちコールド負けを阻止している。逆転勝利とまではいかなかったものの、不文律破りへのリベンジには成功したといえるのではないだろうか。
文 / 柴田雅人