>>わずか4歳の少女を強姦殺人した中年の正体、DNAが一致するも警察が動かない理由とは【未解決事件ファイル】<<
遺体が発見されたのは1月22日の早朝。貝塚市のビニールハウス内で女性が全裸に近い状態で倒れているのを、敷地の住人が発見し警察に通報した。同日、警察の依頼により大阪大学で司法解剖が行われ、その結果、死亡推定日時が前日の1月21日の午後6時頃(前後5時間)と判明。死因は頚部圧迫による窒息死であった。
1月23日になって、新聞で事件を知った被害者の内縁の夫Bさんの連絡により身元が判明。事件当日の夕刻、Aさんは伊丹市にある実家を訪れた後、行方が分からなくなっていたという。Aさんは妊娠3か月だったというが、残念ながらお腹の中の子供も既に亡くなっていた。
警察は捜査本部を設置し、大掛かりな現場検証と付近の聞き込み捜査を実施。現場に残された遺留品や周辺住民からの証言を集め、犯人逮捕への手掛かりを探った。その裏で、Bさんも警察の捜査とは別に、独自に事件の調査を行っていた。出産を控えた妻を暴行死させた犯人を許せなかったのであろう。
そして1月23日の昼、Bさんは犯人に目星を付ける。顔見知りの少年C(18)だ。道で出会った時、Cがいつもとは違う様子で顔をそむけたのだという。それだけのことなのだが、当時冷静さを欠いていたBさんからすると、「何かを隠している」ように感じたそうだ。BさんはCを近くの海岸まで連れていき、殴りながら尋問を行った。凄惨な暴力の末、耐え切れなくなったCは犯行を自白。Aさんを強姦して殺害したという文章を書かされ、警察に提出された。
警察はBさんの証言を信頼し、その検証を疎かにしたままCを逮捕。さらに、警察は共犯者の可能性を考え、Cに拷問に近い尋問を行った。実は、翌日の早朝には朝刊でCの逮捕がスクープされるという情報が入っており、その前に共犯者らを捕まえておきたいという警察の狙いもあった。警察はCから無理やり他4名の共犯者の名前を聞き出し、スピード逮捕に繋げた。
この後、遺体に残された精液、唾液、頭髪から犯人のものと思われる血液型が判明するのだが、逮捕された5人全員と一致していないことが判明。さらに、犯行現場で採取された指紋、掌紋、靴底紋のいずれも一致せず、被疑者の所有していた靴からも、犯行現場の土と一致する成分は検出されなかった。しかし、警察はこれらの物証を一切無視し、報道機関にも公表しなかった。
そして、第一審では被疑者全員に有罪判決が下された。しかし、1人を除いた4人は無罪を主張し控訴。最終的には物証との不一致が認められ、4人には無罪が言い渡される。残りの1人も2年後に再審請求を行い無罪判決が下った。有罪となった少年が控訴しなかった理由としては、彼の家庭は裕福ではないため裁判が長引くことは避けたかったのだという。また、どうせ主張が認められないなら、少しでも早く社会復帰できる道を選びたかったとも後に語っている。
捜査関係者ではない被害者の夫の意見を信じ込み、無実の少年ら5人を逮捕した事件。5人に無罪判決が下された後、警察は一切の捜査を行わなかったという。結局、事件の被疑者や真犯人は見つからないまま、2020年8月を迎えている。警察の明らかな誤認捜査に対して、ネット上では「何か隠しているのでは」と言った声も上がっている。明らかな物的証拠を無視してまで、少年らを起訴したかった警察の狙いは何だったのか。