畠世周(23)、急性腰痛でリタイア――。
2年目の畠のリタイアはダメージも大きかった。今季は先発ローテーションの一角として、高橋由伸監督(42)も期待していた。ただでさえ、先発タイプのピッチャーの頭数が足らないだけに、ペナントレースにも影響してきそうだ。
「原因はオーバーワークですよ。若い選手はキャンプ、オープン戦でのペース配分がまだ分からないんです。首脳陣がちゃんと見ていれば、防ぐことのできた怪我だと思います」(取材記者)
その畠の故障リタイアを“予言”していた巨人OBがいた。04年から2季、指揮官も務めた堀内恒夫氏(70)である。
氏は畠の経歴に着目していた。畠は16年ドラフト会議で指名された直後、右ヒジにメスを入れている。そのため、一軍デビューも大幅に遅れた。キャンプも「術後」ということで三軍調整だった。したがって、今季が実質、プロとして初めて練習するキャンプでもあったのだ。
「中堅以上の選手は、良い意味で『手抜き』をするタイミングを知っています。負荷を掛けて自身を鍛える時期と、ペースダウンさせて身体を休める時期を見極めるんです。そういうことができない新人、若手に対し、ブレーキを掛けてやるのがコーチの役目なんですが…」(前出・同)
堀内氏は自身が連載する専門誌のコラム内で「要注意」と記し、また、南海ホークスとのOB戦イベントに参加するため、長嶋氏と同じ時期に宮崎入りしている。当然、高橋監督らとも接触しており、改めて「畠は要注意」と忠告していた。しかし、どういう訳か、響かなかったのである。
今季の巨人のペナントレースの順位を“予感”させる情報も聞かれた。
「ゲレーロは去年以上に打つよ。警戒が必要」
そう評価する他球団スコアラーは少なくなかった。
来日1年目の昨季、前中日のアレックス・ゲレーロ(31)はいきなり35本塁打を放ち、タイトルも獲得した。中日から引き抜いたわけだが、「活躍する」の根拠を聞くと、
「ゲレーロは打ち損じると、一塁まで全力疾走しません。中日の森繁和監督(63)はそういう態度を許さず、叱り飛ばしていました。それは全選手に対してですが、厳しい野球環境がゲレーロには合わなかったんです。まあ、巨人はベテランが多いせいか、一塁まで全力疾走しなくても、誰も咎めないので」(某スコアラー)
とのこと。昨季以上の活躍は高橋監督にとっても望むところだが、イヤミにしか聞こえない。もっとも、畠のようなオーバーワークでリタイアする選手も出たくらいだから、巨人キャンプの練習メニューがユルイということはないのだが…。
「長嶋氏は昨季しくじった山口俊(30)の頑張りを評価していました。『山口に懸けたい』と言っていました」(前出・取材記者)
今季も広島の独走を予想するプロ野球解説者は多い。広島を追撃できるのは、DeNA、阪神とのこと。2年続けてまともなキャンプを送れなかった畠の「しくじり」が糧とされれば、巨人もそこに食い込めるだろう。