失踪したのは当時27歳の主婦Aさん。出産を控えていたAさんは墨田区にある実家に帰省していたが、同級生に会いに行くと姉に言い残したのを最後に行方が分からなくなった。実家への帰省には1歳の娘も一緒だったという。娘を残したまま帰宅しないAさんを心配した家族が警察に捜索願を提出し、警察による捜索が開始された。
まず、警察が注目したのはAさんが会いに行ったという同級生の男性Bさんだったという。実は、Aさんが失踪した当日の夜、Aさん宅にBさんから複数回電話が掛けられていたのだ。Aさんが不在だったため電話はすぐに切られたそうだが、Bさんの話はこれだけでは終わらない。
事件翌日、家族がAさんのタンスを調べたところ、「旦那がいるのに、Bさんと付き合っていたが、裏切られた」という謎のメモを発見。不審に思ったAさんの姉がBさんに話を聞くと、なんと事件当日の昼にAさんと会っていたことが判明。さらに、「もしAさんが亡くなっていたら、私は刑に服します」と答えたそうだ。しかし、警察がBさんに事情聴取を行ったところ、Aさんの失踪への関与は確認できなかったという。
それ以降、Aさんの行方は掴めないまま17年の月日が経過する。
事件が動いたのは2011年10月13日。『スーパーJチャンネル追跡!真実の行方』(テレビ朝日系)で、Aさんの失踪が取り上げられたのである。内容自体は当時の振り返りや家族の話など目新しいものはなかったのだが、一枚の奇妙なメモにネット上で大きな注目が集まった。
Aさんの父親が自宅居間で番組スタッフの質問に答えていたシーン。Aさんの父親の後ろにある本棚に、「●●(Aさんの姉)のはなしは信じるな」と書かれたメモが張り付けられていたのだ。不可解なメモに、ネット上では「どういう意図?」「なんだか怖い」といった声が挙がったものの、番組内でメモに触れられることはなかった。
実は、Aさんが最後に残した「同級生に会いに行く」という言葉からBさんの話まで全てがAさんの姉による証言。しかし、事件後に警察がBさんに話を聞くと、「Aさんと会う約束はしていなかった」と話したそうだ。
この番組をきっかけに、事件の認知度が飛躍的に高まったものの、結局2019年10月現在も、Aさんの行方は掴めていない。Bさんとの不倫関係に番組で放送された奇妙なメモ。Aさんの失踪は身内との複雑な事情が関係しているのだろうか?