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“中日名物”監督vs投手コーチの対立は権藤コーチ解任で決着

 今季、セ・リーグ3連覇を目指しながら、優勝した巨人に10.5ゲームもの大差をつけられて2位に甘んじた中日。CS(クライマックス・シリーズ)ファイナルステージでは、ライバル巨人と熱戦を繰り広げ、3勝4敗(アドバンテージ含む)で惜しくも、日本シリーズ進出を逃した。

 その中日で、シーズンを通して目についたのが、高木守道監督(71)と権藤博投手コーチ(73)の対立。投手起用に関して、両者が度々ベンチ内で口論となる様子は、もはや“中日名物”となっていた。

 この70代バトルで決定的なシーンとなったのが、CSファイナルステージ第5戦(10月21日)。2-2の同点で迎えた9回裏、一死満塁のサヨナラ機に、誰をリリーフに出すかで大ゲンカ。高木監督は浅尾拓也投手(26)を推したようだが、権藤コーチは山井大介投手(34)を起用。その結果、山井は代打・石井義人内野手(34)に左翼前へのサヨナラ安打を打たれて、中日は手痛い1敗を喫した。

 この9回裏の頭に投入されたのは、抑えの岩瀬仁紀投手(37)だったが、高木監督はイニング初めから浅尾の起用を希望したといわれ、試合後、「三振の取れる投手を出さんとダメやろ! (継投については)そんなことは投手コーチに聞いてくれ!」と吐き捨てた。シーズン中も高木監督が意図しない継投で敗れた場合は、このように権藤コーチに敗戦の責任を転嫁するのが定番となっていた。

 ただ、権藤コーチの指導力には定評がある。今季、チーム防御率は2.58で巨人に次ぎリーグ2位。エース・吉見一起投手(28)が故障で再三チームを離れ、中継ぎエースの浅尾も右肩故障で長期離脱。昨年10勝のマキシモ・ネルソン投手(30=退団)やエンジェルベルト・ソト投手(30)ら、故障者が多く万全な状態でシーズンを乗り切れなかった。そんななかで、山内壮馬投手(10勝=27)、岩田慎司投手(5勝=25)、大野雄大投手(4勝=24)、田島慎二投手(5勝30ホールド=22)、武藤祐太投手(4勝3ホールド=22)らの若手投手を育てた実績は評価できるもの。

 高木監督は2年契約だが、権藤コーチは1年契約とあって、その去就に注目が集まっていたが、球団が契約を更新せず解任することで、この対立は決着した。

 24日、会見した権藤コーチは「選手はよく戦ってくれた。あそこ(CS)まで行って勝てなかった。両方が重なって複雑な気持ち」と後悔もにじませた。坂井克彦球団社長は「今回の人事は少し先のシーズンを見据えたもの。(権藤氏は)コーチとして有能で高く評価している。シーズン全般で何人かの有力な選手を育てていただいて感謝している」と話す一方で、佐藤良平球団代表は「高木監督の意向もある。ポスト高木、その先の監督を迎えるにあたって、しっかり支えられる態勢を整える」と、権藤コーチの解任が監督の意思であることを明言した。

 中日では2軍から今中慎二投手コーチ(41)が昇格することが決まっているが、チーフとなる投手コーチは未定。98年には監督として、あの弱小球団の横浜(現DeNA)を日本一に導いた手腕を持つ権藤コーチのクビを切ったことで、中日は“投手王国”落城の危惧も出てくる。
(落合一郎)

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