しかし、なぜ急にロックバンドなのか? これには、CM人気をもう一度取り返したいソフトバンク側の狙いがあると言う。
架空のロックバンドをネタにしたシリーズ物CMで有名なものといえば、炭酸飲料のファンタのCMだ。FANTAの頭文字に合わせた5人による架空のバンドの模様を描いたこのCMも、ソフトバンクのCMと同じくショートコントないしはミニドラマ仕立て。毎回内容も面白いためか、新しい話が出る度に話題になり、なおかつ人気もキープし続けている。
かつて「お父さん犬」で話題になり、一大ブームとなった白戸家シリーズだが、最近はその人気も失速気味。CM等の制作現場に携わる関係者曰く、同じコメディドラマ仕立てのCMでファンタのCMの人気がソフトバンクのCMを上回ったそうだ。そこで、人気のあるCMの秘訣を探るために作られたのが展開の似通ったこのCMだとする噂が現場ではあると言う。
もともと、ソフトバンクのCMはある程度皮肉や、ややブラックな話題を織り込んだ者が多い。今回も白戸家バンドのライブが好評に終わった後で「お父さん」がライブ内容を褒められるも、「口パクだよ」と零すシーンもある。実際、歌番組などで多くのアーティストが口パクで歌っていたりする現状を皮肉っているようにも思える言葉であるが、「今も口パクじゃないですか」「それは言わないで!」と自虐ネタも織り込んでいる辺りがさすがと言える。
もともとCMの目的は番組スポンサーが自社の宣伝も兼ねて制作し、放映しているもの。CMすらも視聴率が重要視される昨今、果たして今後の展開はどのようになっていくのか、楽しみである。