「サファテは変化球でカウントを取れ、縦のスライダー、チェンジアップ、それと日本で覚えたフォークボールなどウイニングショットも多彩。サファテを手放すとは、広島サンももったいないことをするもんですね…」(在京球団職員)
外国人選手の獲得は、球団によって大きく異なる。ヤクルト、広島は『ハズレ』は少ない。巨人は他球団で実績を積んだ選手を好み、近年では「確実に計算が立つ」として、シーズン途中に緊急獲得する場合は、日本球界を経験した外国人選手を最優先する傾向も強まっている。何よりも、今の球界には安定した守護神が少ない。日本ハム・武田久はともかく、中日・岩瀬、阪神・藤川は一時期ほど輝きを失っており、ほとんどの球団はセットアッパーがクローザーの“神通力不足”を補う投手リレーになっている。西武は「涌井に繋ぐ」という継投リレーを確立させたが、来季はその涌井を先発ローテーションに戻すものと思われる。
「ソフトバンクはサファテに興味津々なんじゃないかな。開幕前、馬原が右肩痛で離脱し、代役を予定していたファルケンボーグも戦線離脱した時期があり、代役の代役を探すハメになりましたから」(プロ野球解説者)
当然、サファテ獲得の条件は『復活』であり、各球団は慎重に調査を進める予定だ。今オフ、新外国人選手の発掘を含め、リリーバーを補強ポイントに挙げているチームは少なくない。めぼしい人材がいなかった場合、推定年俸3600万円のサファテがクローズアップされるのは必至だ。
「いや、復活しないと判断したから広島サンが手放したのではないか…。サファテの代理人も日本球界がリリーバー不足なのは知っています。高額年俸を吹っ掛けてくるのではないか?」(前出・在京球団職員)
しかし、こんな声も聞かれた。
「サファテは序盤戦で内部批判をしました。チームに馴染めるかどうかも調べなければなりませんが、サファテの背後には『強力なブレイン』も付いています。その人とコンタクトを取るのを目的にサファテを獲るのでは」(前出・同)
強力なブレイン。外国人選手の『ハズレ』が少ない広島には、優秀なスカウトがいた。元日本ハムのエリック・シュールストロム氏だ。氏は広島の渉外担当役として、日本球界向きの助っ人を次々と発掘してきたのだ。ルイス(現レンジャーズ)、ベイル、ラロッカ、サファテ、ミコライオ…。サファテが他球団と交渉する場合、その窓口を務めるのは代理人だ。しかし、サファテ獲得後、シュールストロム氏と“お近づき”になれるチャンスはできるだろう。本当に欲しいのは、名スカウトのシュールストロム氏の方なのかもしれない。