<次は、いつ菊池を先発させるかではなく、どこに配置替えすればダメージを最小限に抑えられるのか、それをしっかりと見極めるべきだ>
>>エンゼルス・大谷、二刀流はそろそろ潮時? 現地メディアの指摘に監督も不満を吐露「私には伝えてくれなかった」<<
地元紙トロントスターがそんな厳しい批評を掲載したのは、現地時間8月16日。その前日、菊池はオリオールズ戦に先発したものの、4回途中でノックアウトされている。3回3分の1を投げ、被安打4、失点6。7敗目を喫した。今季トータルでの成績は4勝7敗だから、バッシングの理由はこの一戦だけではない。
MLB情報に詳しい米国人ライターがこう続ける。
「ブルージェイズはポストシーズンマッチ進出のワイルドカード争いの真っ只中にあります。僅差での激しい展開が続いているため、1敗もできません。だから、菊池のピッチングが不甲斐なく見えるんです」
また、同紙は「菊池の先発試合でチームは6勝14敗。それ以外の投手は55勝38敗」とも伝えていた。
「先発ローテーションから外せ、出直して来い」というわけだが、プラスの情報もないわけではない。
「4回途中でKOされたオリオールズ戦の日、筒香嘉智が、ブルージェイズとマイナー契約を結びました。ブルージェイズは筒香をメジャーに昇格させるつもりで獲得したようなんです。日本人同士、気さくに会話できるチームメイトができれば、菊池、筒香の双方にとってプラスではないか、と」(前出・米国人ライター)
ブルージェイズの主力バッター陣は、右打ちだ。左打ちで一発の脅威を秘めた筒香が代打などで起用されるかもしれない。
菊池の今後だが、故障で離脱していた投手が復帰したため、地元紙の報じるようにいったん、先発ローテーションを外されるだろう。しかし、こんな見方もできる。この“ヒリヒリ感”はエンゼルスの大谷翔平が望んでいた環境でもある。
「大谷は規定投球イニング数に到達する可能性も出てきました。昨季同様、打者として規定打席数には到達していますが、投打ともに規定数に達したら、史上初の快挙です」(現地メディア)
規定投球イニング数に到達する可能性が出てきたのは、エンゼルスの先発不足によるもの。これまでは二刀流による疲労消耗のため、中6日で投げてきたが、「中5日」で投げざるを得なくなったのだ。
プロである以上、個人成績も重要だ。しかし、野球は団体競技だ。菊池は大谷が味わうことのできない野球環境にいるとも解釈できるが…。個人成績はバツグンだが、チームは勝てない。自身の貢献度は低いが、緊張感のあるチームで投げ続けている。野球人として、どちらが幸せなのだろうか。(スポーツライター・飯山満)