今回の動画で川越氏は一・二軍投手コーチを歴任したロッテコーチ時代(2012-2022)の振り返りや、プロ入りした2020年から3シーズン指導した佐々木朗希の育成方針などを話した。その中で、佐々木のロッテ入りが決まった2019年ドラフトでは、内心入団してほしくない気持ちもあったという裏話を明かした。
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佐々木は岩手・大船渡高校3年時に高校野球史上最速の163キロをマークしたことなどが評価され、2019年ドラフトではロッテ、日本ハム、楽天、西武の4球団が1位指名。その後の抽選で井口資仁監督(当時)が当たりクジを引き当てロッテが交渉権を獲得した。
井口監督は佐々木の当たりクジを引き当てた瞬間、右手を突き上げながら満面の笑みを浮かべるなど喜びをあらわにした。ただ、当時一軍投手コーチだった川越氏は、TV中継を見ながら「頼むから来ないでくれ」と外れクジを願っていたことを暴露。「もちろんいい投手なのですごく欲しいんですけど、違う意味ではすごく責任感があるじゃないですか」と、佐々木をきちんと育てられるのかという不安の方が大きかったという。
また、川越氏は佐々木の交渉権獲得を受け、同じく一軍投手コーチを務めていた吉井理人コーチ(現一軍監督)に連絡したことも明かす。川越氏が「ヨシさん、引きましたね」と投げかけたところ、吉井コーチも「えらいもん引いてもうたなあ!」、「(育成方針は)今から考えるわ!」と佐々木入団に驚いていた様子だったという。
川越氏の発言を受け、ネット上には「佐々木の入団を首脳陣が大歓迎してたわけじゃなかったのは意外」、「思わず外れを願うほど入団後を懸念してたのは知らなかった」、「育成相当難しいのは分かってたから、敬遠したくなる気持ちも出るのも無理はなかったのかな」、「県大会の騒動とかもあって、なんかちょっと腫れ物みたいな感じもあったしなあ」といった驚きの声が寄せられた。
「佐々木はドラフト前、素質はこの上なく評価されていた一方、2019年7月下旬の夏の甲子園・岩手県大会決勝を故障防止のために登板回避したことで、野球ファンのみならず世間一般でも物議を醸していた投手。また、県大会決勝を回避しながらも、翌8月に出場したU18W杯では右手中指のまめにより1イニングしか投げられなかったことから、ドラフトで獲る球団は綿密に育成計画を立てないと故障だらけで使いものにならない事態に陥るという見方も少なくありませんでした。元々故障体質が目立つ上、育成失敗なら球団・首脳陣が『球界の宝をつぶした』といった大バッシングに遭うことも確実だったため、当時の首脳陣の重圧は想像以上のものがあったと推察されます」(野球ライター)
入団後の佐々木はまずは体作りに時間を割き、その後も登板数・イニング数を慎重に増やしていくという育成方針の下、1年目の2020年はゼロ、2年目の2021年は11登板(3勝)、3年目の今季は20登板(9勝)と順調に登板数・勝ち星が増加。また、今季は4月10日・オリックス戦で完全試合(プロ野球史上16人目)、1試合19奪三振(プロ野球記録タイ)、13者連続奪三振(プロ野球新記録)を達成するなど球史に名を残す投球も見せた。このこともあり現在は「佐々木はロッテ入りで大正解だった」という評価になっているが、入団当初はこうした未来を想像することは到底できなかったようだ。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
プロ野球OBクラブの公式YouTubeチャンネルより
https://www.youtube.com/channel/UC4cUlSRV5qNcUTNUJc2vfdA