ステージで大槻が歌唱中、突如照明が落とされ音楽も止められるという異例の事態。X(旧Twitter)では駆けつけたスタッフとみられる2人に大槻が促される形でステージから去る動画が出回った。屈辱的な形で中断された様子は中国のSNSでも拡散しており、中国国内からも「やりすぎ」といった批判的な声が上がっている。
今月1日、大槻が自身のインスタグラムを更新し、中国・上海から帰国したことを明かし、「当日のパフォーマンスを楽しみにして見に来てくれたファンの方々に最後お礼を言う時間がなかった事だけが心残りでした。本当にありがとうございました!」と感謝を記した。つづけて、「私にできることは、これからも音楽を通して、自分の声を必要としてくださる方へ丁寧に届けていくこと」と訴えた。
高市首相の発言はエンタメ界にも影響を及ぼし、歌手・浜崎あゆみ、フォークデュオ・ゆず、ジャズピアニスト・上原ひろみ、管楽器ガールズグループ・MOS、ロックバンド・シド、歌手・MINMIらのコンサートやボーイズグループ・JO1のファンイベントなどが「不可抗力」により中止または延期を発表している。
なかでも大きな話題となっているのが、公演前日に中止を要請された浜崎だ。11月28日、29日に予定していた公演を中止すると自身のインスタグラムのストーリーズで「私達は、これまでの公演と同じように日本と中国のクルー総勢200名で協力し合い、五日間かけて上海のステージを本日組み終えましたが、午前に急遽公演中止の要請を受けました」と説明。そして、「まとまらない想いのなか、自分に出来ることは微塵もないのかと考え続けています」とし、「エンターテイメントは人と人をつなぐ架け橋であるべきで、自分はその架け橋を作る側でありたいと、今も強く信じています」(いずれも原文ママ)と心境をつづった。
すると翌30日、香港最大級の日本情報オンラインメディア「LikeJapan」の報道を引用し、「この記事にあるように、私達は昨日の中止要請の後、無観客の状態で一曲目からアンコールまで行ってから会場を後にしました」と投稿。つづけて「会えるはずだった一万四千人のTAの皆さんへ向けて、演者・スタッフ全員で全身全霊で本番と寸分変わらぬ想いをもちステージをまっとうさせて頂きました」と無観客でライブを行ったことを報告したのだ。
この行動はメディアが一斉に取り上げ、ファンのみならず、芸能界からも称賛の声が相次いだ。また、台湾のライフスタイル誌「Tatler Taiwan」のアカウントは「公演中止の発表後、ステージと機材はすぐに撤去され始めた。しかし、SNS上では彼女が閉ざされた状態でステージに立って歌ったという情報が流れ、大きな議論を呼んだ」と明示。つづけて、「観客もライトの海もない状況で、浜崎あゆみはそれでもステージに立って歌うことを決めた。これは公開公演でもメディア向けイベントでもなく、彼女自身とファンへの『必ずやり遂げなければならないコンサート』だった」と記し、「多くのファンがSNSで『歌手がステージに捧げる最も純粋な愛』と称賛した」と伝えた。同誌によると、無観客で行われたステージの様子は「入場できなかったファンに向けて後日公開する」という。
どんな環境でも一切の妥協をしなかった浜崎。伝説のライブは後世に語り継がれることだろう。だが、この危機は浜崎だからこそ乗り越えられたもの。当面、中国当局からの「不可抗力」とやらは続くであろう。

