昨今、野球人気の低下が叫ばれて久しい。現実に、かつては視聴率が獲れる優良コンテンツだった巨人戦の数字は年々落ちるばかり。そのため、地上波での放送も激減した。
今季に関しては、3月30日の開幕戦(巨人対ヤクルト=日本テレビ系列)でさえ、視聴率(以下、すべてビデオリサーチ調べ、関東地区)は11.8%とふるわず。年間を通して、巨人戦の視聴率は10%を行ったり来たりで、放送する各局にとっては、“お荷物番組”となりつつあった。
10月17日にスタートした巨人対中日のCSファイナルステージは、日本テレビ系列が全戦生中継。その視聴率は第1戦(17日)=12.1%、第2戦(18日)=8.1%、第3戦(19日)=11.5%と低調だったが、巨人が徳俵に押し込まれたのが視聴者の関心を呼んだのか、それ以降、急上昇。
第4戦(20日)=14.4%、第5戦(21日)=17.5%と、どんどん上がり、第6戦(最終戦=22日)ではついに20.1%と大台を超えた。第6戦の瞬間最高は午後9時18分の30.6%で、今季の野球中継で20%を超えたのは、もちろん初めて。
高視聴率となったのは、連日1点を争う熱戦が続き、最終戦までもつれ込んだことが最大の要因といえる。数字が低かった第1戦ではBS日テレ、第2戦ではNHK・BS1も同時に中継しており、CSでは全6戦を日テレ系のG+が試合開始から終了まで完全中継した。近年、野球ファンは地上波より、CMが少なく完全中継のBSやCSで視聴する傾向にあり、それらで見た人の数を含めれば、最終戦は実質25%程度の視聴率はあったと推測される。
レギュラーシーズンの公式戦ではなく、CSという特別な試合だったという事情もあるが、まだまだ潜在的に野球人気は健在で、捨てたもんじゃないとの証明になった。
(落合一郎)