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横綱昇進の照ノ富士、口上内容が物議 白鵬の影響で「品格」強調?「横審の注文も踏まえたのか」の声も

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 綱取りがかかった大相撲7月場所(4~18日)で「14勝1敗」と優勝次点の成績を残し、21日の日本相撲協会臨時理事会で第73代横綱への昇進が正式決定した照ノ富士(伊勢ヶ濱部屋)。同日に行われた昇進伝達式には多くのファンの注目が集まった。

 理事会後に協会の使者として伊勢ヶ濱部屋を訪れた高島親方(元関脇・高望山)、浅香山親方(元大関・魁皇)から昇進を伝えられ、「謹んでお受けいたします。不動心を心がけ、横綱の品格、力量の向上に努めます」と口上を述べた照ノ富士。その後の会見では「みんなの見本と基本になるような横綱でいたいなと思っています」と今後への抱負を語った。

 照ノ富士は2011年5月場所で初土俵を踏むと、4年後の2015年5月場所後には大関の座をつかみ横綱昇進も時間の問題と目されていた力士。しかし、2015年9月場所で右ひざ前十字靭帯断裂の大怪我を負うと、2017年7月場所では左ひざ半月板も損傷。さらに、糖尿病、C型肝炎、腎臓結石といった内臓疾患にも苦しめられ、2019年3月場所前には序二段まで転落していた。

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 しかし、照ノ富士は同場所から7場所連続勝ち越しを決めると、14場所ぶりに幕内に復帰した2020年7月場所で自身2度目の優勝(13勝2敗)を果たすなど復調。迎えた今年は3月場所(12勝3敗)、5月場所(12勝3敗)を連覇するなど安定感を増しており、7月場所も優勝次点の成績を残したことから横綱昇進が実現した。

 どん底から番付最高位の横綱まで上り詰めた照ノ富士に対し、ネット上には祝福や今後への期待が数多く寄せられた。一方、「自分が横綱の品格を上げるって口上は初めて聞いた」、「白鵬みたいにはなるなっていう横審の注文も踏まえたのか?」と、口上の文言についての驚きや推測コメントも見られた。

 「角界では平成以降に横綱昇進を果たした力士が照ノ富士を含めて11名いますが、そのほとんどは『横綱の地位を汚さぬよう』、『横綱の名に恥じぬよう』と、横綱の価値を下げないように努力するという旨の口上を述べています。一方、今回の照ノ富士は他10名が誰も用いていない『品格』という文言を交えて横綱の価値を上げられるように努めると口上で述べましたので、この口上に至った背景について気になっているファンは少なくないようですね」(相撲ライター)

 近年の角界では横綱・白鵬が“優勝一夜明け会見で審判団を批判(2015年1月場所)”、“行司の判定に物言いをつけ1分以上抗議(2017年11月場所)”、“優勝インタビュー後に勝手に三本締めを行う(2019年3月場所)”といった振る舞いから、横綱としての品格がないと協会上層部やファンからしばしばやり玉に挙げられている。「15勝0敗」で制した先の7月場所でも“仕切り線から大きく下がっての立ち合い(14日目・正代戦)”、“かち上げや張り手を連発し勝利後にガッツポーズ(千秋楽・照ノ富士戦)”と物議を醸す取組が相次ぎ、19日に行われた横綱審議委員会(横審)の会合では「見苦しく、どう見ても美しくない」、「勝てばいいものではない」、「長い歴史と伝統に培われてきた大相撲が廃れていく」と批判が噴出した。

 一方、同会合では満場一致で横綱推挙が決まった照ノ富士に対し「白鵬のようにはなってほしくない」という声も挙がったことが伝えられている。照ノ富士は今回の口上を師匠・伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)や部屋の女将と相談して決めたというが、昨今の白鵬の立ち振る舞いや横審からの言葉も「品格」を盛り込む一因になったのかもしれない。

 協会・八角理事長(元横綱・北勝海)からも「綱の重みをしっかりとかみしめて、立派な横綱になってくれることを期待している」と今後を期待されたことが伝えられている照ノ富士。令和初の横綱として、誰もが認める活躍を見せることはできるだろうか。

文 / 柴田雅人

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