昨年9月に出版したエッセイ本「僕の人生には事件が起きない」が、思いのほか好セールス。そのサクセスストーリーは、オードリー・若林正恭と酷似している。若林もかつては、七三分けでピンクのジャケット、性根がクレイシーすぎる相棒・春日俊彰の横にたたずむ“じゃないほう芸人”だった。しかし、ラジオパーソナリティー、フリートーク、司会、そしてエッセイストといった他ジャンルで頭角を現し、ピンの仕事を増やしていった。
ようやく岩井が澤部に追い付いたと思われがちだが、そもそもハライチはスーパーエリートコンビだ。05年に「お笑いメジャーリーグ」で優勝して、特待生としてワタナベコメディスクールに入学。48万円の学費が全額免除された。そのままワタナベエンターテインメントに所属。「M-1グランプリ2009」で決勝進出を果たし、トントン拍子でスター街道を疾走した。
その陰で、意外な人気芸人が泣いていた。メイプル超合金・カズレーザーだ。現在は、フジテレビ系朝のワイドショー「とくダネ!」の火曜日キャスターとして、大御所キャスターの小倉智昭と肩を並べている。同志社大学卒の英知を生かした、インテリ芸人のトップランナーだ。そんなカズレーザーをアマチュア時代に負かせていたのが、ハライチだ。
「カズレーザーは同志社時代、大学公認の喜劇研究会に所属して、さらば青春の光・東ブクロと『フルハウス』というコンビを組んでいました。このとき、ナベプロを受けに行ったのですが、ハライチの48万円に対して、フルハウスは5万円の免除。これではハライチに勝てないと思い、コンビを解散したのです」(お笑い雑誌の編集者)
カズレーザーの鼻っ柱を折ったハライチ。2人はそろってアマチュア時代から“じゃないほう芸人”だったのだ。
(伊藤由華)