日程を見ると、A組の日本は第1ラウンド(3月2日〜6日)を福岡ヤフードームで戦い、上位2チームに入れば第2ラウンド(3月8日〜12日)の東京ドームに進む。そこでB組(韓国、オーストラリア、オランダなど)の上位2位と対戦し、第1代表と第2代表を決めるのだ。
その2チームが今度はサンフランシスコAT&Tパークで開かれる決勝トーナメントに移動し、プエルトリコと米アリゾナを舞台に予選ラウンドを戦ってきたC組(ドミニカ、プエルトリコ、ベネズエラなど)、D組(イタリア、メキシコ、米国など)を勝ち抜いた2チームと世界一を競うことになる。
「第2ラウンドはトーナメント形式ですが、もし、韓国に敗れても敗者復活戦があるので最終的に日本と韓国が決勝トーナメントに進むでしょう。赤い稲妻の異名を持つキューバは亡命による主力のメジャー流出で戦力ダウンが否めない。むしろ、気になるのが中6日で始まる決勝トーナメントです。日本が8280km(東京−サンフランシスコ)ある太平洋移動をどのようにこなすか。これがクリアできれば、WBCの全日程がそのまま日米間の交流戦に応用できるわけですから」(スポーツ紙デスク)
要するに、今回のWBCで侍ジャパンがスムーズに日米間の移動をこなせれば、2次テストもクリアとなるわけで、リアル・ワールドシリーズを思い描く孫オーナーの意向を組む王会長が「秋山監督」にこだわったのはそのためだ。自前の監督なら苦情が出る心配が少ないからである。
もっとも、公式戦の日米交流戦導入に関してはセ・リーグが先行している。
3月のマリナーズ×アスレチックス日本開幕戦に伴う巨人、阪神とのオープン戦を読売が主催したように、セ側はダルビッシュを有するレンジャーズも所属するア・リーグ西地区にターゲットを絞って、水面下で準備を進めているからだ。西海岸への移動なら比較的容易なこともあり、年に1回でも巨人×レンジャーズを、ということなのだろう。
本来は人気面で劣ったパ側が苦肉の策として打ち出した日米交流戦プランなのだが、阪神の人気急下降もあり、状況が一変。セ側が国内交流戦に代わる人気回復策としてメジャー交流戦に目を向けだしているのだという。
「一方、孫オーナーは日米決戦の価値を高めるためにもリアル・ワールドシリーズにこだわっているといわれ、両者は微妙に棲み分けられているのですが、主導権争いを巡り読売とソフトバンクが衝突するかもしれません」(球界関係者)
山本ジャパンは誕生したが、評価はイマイチ。
いずれにしても、今度のWBCの太平洋をまたいだ中6日の日米移動が、今後、孫ソフトバンクの野望に大きな影響を与える事は間違いない。