投手陣では先発、中継ぎと両睨みで獲得したフェルナンド・ロメロ、トミージョン手術明けながら評価の高いケビン・シャッケルフォードの新外国人選手は、ビザの関係と隔離期間もあり開幕の合流は絶望的。2019年オフに2年契約を結んだエドウィン・エスコバーも、開幕は相当厳しい状況になってしまった。
2017年シーズン途中にファイターズからトレード移籍してきたエスコバーは、18年53試合、19年はリーグ最多の74試合、昨年も56試合登板と中継ぎとしてフル回転。最速160キロ、平均でも155キロに迫るストレートを武器に、ラミレス前監督の“マシンガン継投”の中核を担う存在だった。決めセリフの「オトコハダマッテナゲルダケ」が示す通り、毎日でも投げたいタイプの貴重な左腕の不在は、ブルペン陣にとってこの上ない痛手だ。
現在一軍の中継ぎ左腕は、昨年復調した砂田毅樹とルーキーの池谷蒼大だけに、エスコバーの穴を埋める存在になり得るのは、やはり石田健大となるだろう。2017と18年に2年連続で開幕投手を務めたが、19年は中継ぎ~先発~中継ぎと、難しい起用法を任された上で結果を残した。昨年は先発としてコンディションを整えていたが、中継ぎ左腕が手薄な状況から、フタを開ければ中継ぎに専念し自己最多の50試合に登板。厳しい場面でも涼しい顔でピンチを脱する、安定感抜群のピッチングを披露し、リーグ5位の26ホールドポイントを記録した。
昨年末、三浦新監督は石田の起用について、「現状は中継ぎで」とコメントしていたが、3月になっても外国人選手の入国ができていない状況では、ブルペンの中心としてチームを支える存在となりそうだ。先月27日も7回からマウンドに上がると、ピンチを迎えるものの冷静に切り抜け、1回を無失点と中継ぎとして順調に調整できている様子。昨年まで選手会長の座も務め、人望と責任感を併せ持つ石田健大は、今シーズンも中継ぎのリーダーとしてベイスターズを引っ張っていく。
文 ・ 写真/ 萩原孝弘