かつて、志村さんとよく仕事をしていた相手として知られるのが、元タレントの田代まさし氏である。くわまんこと桑野信義とともに「志村けんのバカ殿様」(フジテレビ系)を始め、志村組の常連であった。追悼番組ではカットされてしまったものの、志村さんとのコンビネーションの良さを「もう一度見たい」と望む声は多く聞かれた。田代氏はもともとラッツ&スター(旧名・シャネルズ)のメンバーとして活躍していたミュージシャンである。そのあたりは音楽好きの志村さんと気が合う部分もあったのだろう。さらに志村さんは、メリハリのある笑いを好んだ。田代氏は積極的に前に出るタイプではないが、「ダジャレ」「小道具」などでコンスタントな笑いを取っていった。こうした笑いの打率の高さを志村さんは気に入ったのかもしれない。
ダチョウ倶楽部の上島竜兵も志村組の常連だった。もともとダチョウ倶楽部として出演していたものの、変人すぎる寺門ジモンは早々に脱落し、リーダーこと肥後克広と上島が残った。上島が志村さんに気に入られたのは、やはりダチョウ倶楽部お得意のパターンの笑いの完成度の高さが評価されたと言えるだろう。さらに上島自身のテンパリキャラなども、メリハリをつけるには最適であり、面白がられたと言える。志村さんに同じく酒好きの共通点もあった。
ここ数年、志村さんに気に入られていたのが千鳥の大悟である。死去後、初の放送となった冠番組『志村でナイト』(フジテレビ系)でも、ほぼアドリブのコントを志村さんと展開していた。大悟は2017年に前身番組『志村の夜』(同)で志村さんと共演時に、「変なおじさんの細部の動き」などを細かく解説し、どれだけ志村さんが好きかをアピールして、それが志村さんの心に伝わり、「週5で飲む」関係になったとも言われる。志村さんは笑いに対して真面目な人間を好む。見た目は無頼漢ながらも、実は勉強熱心な大悟の態度を高く評価したのだろう。
こうして見ると、志村さんに気に入られた男性タレントは、志村さんに同じく、「謙虚で生真面目な性格」の持ち主とも言えるかもしれない。