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事件当日、事件現場となったAさんの部屋から火が出ていると、近隣住民から警察に110番通報が入った。すぐに消防団と警察官が駆け付け火は消し止められたが、室内から二人の遺体が発見される。出火が原因の事故死かと思われたが、二人の遺体には何者かによって殺害された痕跡が残されていた。Aさんは犬の散歩用のひもで首を絞められ、Bくんは浴槽で水死していていたのだ。
警察は、殺人と現住建造物等放火被告事件として捜査を開始。付近住民への聞き込みから、被害者の関係者への聞き込みを行った。そして、2002年11月16日、当時刑務官だったCが殺人容疑で逮捕、12月8日には現住建造物等放火の容疑で再逮捕される。事件現場となったマンションの灰皿にあった吸い殻とDNA型が一致したことが、逮捕の決め手となったそうだ。
被害者とCの関係は一体どのようなものだったのか。Cは被害者の夫の母親の再婚相手。捜査で判明したのは、Cと被害者の間に発生したトラブル。CはAさん夫婦の借金の連帯保証人になっていたのだが、それをネタにした嫌がらせをしていたことが判明した。Aさん夫婦の生活に干渉するだけでなく、脅迫メール、Aさん個人への慕情など。最終的に、Cからの要求をAさん夫婦は断り、借金を残して姿を消した。事件後、夫のコメントは確認されていない。
警察は恋愛感情が受け入れられなかったことや、連帯保証した借金を滞納して夫婦が行方をくらましたことに憤り、母子を殺害して証拠隠滅のために放火したことを犯行動機と考えた。また、犯行時間帯にCの車が事件現場付近で目撃されており、事件当日に妻との約束を果たしていないなど、いくつか不可解な行動を取っていたことが確認されている。
大阪地裁はCに無期懲役、大阪高裁では死刑判決が下された。この判決に弁護側は上告し、判決は最高裁に持ち込まれることになったのだが、判決は異例の審理差し戻し。Cが犯行したという直接証拠が乏しく、警察が採取した煙草についても、証拠として不十分であるというものだった。最高裁は「現場のマンションから72本の煙草が採取されているのに、一つしか鑑定していないため、他の煙草の吸殻も鑑定するべき」としたが、ここで警察のミスが発覚する。証拠品として保管していた吸い殻72本のうち、71本を紛失していたのだ。
結局、差し戻し審ではCに無罪判決が下された。現場に残されていた足跡がCと一致しないことや、凶器からCのDNAが検出されなかったことが、判決の決め手となったそうだ。被害者の服からも、Cとは別人のDNA型が検出されたというが、警察は何故Cにこだわったのだろうか。