前日まで「1勝3敗」の宇良はこの日、同「3勝1敗」の平幕・大栄翔(追手風部屋)と対戦。立ち合いは大栄翔に押され一瞬土俵際に追い込まれたが、低い体勢で突き押しやはたきをいなしながら応戦。そこから右のはず押し(親指と他4本の指をY字型に開き、その手のひらを相手の脇の下にあてがって押す技術)で自身から見て左方向へ大栄翔の体を傾かせると、がら空きになった右方向へ動き、両腕で大栄翔を抱えながら背後をとった。
宇良はそこから逆時計回りに回転すると、その勢いのまま大栄翔を持ち上げ土俵外へ投げ勝利。取組後、会場の両国国技館内に決まり手が「送りつり出し」であることがアナウンスされたが、これは幕内では2005年11月場所で横綱・朝青龍が平幕・安馬(後の横綱・日馬富士)に決めて以来16年ぶりの大技だった。
>>平幕・豊昇龍、敗戦後の無礼な振る舞いに怒りの声 「やっぱり血は争えないのか」朝青龍の悪癖が影響?<<
宇良の相撲内容を受け、ネット上には「今の技凄いな、大栄翔を後ろから抱えてそのまま土俵外に投げ捨てた」、「宇良より大栄翔の方が体重重い(宇良は147キロ、大栄翔は162キロ)のに…小兵力士とは思えないほどの怪力だ」、「背後を取るまでの右腕の使い方も上手かったなあ」といった反応が寄せられている。
一方、「取り口が強引過ぎて褒められない、古傷痛める可能性もあるし今後は控えてほしい」、「近いうちにまた大怪我に見舞われそうで見てられない相撲だった」、「同部屋の親方が体調万全じゃないって言ってたけど、そんな力任せの相撲やって大丈夫なのか?」と、体への負担を懸念するコメントも複数挙がった。
「宇良は2017年9月、2019年1月にそれぞれ右ひざ前十字靭帯断裂の大怪我をし、1度目の断裂の際には左ひざ半月板損傷も併発するなど両ひざに爆弾を抱えている力士。今場所も初日から両ひざをテーピングで固めて出場を続けていますが、一部ファンの間では今回のような強引な取り口は古傷悪化のリスクがあると心配を募らせているようです。また、13日の2日目にNHK大相撲中継で解説を務めた木瀬部屋の稲川親方(元小結・普天王)が、今場所の宇良のコンディションについて『(今)場所前にひざ以外に(も)気になるところがあって十分とはいえない』と語っていることを引き合いに、ひざ以外の箇所も痛めると危惧されています」(相撲ライター)
取組後に「(技の引き出しが)1個増えたっすかね。うれしいですね」と笑顔で語ったことが伝えられている宇良。ただ、もう少し体に気を遣った相撲を取ってほしいと願うファンも少なくないようだ。
文 / 柴田雅人