今回の騒動は、1964年からホテルオークラのメインエリアで営業してきた久兵衛が、オークラの建て替え工事後、メインから離れた別棟の片隅で営業するよう指定され、「高級店の格を著しく貶められた」と提訴に至ったものだが、両者のバトルの発端は2015年にまで遡るという。
「そもそもは、建て替え工事の“一時避難措置”として、久兵衛は一旦別館へ移動したんだけど、テナント料が本館よりも高かったから揉めたんだよ。この件で、久兵衛はしばらく営業をボイコットしたほどだからね」(久兵衛の常連客)
オークラが、来年9月にオープンする新館から久兵衛を外したのは、このボイコットに対する意趣返しではないかというのだ。
長年、久兵衛は、オークラ直営の和食店『山里』の隣で営業していたが…。
「立て替え後、山里の隣に入るのは、久兵衛のライバル店となる寿司屋。しかも、久兵衛で修業を積んだ寿司職人が立ち上げた店だというんだ。ひどい仕打ちだよ。久兵衛が怒るのも無理はないよな」(同)
しかし、こうした背景を知らない一般客は、「弟子に抜かれたことへの“嫉妬”が訴訟の原因」と捉える向きも多く、久兵衛のイメージが悪化しているという。
「確かに久兵衛は、自分のところで修行した職人たちが立ち上げた『鮨かねさか』や『鮨あらい』、ともにオバマ前大統領をもてなしたライバル『すきやばし次郎』などに押され気味。対するオークラも、外資系高級ホテルの台頭で、訪日外国人客やアッパー層の奪い合いが過熱しています」(経済ジャーナリスト)
両者イメージダウンで共倒れ、なんてことにもなりかねない。