S監督伝説−−
「コンゴ戦のことは今後考えます」というギャグ伝説、そしてかつてのボンバーヘッドA選手は、雑誌のインタビューに「飛行機が飛ばない外国の空港で、全員ぶんの毛布を集めてきてくれた。ほんとに頼りになる人だと思った」と回想している。
ところが、こんな話がある。
「Sさんのやり方は、かつての名将H監督とまったくウリふたつのやり方です。実はあまり知られていませんが、H監督は、選手ひとりひとりのことを完全に把握しており、誰が出ていない選手か、その気持ちが萎えていないか…、その選手をいつ使うか、等々控えの選手のことが完璧に頭に入っている。競技は違えど、両者ともマネジメント面は計算し尽くされているのではないでしょうか」(スポーツ誌関係者)
そうだとしたら、お互いに意外な一面ではないだろうか。
さらに、興味深い意見が以下だ。
「H監督は、レギュラーになれずに不満を募らせているような選手のことは、まったく怒らなかったそうです。それには、かわいそうだから、という意外な気配りの細やかさがあります。しかし、もう一方では、足元からの敵を絶対に作らない、というH監督の冷徹な計算があったと聞きます。それはリーダー論から言っても、S氏も一緒のはず」(経済誌関係者)
一説には、必ず食事は番記者と一緒、そこで自ら闘志を燃やすイメージをマスコミに植えつけている、というH氏。いっぽう、サーバント・リーダーシップ(自ら選手に奉仕して、選手の共感を得る)のイメージが一人歩きするS氏。一見すると、両者の進む道は対照的にみえるが、
「実は、闘う集団の結束を強固にする意志たるや、岩をも貫くほどでしょう」(同上)
という。そのために、全てが計算なのだとしたら、逆にすごい。アノPK戦突入のしびれる場面での満面の笑顔は、まさにカリスマ監督、いやカリスマ・マネージャーの一世一代のパフォーマンスだったのかもしれない。
きっと、天然の監督が勝てるほど、世界は甘くない。