スポーツ
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スポーツ 2012年10月29日 11時00分
ナメられた稀勢の里の“逆襲”
いつまで引き立て役に甘んじているのか。10月6日から秋巡業が始まったが、大相撲界は相変わらず新横綱日馬富士(28、伊勢ケ浜)一色。本格的な横綱始動となった10月1日の全日本力士選士権(両国国技館)でも、2場所連続で全勝優勝した秋場所の勢いそのままの相撲で優勝したが、このとき決勝戦でまたしても敗れ、日馬富士においしいところを持っていかれたのが稀勢の里(26)だった。 「日馬富士が稀勢の里をかっこうの稽古相手とみなしているのは確かです。アイツは稽古場でも一切手抜きせず、負けるとものすごく悔しそうな顔をする。それを見るのが実に楽しいんだ、と話し、綱取りに成功した秋場所前も4日連続して稀勢の里と稽古し、自信をつけて場所に臨んでいます。言わば、稀勢の里は横綱日馬富士の生みの親で育ての親。期待の大関がこんな状態では当分、日本人横綱が誕生するのは無理ですね」(大相撲関係者) そういえば、稀勢の里がいかに日馬富士に甘く見られているかを象徴するようなこんなシーンも。 「力士選士権の2日前の元関脇栃乃洋の引退相撲のときですが、稀勢の里が新横綱に敬意を表して挨拶すると、日馬富士が支度部屋中に響き渡るような声で言ったんです。『お前、オレが横綱になって喜んで泣いたんだよな』って。稀勢の里は顔を真っ赤にして唇を噛んでました」(担当記者) 日馬富士が白鵬を破って全勝で綱取りを決めた直後のこと。負けた白鵬は大音量で流れる日馬富士の優勝インタビューから逃れるように風呂場に飛び込んだが、稀勢の里は、「(日馬富士は)強かった。学ぶべきところはいっぱいある」と話し、テレビに映る日馬富士の誇らしげな姿から目を離さなかった。 この前向きな姿勢に期待するしかない。
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スポーツ 2012年10月27日 17時59分
ドラフト会場で神妙な面持ち 栗山監督の『優しさ』がシリーズに影響?
日本ハムは事前発表していた通り、大谷投手を『強行指名』した。ドラフト会場、及び前日の栗山英樹監督(51)の言動が気になる。明らかにいつもとは違うのだ。 「大谷君には本当に申し訳ないけれど…。指名をした。あっ、いや、(指名を)させていただきます」 「大谷君からすれば『何すんだ!?』っていうこともあるだろうし、それに対しては、正直に、本当に申し訳ない…。とりあえず(大谷側に)話を聞いてもらえたら、嬉しい」 キャスター時代の流暢な語り口はユニフォームを着てからも変わらなかった。なのに、このときだけは“オロオロ”し、「えぇ、まあ…」「あのう…」と、記者団の質問に言葉を詰まらせる場面も何度か見られた。 「栗山監督はキャスター時代に大谷クンを取材しており、その才能と志の高さを認めていました」(在京球団職員) ドラフト当日の会見でみせた神妙な面持ちから察するに、野球人・栗山として大谷のメジャー挑戦を応援していたということか…。日本ハム球団の監督として、入団してほしいという気持ちも強く持ってはずだが、その両方の思いの間で揺れていたのかもしれない。 「ソフトバンク、楽天、横浜DeNAも大谷クンの指名を検討したと聞いています」(球界関係者) 一部報道でも、「ソフトバンクが大谷指名を検討」とあった。最終的に東浜巨投手(亜細亜大=4年)を選択したわけだが、『大谷回避』のは、単に「指名しても入団してくれない選手」という後退的な理由だけではない。日本ハムの「その年のいちばん評価の高い選手を獲りにいく」なる方針は正しい。また、ドラフト会場に入場したファンがもっとも沸いたのは、日本ハムの大谷1位指名が明らかになった瞬間だった。この日本ハムの勇気に共鳴するファンはかなり多い。 ドラフトを拒否し、米挑戦したアマチュア選手が帰還する際、高校生は3年、大学・社会人は2年、日本のプロ野球チームとは交渉できない“ペナルティー”が課せられている。俗に言う、『田澤問題』である。この規則を指して、前出の関係者はこう吐露していた。 「大谷クンがどの球団からも指名されなければ、この記録の対象外選手となるんです。大谷クンの将来を考え、指名を見送ったチームもあったみたいですよ」 日本ハムも「交渉の余地アリ」と見たから、強行指名に踏み切ったのだろうが、ドラフト当日に至るまで「2年連続で1位指名選手が入団しなかったら…」の危機意識も内部にあったと聞いている。日米球界の間には両国内のアマチュア選手の獲得を自粛する紳士協定はあるものの、ルールとして明文化されていない。日本プロ野球チームのスカウトは、高校生に対しては『夏の甲子園大会』が終わるまでは直接面談できないが、メジャースカウトにはそのルールは適用されていない。また、日本ハムの大谷投手に対する独占交渉権は「3月末まで」で、現在確認中とのことだが、この間にメジャー球団と本契約してしまう可能性もある。 「内海、長野、澤村、菅野…。たしかに巨人にしか入らないという選手もいますが、『12球団OK』と話すドラフト候補生も確実に増えています。日米間の紳士協定の見直しを含め、ドラフトのルールを見直す必要がまた出てきました」(前出・同) 大谷投手を選んだ日本ハムの『決断』は支持するが、同球団は菅野智之を含め、2年連続でドラフト候補生の人生を変えてしまったわけだ。ドラフト会議当日を「運命の日」とはよく言ったものだ…。ドラフト会場での栗山監督の表情を見て、「日本シリーズでの指揮に影響が出なければ」と思った関係者も少なくないようだ。
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スポーツ 2012年10月27日 17時59分
斎藤佑樹 どんでん返しで日本シリーズ先発も
巨人対日本ハムの日本シリーズは、10月27日に東京ドームで開幕する。 日本ハムで良くも悪くも注目されるのが、斎藤佑樹投手(24)。斎藤は10月5日、チームのレギュラーシーズン最終戦の楽天戦(札幌ドーム)に先発したが、4回2/3を投げて9安打6失点の大炎上。調整のため、フェニックスリーグ開催中の宮崎送りとなってしまった。 フェニックスリーグでは12日の韓国ハンファ戦(アイビー)で、リリーフ登板し、2回を1安打無失点。16日の阪神戦(ひむか)では先発で2回を2安打無失点で、プロ入り後最速の147キロをマークした。17日には1軍に合流し、CS(クライマックス・シリーズ)ファイナルステージのソフトバンク戦で、バックアップ要員として待機したが、チームがあっさり3連勝でCSを突破したため、斎藤がベンチ入りすることはなかった。 CS終了後、日本シリーズへ向けての調整のため、宮崎に戻った斎藤は25日のオリックス戦(清武)に先発。5回を投げ3安打1失点の好投で、合格点をもらい、26日に1軍に再合流した。斎藤は「チームが日本一になるためなら、どこでも行けるようにがんばりたい」と先発、リリーフにこだわらない姿勢をみせた。 2軍やフューチャーズ、社会人相手にもメッタ打ちにされていたドン底からは脱出。調子はすこぶる上向きだ。斎藤は日本シリーズでもバックアップ要員とみられており、初戦からベンチ入りするかは微妙。 チームの先発は初戦から第3戦は吉川光夫投手(24)、武田勝投手(34)、ブライアン・ウルフ投手(31)の登板が確実。第4、5戦は中村勝投手(20)、谷元圭介投手(27)が先発候補だが流動的。第5戦以降にもつれた場合、ローテーションを中4日で回せば、先発は4人で足りるが、第4戦の先発は未確定。 栗山英樹監督(51)は「確実に状態は上がっている」と斎藤を評価している。現状ではリリーフでのスタンバイが有力だが、甲子園や東京六大学での大舞台での実績を買って、どんでん返しで、斎藤を第4戦あたりの先発に抜てきする可能性もありそうだ。(落合一郎)
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スポーツ 2012年10月27日 11時00分
WBC監督ドタバタ人事に隠された野望 孫ソフトバンクが画策した日米ワールドシリーズ構想(2)
そこで迎えるのが、来年3月のWBCだ。 日程を見ると、A組の日本は第1ラウンド(3月2日〜6日)を福岡ヤフードームで戦い、上位2チームに入れば第2ラウンド(3月8日〜12日)の東京ドームに進む。そこでB組(韓国、オーストラリア、オランダなど)の上位2位と対戦し、第1代表と第2代表を決めるのだ。 その2チームが今度はサンフランシスコAT&Tパークで開かれる決勝トーナメントに移動し、プエルトリコと米アリゾナを舞台に予選ラウンドを戦ってきたC組(ドミニカ、プエルトリコ、ベネズエラなど)、D組(イタリア、メキシコ、米国など)を勝ち抜いた2チームと世界一を競うことになる。 「第2ラウンドはトーナメント形式ですが、もし、韓国に敗れても敗者復活戦があるので最終的に日本と韓国が決勝トーナメントに進むでしょう。赤い稲妻の異名を持つキューバは亡命による主力のメジャー流出で戦力ダウンが否めない。むしろ、気になるのが中6日で始まる決勝トーナメントです。日本が8280km(東京−サンフランシスコ)ある太平洋移動をどのようにこなすか。これがクリアできれば、WBCの全日程がそのまま日米間の交流戦に応用できるわけですから」(スポーツ紙デスク) 要するに、今回のWBCで侍ジャパンがスムーズに日米間の移動をこなせれば、2次テストもクリアとなるわけで、リアル・ワールドシリーズを思い描く孫オーナーの意向を組む王会長が「秋山監督」にこだわったのはそのためだ。自前の監督なら苦情が出る心配が少ないからである。 もっとも、公式戦の日米交流戦導入に関してはセ・リーグが先行している。 3月のマリナーズ×アスレチックス日本開幕戦に伴う巨人、阪神とのオープン戦を読売が主催したように、セ側はダルビッシュを有するレンジャーズも所属するア・リーグ西地区にターゲットを絞って、水面下で準備を進めているからだ。西海岸への移動なら比較的容易なこともあり、年に1回でも巨人×レンジャーズを、ということなのだろう。 本来は人気面で劣ったパ側が苦肉の策として打ち出した日米交流戦プランなのだが、阪神の人気急下降もあり、状況が一変。セ側が国内交流戦に代わる人気回復策としてメジャー交流戦に目を向けだしているのだという。 「一方、孫オーナーは日米決戦の価値を高めるためにもリアル・ワールドシリーズにこだわっているといわれ、両者は微妙に棲み分けられているのですが、主導権争いを巡り読売とソフトバンクが衝突するかもしれません」(球界関係者) 山本ジャパンは誕生したが、評価はイマイチ。 いずれにしても、今度のWBCの太平洋をまたいだ中6日の日米移動が、今後、孫ソフトバンクの野望に大きな影響を与える事は間違いない。
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スポーツ 2012年10月26日 15時30分
赤井英和が不祥事で廃部の近大ボクシング部を復興へ
タレントで近畿大学(大阪府東大阪市)ボクシング部OBの赤井英和(53)が、廃部となった同大ボクシング部の復興に乗り出すことになった。 同部は43年に創部し、全日本大学王座決定戦を11度制し、近畿学生リーグを36連覇した関西の名門。赤井を始め、68年メキシコ五輪銅メダリストの森岡栄治、元WBA世界スーパーフライ級王者・名城信男らの強豪OBを輩出した。 ところが、09年6月、東大阪市の路上で通行人に因縁をつけて暴行、現金を奪う事件が発生し、同月17日に同部員2人が強盗容疑で逮捕された。翌18日に同大は廃部を決定した。2人は強盗致傷や恐喝など計17件の罪に問われ、実刑判決を受けた。 その後、部員は反省の姿勢を見せるため、学内や近くの商店街の清掃活動を続け、大阪市内のジムで練習をしてきた。OB会は復活を望む署名活動で、アピールしてきた。今年3月にOB会が同大に復活の嘆願書を提出していたが、事件から3年余が経ったこともあり、同大ではそれを認めた。 10月25日に関西アマチュアボクシング連盟の緊急理事会が開かれ、同大の来年度の関西学生リーグへの参加が承認された。赤井は同部の総監督として、復興の手助けをする。 赤井は同大在学中、80年モスクワ五輪の日本代表候補だったが、日本のボイコットでプロ転向。“浪速のロッキー”の異名でKOを積み重ね、83年7月にWBC世界スーパーライト級王座に挑戦するもTKO負け。85年2月の試合でKO負け後に意識不明に陥って開頭手術を受け、一命を取りとめたが引退。その後、タレントに転身した。昨年8月7日、日本アマチュアボクシング連盟が元プロでもアマの役員や指導者になれるように規則を改正し、赤井は申請を認められて、改正規則の適用第1号となっていた。 赤井の所属事務所によると、タレント活動は継続し、指導はプライベートの時間を割く形になるという。現実として、復帰できても3部リーグからの再出発で、部員集めも一からとなり、復興への道のりは平坦ではないが、赤井の情熱と手腕に期待したい。(落合一郎)
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スポーツ 2012年10月26日 11時00分
WBC監督ドタバタ人事に隠された野望 孫ソフトバンクが画策した日米ワールドシリーズ構想(1)
来年3月、太平洋を跨いで第3回WBCが開催されるが、そこに潜むのがソフトバンク孫正義オーナーが画策する野望だ。日本プロ野球とMLBの公式交流戦、そして真の世界一を決める「リアル・ワールドシリーズ」開催である。 侍ジャパンの監督を巡ってすったもんだした球界だが、10月10日、元広島監督の山本浩二氏の就任が正式に決まった。話をややこしくしたのは、加藤良三コミッショナーの特別顧問を務める王貞治ソフトバンク球団会長が、自前の秋山幸二監督起用にこだわり続けたからだという。 福岡の地元放送関係者が舞台裏を明かす。 「日本、中国、キューバらによるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の第1次ラウンドが福岡ヤフードームに決まったことが背景にあるのは確かです。王会長にすれば、興行的にもメンツの面でも秋山監督に指揮を執らせたかったのでしょう。しかし、自前の監督にこだわったのはそんな単純な構図だけではない。今大会には8年あまり温めてきた孫正義オーナーのワールドワイドな構想が潜んでいるのです」 孫オーナーは2004年に球団を買収した際、「将来、大リーグのワールドチャンピオンと日本一球団の“リアル・ワールドシリーズ”を実施したい」との遠大な構想をぶち上げ、度肝を抜いた。昨季の日本一を背景にいよいよ実現に動き出したのである。 究極的な目標はリアル・ワールドシリーズの実現だが、布石にしようとしているのが、公式戦での日本プロ野球とMLBとの交流戦実施。シーズン中にMLBのチームが日本に来る、もしくは日本のチームが渡米してMLBチームと対戦ということになれば、欧州サッカーに奪われつつあるスポーツファンを呼び戻すことができる。 ネックになるのは日米間の距離と時差。公式戦で交流するのは無理がある、というのがこれまでの定説だった。しかし、複数のチームが一緒に来日し、複数のカードを組むことで問題は解決するのでは、という流れができつつある。 大手広告代理店関係者によれば、すでにテストは始まっているという。 「今年3月にはイチローがいたマリナーズとアスレチックスが来日し、東京ドームでMLBの日本開幕戦を開催した。見逃せないのはその際に両チームが巨人、阪神と交互にオープン戦を実施したことです。単独チームでの来日では1カード3試合しか出来ませんが、2チームなら2カード6試合が組める。3チームなら3カード9試合。ドーム球場を使用すれば、雨天中止の心配もない。1度の来日でそれだけの試合をこなせれば、日米の交流戦が十分に可能なわけで、一次的な問題はクリアできるのです」
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スポーツ 2012年10月25日 15時30分
川崎ムネリン大ピンチ! マリナーズが戦力外に
ムネリンこと川崎宗則内野手(31)が、大ピンチに陥った。 MLBのマリナーズは10月24日(日本時間25日)、川崎とのメジャー契約を解除し、40人枠から外したと発表した。川崎は来季も米国でのプレーを希望しているという。 昨オフ、川崎はソフトバンクからFA権を行使し、「イチローさんと一緒にプレーがしたい」として、マリナーズとマイナー契約を交わした。スプリングキャンプは招待選手で参加し、オープン戦で首位打者となって、開幕メジャーの座をつかみ、メジャー契約に昇格した。 ただ、メジャーでの年俸は100万ドル程度(当時約8200万円)とみられ、11年の2億4000万円(推定)から大幅減俸となった。 川崎は二塁、三塁、遊撃をこなし、非常時の第3捕手に指名されるなど、ユーティリティープレーヤーとして、ベンチには欠かせない選手だった。しかし、スタメン出場はわずか25試合にとどまり、大方、代走や守備固めでの出場が多かった。 残した成績は61試合出場、104打数20安打0本塁打7打点で、打率は.192と2割にも満たなかった。セールスポイントの足も2盗塁に終わり、アピール不足は否めなかった。 7月には師と慕ったイチロー外野手がヤンキースにトレードとなり、川崎がマリナーズに入団した意義自体が薄れていた。 今後、川崎は新たなプレー先を模索することになりそうだが、日本で首位打者も獲得した西岡剛内野手(前ツインズ)ですら、満足なチャンスを与えられないまま、自由契約となるなど、メジャーでの日本人内野手に対する評価は低い。日本でもこれといった勲章がない川崎が、今季の成績で、他球団と“メジャー契約”を勝ち取るとなると、険しい道のりが待っているとしかいいようがない。 折りしも、ヤンキースでは正遊撃手のデレク・ジーター内野手がプレーオフで左足首を骨折し、完治には4、5か月かかる見通しで、来季の開幕に不安が残る。イチローがチームに残留するなら、いっそ「イチロー・ストーカー」の初志を貫徹して、ヤンキースに押しかけ入団志願するのもいいかもしれない。(落合一郎)【訂正】文中に打点2とありましたが打点7の間違いです、訂正してお詫び致します。
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スポーツ 2012年10月25日 13時00分
ハイリスク&ハイリターン 「大谷強行指名」で日ハムのオフは大波瀾?
北海道日本ハムファイターズが大谷翔平投手(花巻東=3年)の強行指名を表明した。大谷投手がメジャー挑戦を決めたのは既報通りであり、日本ハムは2年連続で1位指名選手が入団拒否という事態にもなりかねない。大博打に出たとも言えなくはないが、『強行指名』表明の目的は、160キロ右腕の獲得だけではないようだ。 当然のことながら、今回の強行指名表明については、賛否両論がある。 「ドラフト対象選手が米挑戦を決めたからと言って、指名を諦めてしまうのは良くない。本当に有望アマチュア選手の海外流出を阻止したいのなら、堂々と指名し、入団交渉に臨むべきです」(プロ野球解説者) 「本当に欲しい選手を指名するのは当然のこと。しかし、現実問題として、指名しても入団してくれない選手に固執する必要はない。『特定球団にしか入らない』と公言する選手もいなくならないが、『12球団OK』と話す学生選手の方が圧倒的に多い。人材流出の懸案は12球団で話し合っていかなければならないが、ドラフト会場にまで持ち込むべきではない」(在阪球団職員) 日ハムのスカウティングに関する情報だが、『大阪桐蔭の甲子園大会優勝祝勝会』(10月11日)を機に「藤浪(晋太郎投手=3年)に乗り換えた」との見方が支配的になった。同席上で明らかになったのは、日ハムが藤浪サイドに『調査書』を提出したこと。『調査書』とは平たく言えば、その選手に対して指名する意志がある旨を伝えるもの。「調査書提出は“慣例行事”にすぎない。指名を確約するものではない」と話すスカウトもいたが、 「本当に大谷クンが欲しいのならば、日ハムさんは藤浪クンにまで調査書を出す必要はないでしょう?」(ライバル球団職員) と、強行指名と同時に日ハム側が話していた『熱意』に首を傾げる声も聞かれた。 「いや、日ハムさんの大谷クンに対する誠意は本当だと思いますよ。2年連続で1位指名選手が入団しない可能性の方が高いのに、そのリスクを冒してまで指名するって言うんですから」(前出・在阪球団職員) また、こんな見方もされていた。 「日ハムはダルビッシュをポスティングに掛け、彼の米挑戦にも協力しました。交渉の席で移籍(=米挑戦)を前提とした話はできませんが、日ハムはFA宣言する選手を引き止めませんし、大谷クンの側からすれば、もっともメジャー挑戦しやすい球団とも言えるんじゃないですか」(前出・プロ野球解説者) 日ハムはリーグ優勝、シリーズ進出に成功したが、観客動員数は前年比6.6%のマイナスとなった。「前年の佑ちゃんフィーバーは異例」とし、185万人強を集客した安定感を評価すべきとの声も聞かれたが、大谷獲得を起爆剤にしたいとの営業戦略もあるのではないだろうか。 「一昨年はドラフト直前で1位指名を斎藤佑樹に一転させ、菅野(智之)クンの強行指名を仕掛けたのも山田(正雄)GMです。今回もその山田GMが『大谷指名』を表明しました。不退転の決意、チームの方針をチーム内外に示したわけですが、斎藤は今季の半分を二軍で過ごしました。客観的に見れば、今回の強行指名はフロントを分裂させる可能性も秘めています」(関係者) 強行指名の情報はメジャー球団にも伝わった。米国人ライターが駐日スカウトに確認した限りでは「日ハムが指名した場合は同時進行で、米球団も交渉に入る」そうだ。ドラフト指名後の独占交渉権は米国には適用されない。まさに、日米争奪戦である。
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スポーツ 2012年10月24日 15時30分
“中日名物”監督vs投手コーチの対立は権藤コーチ解任で決着
今季、セ・リーグ3連覇を目指しながら、優勝した巨人に10.5ゲームもの大差をつけられて2位に甘んじた中日。CS(クライマックス・シリーズ)ファイナルステージでは、ライバル巨人と熱戦を繰り広げ、3勝4敗(アドバンテージ含む)で惜しくも、日本シリーズ進出を逃した。 その中日で、シーズンを通して目についたのが、高木守道監督(71)と権藤博投手コーチ(73)の対立。投手起用に関して、両者が度々ベンチ内で口論となる様子は、もはや“中日名物”となっていた。 この70代バトルで決定的なシーンとなったのが、CSファイナルステージ第5戦(10月21日)。2-2の同点で迎えた9回裏、一死満塁のサヨナラ機に、誰をリリーフに出すかで大ゲンカ。高木監督は浅尾拓也投手(26)を推したようだが、権藤コーチは山井大介投手(34)を起用。その結果、山井は代打・石井義人内野手(34)に左翼前へのサヨナラ安打を打たれて、中日は手痛い1敗を喫した。 この9回裏の頭に投入されたのは、抑えの岩瀬仁紀投手(37)だったが、高木監督はイニング初めから浅尾の起用を希望したといわれ、試合後、「三振の取れる投手を出さんとダメやろ! (継投については)そんなことは投手コーチに聞いてくれ!」と吐き捨てた。シーズン中も高木監督が意図しない継投で敗れた場合は、このように権藤コーチに敗戦の責任を転嫁するのが定番となっていた。 ただ、権藤コーチの指導力には定評がある。今季、チーム防御率は2.58で巨人に次ぎリーグ2位。エース・吉見一起投手(28)が故障で再三チームを離れ、中継ぎエースの浅尾も右肩故障で長期離脱。昨年10勝のマキシモ・ネルソン投手(30=退団)やエンジェルベルト・ソト投手(30)ら、故障者が多く万全な状態でシーズンを乗り切れなかった。そんななかで、山内壮馬投手(10勝=27)、岩田慎司投手(5勝=25)、大野雄大投手(4勝=24)、田島慎二投手(5勝30ホールド=22)、武藤祐太投手(4勝3ホールド=22)らの若手投手を育てた実績は評価できるもの。 高木監督は2年契約だが、権藤コーチは1年契約とあって、その去就に注目が集まっていたが、球団が契約を更新せず解任することで、この対立は決着した。 24日、会見した権藤コーチは「選手はよく戦ってくれた。あそこ(CS)まで行って勝てなかった。両方が重なって複雑な気持ち」と後悔もにじませた。坂井克彦球団社長は「今回の人事は少し先のシーズンを見据えたもの。(権藤氏は)コーチとして有能で高く評価している。シーズン全般で何人かの有力な選手を育てていただいて感謝している」と話す一方で、佐藤良平球団代表は「高木監督の意向もある。ポスト高木、その先の監督を迎えるにあたって、しっかり支えられる態勢を整える」と、権藤コーチの解任が監督の意思であることを明言した。 中日では2軍から今中慎二投手コーチ(41)が昇格することが決まっているが、チーフとなる投手コーチは未定。98年には監督として、あの弱小球団の横浜(現DeNA)を日本一に導いた手腕を持つ権藤コーチのクビを切ったことで、中日は“投手王国”落城の危惧も出てくる。(落合一郎)
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スポーツ 2012年10月24日 11時45分
賛否両論だが… 今オフ補強の目玉「最高級の保険が現れた!」
広島東洋カープの守護神、デニス・サファテ投手(31)の退団がほぼ確定した。本人は残留を希望していたが、球団は代理人に「自由に移籍先を探していい」と連絡を入れたという。サファテは2勝5敗9セーブ(47試合)と不振だったが、来日1年目の昨季は35セーブ、防御率1.34をマーク。不振の原因は昨季終盤に手術した『鼠径ヘルニア』の回復が遅れたからだが、球界には「安定したリリーバー」が少ない。他球団は150キロを越す右腕にラブコールを送り始めた。 「サファテは変化球でカウントを取れ、縦のスライダー、チェンジアップ、それと日本で覚えたフォークボールなどウイニングショットも多彩。サファテを手放すとは、広島サンももったいないことをするもんですね…」(在京球団職員) 外国人選手の獲得は、球団によって大きく異なる。ヤクルト、広島は『ハズレ』は少ない。巨人は他球団で実績を積んだ選手を好み、近年では「確実に計算が立つ」として、シーズン途中に緊急獲得する場合は、日本球界を経験した外国人選手を最優先する傾向も強まっている。何よりも、今の球界には安定した守護神が少ない。日本ハム・武田久はともかく、中日・岩瀬、阪神・藤川は一時期ほど輝きを失っており、ほとんどの球団はセットアッパーがクローザーの“神通力不足”を補う投手リレーになっている。西武は「涌井に繋ぐ」という継投リレーを確立させたが、来季はその涌井を先発ローテーションに戻すものと思われる。 「ソフトバンクはサファテに興味津々なんじゃないかな。開幕前、馬原が右肩痛で離脱し、代役を予定していたファルケンボーグも戦線離脱した時期があり、代役の代役を探すハメになりましたから」(プロ野球解説者) 当然、サファテ獲得の条件は『復活』であり、各球団は慎重に調査を進める予定だ。今オフ、新外国人選手の発掘を含め、リリーバーを補強ポイントに挙げているチームは少なくない。めぼしい人材がいなかった場合、推定年俸3600万円のサファテがクローズアップされるのは必至だ。 「いや、復活しないと判断したから広島サンが手放したのではないか…。サファテの代理人も日本球界がリリーバー不足なのは知っています。高額年俸を吹っ掛けてくるのではないか?」(前出・在京球団職員) しかし、こんな声も聞かれた。 「サファテは序盤戦で内部批判をしました。チームに馴染めるかどうかも調べなければなりませんが、サファテの背後には『強力なブレイン』も付いています。その人とコンタクトを取るのを目的にサファテを獲るのでは」(前出・同) 強力なブレイン。外国人選手の『ハズレ』が少ない広島には、優秀なスカウトがいた。元日本ハムのエリック・シュールストロム氏だ。氏は広島の渉外担当役として、日本球界向きの助っ人を次々と発掘してきたのだ。ルイス(現レンジャーズ)、ベイル、ラロッカ、サファテ、ミコライオ…。サファテが他球団と交渉する場合、その窓口を務めるのは代理人だ。しかし、サファテ獲得後、シュールストロム氏と“お近づき”になれるチャンスはできるだろう。本当に欲しいのは、名スカウトのシュールストロム氏の方なのかもしれない。