スポーツ
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スポーツ 2013年02月06日 15時30分
大鵬孫に続き力道山の孫もプロレスデビューへ
1月19日に亡くなった元横綱・大鵬さん(本名・納谷幸喜氏=享年72)の孫である納谷幸男君(18)が、初代タイガーマスクの佐山聡主宰のリアルジャパン・プロレスに入門することを先に報じたが、今度は力道山の孫がプロレスの門を叩くことになった。 力道山といえば、大鵬さんと並ぶ昭和のヒーローだったが、63年12月15日に39歳の若さで他界した。今年で没後50年。その節目の年に、偉大なDNAを受け継いだ3世が、祖父と同じ道へ進む。 プロレス入りするのは、力道山の次男で現役プロレスラー・百田光雄(64)の子息である百田力さん(31)で、2月5日、父が所属する天龍プロジェクト(天龍源一郎主宰)の東京・新木場1st RING大会で、同団体への入団が発表された。 力さんは「できれば夏までにデビューしたい気持ちがある。(祖父の)没50年の年に、自分もプロとして試合をしたい」と語ったが、父・光雄は「年齢的にもあわててやっても仕方ないから、じっくりやらせる。親父が亡くなって50年だし、命日までにデビューできれば」と話した。 力さんは81年10月24日生まれ、東京都出身。甲子園にも出場した慶応大野球部の田村圭投手は、父の妹の子息でいとこにあたる。身長は175センチで、プロレスラーとしては小柄な部類に入る。茨城・土浦日大高ではレスリング部で活躍し、日本大学法学部進学後はジムでトレーニングをして体を鍛えた。04年に当時、父が籍を置いていたプロレスリング・ノアの入門テストを受けたが不合格。 いったんはプロレス入りの夢をあきらめかけたが、父がノアを退団し、天龍プロジェクトのリングに上がるようになって、格闘技への熱が再沸騰。桜庭和志のジム「Laughter7」で格闘技を学び、最近では折原昌夫(天龍プロジェクト)の道場で練習に励んでいた。 すでにベースはできているため、デビューまでへの道は、そう遠くはなさそう。デビューした暁には、力道山2世と3世のタッグ結成の夢も広がる。(落合一郎)*写真は父の百田光雄(64)
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スポーツ 2013年02月05日 15時30分
ロンドン五輪ボクシング金メダリスト・村田諒太のプロ転向にフジテレビが暗躍!?
ロンドン五輪ボクシング男子ミドル級金メダリストの村田諒太(27=東洋大職員)が、アマチュア側とのすったもんだの末、2月2日にプロ転向の意思があることを明らかにした。 日本アマチュアボクシング連盟・山根明会長によると、村田から「プロに行きます」と打ち明けられたのは1月14日だという。村田はこれまで、国際連盟(AIBA)が独自に設立するプロ団体(APB)への参加要請を引退の可能性を理由に断った。その一方で、全日本社会人選手権出場へ意欲を見せたり、独自にプロ転向に動くなど、日本連盟からすると行動に一貫性を欠いていた。 そのため、態度を硬化した連盟は2日の理事会で、プロ転向の意思がある村田のアマ選手としての引退勧告を全会一致で決議した。 その後、同日夜に村田と山根会長が緊急会談し、礼節を欠いた村田が全面謝罪し、ひとまず和解に至った。会談後、村田は初めて公の場で「プロに行きたい気持ちはある」と明言した。 村田のプロ入りに際し、最大の障害となるのが“生活面の安定”だ。大学職員の村田はアマで引退しても、定年まで安定した生活を保つことができるし退職金もある。プロに入れば、安定した収入はなくなり、引退後の保障は何もない。 そこで、村田のプロ入りに向け、暗躍しているのがフジテレビだというのだ。ボクシング世界王者の亀田興毅、井岡一翔を擁するTBSはボクシング中継で高い視聴率をマークしている。フジは金メダリストの村田の試合なら、高視聴率を弾き出すコンテンツになり得ると判断。村田と専属契約すべく動いているもようだ。 受け入れ先は、フジと縁が深い三迫ジム(三迫仁志会長)が最有力。同ジムは輪島功一(元WBA&WBC世界スーパーウエルター級王者)、三原正(元WBAスーパーウエルター級王者)、友利正(元WBC世界ライトフライ級王者)と3人の世界王者を輩出した。64年東京五輪バンタム級金メダリストの桜井孝雄も在籍した。 スポーツジャーナリストのA氏は「フジは村田を獲得するために、社員として入社させるウルトラCも検討しているようです。フジは過去に女子モーグルの里谷多英を社員として支援した実績があります。里谷は先に引退表明しましたが、引退後もフジに残ると発表しています。社員という形であれば、生活も安定し引退後も保障されますので、村田を口説く大きな一手になります」と語る。 村田は「プロとしてやるのなら勝つことが最低条件。一番強くなる環境、皆さんに応援される状況をつくらないと。そうしたことが決まらないと、どこのジムに行くとかは決められない。決めるべきものが決まらないのであれば、ハッキリいってプロに行かなくてもいい」と慎重な姿勢を示しているが、テレビ局主導という異例の形でのプロ転向が現実のものとなる可能性もありそうだ。(落合一郎)
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スポーツ 2013年02月04日 15時30分
“公務員ランナー”川内優輝してやったり! ロンドン五輪入賞選手に勝って世界陸上へ
まさに痛快というしかない。実業団に所属しない“公務員ランナー”が、ロンドン五輪入賞選手を打ち破った。 昨年のロンドン五輪日本代表に選ばれなかった市民ランナーの星である川内優輝(25=埼玉県庁)が、2月3日、世界陸上への選考対象でもある「別府大分毎日マラソン」に出場。ロンドン五輪で6位に入賞し、日本人男子最上位だった中本健太郎(30=安川電機)でデッドヒートを繰り広げた末、優勝を果たした。 今回のレースで、五輪代表に選ばれなかった悔しさを、五輪で入賞した中本にぶつけて、勝った意義は大きい。 タイムは2時間8分15秒で、大会新。さらに、11年2月の東京マラソンでマークした2時間8分37秒の自己記録を22秒更新した。 これで、川内は8月にモスクワで開催される世界陸上の男子マラソン代表候補の最右翼に浮上したといっていいだろう。 世界陸上の出場枠は5。最優先で選考されるのは昨年12月の福岡国際、2月24日の東京マラソン、3月3日のびわ湖毎日マラソン。この3レースで派遣設定記録(2時間7分59秒)をクリアした日本人1位は代表決定する。 さらに、昨年のベルリン、シカゴ、ニューヨークシティー(中止)と今年のボストン、ロンドンで派遣設定記録をクリアすれば候補となる。 上記いずれのレースでも、候補が満たない場合は福岡国際、東京、びわ湖毎日に今回の別府大分毎日を加えた4大会の日本人3位以内から選ばれる。 現時点で代表が決まった選手はおらず、福岡国際で日本人1位(全体2位)だった堀端宏行(旭化成)の2時間8分24秒の記録を川内が上回り、代表となるのが有力だ。 川内は当初、選考レースのびわ湖毎日に出場予定だったが、今回好タイムを出したことで回避。「代表に選ばれる想定をし、8月から逆算して調整したい」として、3月17日のソウル国際マラソンへの出場を予定し、世界陸上へ備える腹づもりだ。(落合一郎)
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スポーツ 2013年02月02日 17時59分
獄中から関係者に手紙で本音を明かしていた内柴被告
11年9月に都内の合宿先のホテルで泥酔していた教え子の大学女子柔道部員を乱暴したとして準強姦(ごうかん)罪に問われていたアテネ・北京両五輪の柔道金メダリスト内柴正人被告の判決公判で東京地裁は1日、求刑通り懲役5年の実刑判決を言い渡した。 報道をまとめると、「被告人の供述は全く信用することができない」として鬼沢友直裁判長は内柴被告の主張を全面的に退け、内柴被告は控訴手続きについて説明する鬼沢友直裁判長の声を遮り、真っ赤な顔で「(控訴を)させてもらいます」と声を張り上げた。閉廷後は弁護団を通じ「応援してくれる人にとっては残念な結果となったが、まだ僕には頑張る気持ちがあるので、もう少し待っていてほしい。僕は無実だ」とコメントし、即日控訴した。 「内柴被告には5人の弁護団がついているが、もはや打つ手がなく、減刑すら難しい。現段階で未決勾留日数が240日で、このまま控訴・上告すれば未決が増え、実際の刑期は未決の分短くなるが…」(スポーツ紙記者) 法廷では自らの無罪を主張しかなり強気な内柴被告だったが、1月中旬、フジテレビのニュース番組が内柴被告が東京拘置所から関係者にあてた7通の手紙の中身を報じた。 それによると、内柴被告は判決を控え、「不安が日に日に増しています」とかなり弱気な本音を明かしている。「みんなにつらい思いをさせているということ。自分をいさめるための気持ちも強くもっております」と反省の態度も示しており、裁判が結審しても、保釈を求める申請はしない意向。その理由について、「僕が保釈(申請)を断っている理由の1つに離婚もあり、子どもに会えない今となっては出る理由はありません」と昨年11月に離婚したことを報告していた。 判決を受け、講道館は会員登録の永久停止処分を科す意向で、日本オリンピック委員会(JOC)は2個の金メダル返還を要求する意向を明らかにしただけに、もはや内柴被告には失う物が何もなくなりそうだ。
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スポーツ 2013年02月02日 17時59分
ソフトバンク・陽耀勲 前代未聞のキャンプボイコットの裏側
ソフトバンク・陽耀勲(ヤン・ヤオシュン)投手(30)が、キャンプ入りをボイコットした。陽は1月29日に台湾から来日したものの、キャンプ地の宮崎に向かわなかった。 実は陽は今季の契約が未更改。昨オフに今季もソフトバンクでプレーすることを約束し、球団は保留選手名簿に載せた。年俸は昨季の1100万円から、5000万円程度(金額はいずれも推定)の大幅アップで条件提示している。 ところが、陽が1月に代理人を変更したことで、事態は暗転した。新たな代理人となったのは、松坂大輔投手(レッドソックスからFA)らと契約する“凄腕”のスコット・ボラス氏。球団は陽側と交渉を重ねてきたが、折り合わず。時間切れでキャンプインを迎えたため、「契約がまとまるまでキャンプには参加できない」(陽側)と、宮崎への帯同を拒否した。 陽側が要求していると思われるのが、来季のメジャー挑戦容認。そのために、今季終了後に自由契約にすることを求めているものとみられている。 契約がこじれても、陽は保留選手名簿に入っているため、海外を含めた他球団と契約することはできず、ソフトバンクと妥協点を見出すしかない。 ボラス氏は時間をかけて強気に交渉するタイプで、早期決着は難しそうな気配。陽はWBC台湾代表候補に入っており、最悪の場合、ソフトバンクのキャンプを飛ばして、台湾代表に合流する恐れもある。 陽は日本ハムの中堅手・陽岱鋼(よう・だいかん)外野手の実兄で、06年にソフトバンクに入団。当初は鳴かず飛ばずだったが、昨季は9試合投げて2勝3敗ながら、防御率1.48と安定。今季は左のローテーション投手として、期待されていた。球団としては、プロ経験がない陽を一から育てたとの思いが強く、そう簡単にメジャー挑戦は容認できない方針。 石渡編成育成部長は「1日も早くお互いの接点を見つけたい」と語っているが、交渉は難航する可能性も高い。契約がまとまっても、合流が遅れれば、当然調整にも時間がかかり、開幕1軍に不安が残る。(落合一郎)
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スポーツ 2013年02月02日 13時12分
昭和の大横綱・大鵬死去 栄光の裏に隠された引退後の悲しき半生(2)
現役時代のライバルに横綱佐田の山(出羽海部屋)がいた。横綱としての実績では大鵬に遥かに及ばないものの、名門出羽海一門の将来の領袖として嘱望された。そのため、それまで名声を欲しいままにした大鵬は、理事長レースでも辛酸を舐めることになる。 「大鵬と佐田の山の2人は現役時代から競い合いましたが、遅れて横綱に昇進した佐田の山が先に引退し、親方として経験を積んで着々と実績を残した。大鵬は器は大きいにもかかわらず、理事長になれなかった。原因は脳梗塞を患ったこともありますが、当時の春日野理事長(元横綱栃錦)が二子山(元横綱初代若乃花)に理事長職を禅譲する際、“次は出羽海に”という約束を交わしたからだといわれています」(スポーツ紙記者) 大鵬は夫人との間に3人の娘をもうける。そして、三女が二子山部屋の元関脇貴闘力と結婚。'05年の定年退職後は貴闘力に部屋を譲ったが、一代年寄であったため、もともと持っていた『大嶽』部屋として大鵬部屋を継承した。しかし、貴闘力改め大嶽親方は大の博打好き。'10年、野球賭博事件では大関琴光喜とともに、相撲協会を解雇されてしまったことは記憶に新しい。その後、大嶽親方は三女とも離婚。『大嶽部屋』は、大鵬親方の直弟子で部屋付親方の元十両大竜が継承した。 「大嶽さんは、角界追放後も『オレの博打好きは病気みたいなものだから』と、ギャンブル三昧。しかし、その一方で、東日本大震災後は被災地に炊き出しなどのボランティアに出掛けていた。実は大鵬さんも夫人とともに都内の街頭で募金を呼びかけたり、積極的に活動していました。大嶽さんのボランティア活動にもいたく感激していたんですよ」(相撲関係者) 亡くなる前、大鵬は枕元に駆け付けた元大嶽親方に対して、「いつでも戻ってきていいんだよ」と語りかけていたといわれる。そして、最期まで相撲への思いも途絶えることがなかった。 「大鵬さんは大相撲改革に熱心で、現役力士では白鵬がとても慕っていました。『白鵬』は柏戸の『柏』と大鵬の『鵬』を取ってつけた四股名。非常に色白だったことから『柏』は“白”の字になりましたが、四股名の意味は両者を合わせたような硬軟自在の相撲が取れる力士になることです」(同) その願い通り、白鵬は攻めてよし、守ってよしの強豪力士に成長した。ベテラン相撲記者も言う。 「親方衆の中では守旧派の理事ではなく、改革派の中心である貴乃花親方に肩入れしていました。3年前の理事選で貴乃花親方が理事になれたのも、大鵬さんが後見人になったからです」 大相撲の頂点に立った大鵬の血を継ぐ孫が、もし相撲界にデビューしたら、どうだろう。 実はこの孫が、高校相撲の名門、埼玉栄高校相撲部で稽古に励んでいる。 「大鵬さんの孫は4人いますが、その1人、納屋幸林(たかもり)君は、さいたま市内の学校に通う中学生です。ところが、同級生では相手にならず栄高校に出稽古して精進しています。幸林君は大鵬さんの体型そっくりで、胴長で懐が深く手が長い。どっしりとした安定感あるお尻は、お爺ちゃんを彷彿とさせます。大鵬さんはこの孫をとても可愛がり、『うちの幸林は白鵬以上の逸材だ!』と自慢していたほどです」(前出・スポーツ紙記者) 外国人力士に席巻された土俵が再び沸くかどうかは、日本人力士の出現次第。波乱の人生を送った昭和の大横綱も、自分の孫が大相撲人気復活の牽引者となれば、草場の陰で男泣きすることだろう。
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スポーツ 2013年02月01日 15時30分
年寄名跡売買禁止の方向も実態伴わない可能性も
新公益財団法人への移行にあたって、日本相撲協会は1月31日、東京・両国国技館で理事会と全親方らで評議員会を開き、懸案の年寄名跡の扱いについて協議した。同会では名跡の取得に絡む金銭授受の禁止や、違反した場合は角界追放の罰則を盛り込んだ規定案を承認した。 かねて、年寄名跡は億単位にも及ぶ高額での売買が問題視され、新公益法人では改革が求められていた。一時は協会が名跡を一括管理し、名跡を引き取る際に親方に「特別功労金」を給付する案も出ていた。ただ、これを実行するとなると、協会は巨額の拠出が必要となる。協会では赤字体質の現状を考慮し、同案は消えた。 新たな案では、名跡は協会が管理し、親方が後継者を推薦できる権利を持つというもの。現在横行している、所有者から名跡を借りる「借株」は廃止となる。現状、これを利用している親方には、経過措置として新法人移行後に3年間の猶予を設ける。 名跡が個人から協会の管理に変わるにあたって、金銭授受が禁止されるといっても、金銭のやり取りが全面的に禁じられるわけではない。名跡を譲り受けた親方が先代親方に「顧問料」などの名目で、金銭の支払いを認めるというのだ。ただし、年1回、取引内容の報告義務を課し、協会の危機管理委員会で内容を監査する。 つまり、売買は禁止されるが、顧問料などの名目での金銭の支払いは認められるわけだから、「売買禁止」は実態が伴わなくなってしまうのだ。 現在の親方は高額のカネを支払って、名跡を取得しており、金銭のやり取りが全面禁止となれば、大損となってしまう。その抜け道となるのが、顧問料なわけだ。名跡が個人から協会管理になるのは大きな改革ではあるが、取得にあたって、金銭を一括払いするか、顧問料名目で分割払いするかの違いにしかすぎず、その意味では真の改革にはならないのではなかろうか。(落合一郎)
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スポーツ 2013年01月31日 15時30分
糸井放出でも、日本ハムにメリットあったオリックスとの大型トレード
1月23日、日本ハム、オリックス両球団から発表された大型トレードは実にインパクトのあるものだった。同トレードでは日本ハムが糸井嘉男外野手(31)と、06年新人王の八木智哉投手(29)を放出。オリックスから木佐貫洋投手(32)、大引啓次内野手(28)、赤田将吾外野手(32)の3選手を獲得した。 日本ハムは球界ナンバー1外野手といってもいい糸井を出しただけに、「オリックスが得した」との印象はぬぐえなかった。しかし、意外にも、このトレードは日本ハムにも大きなメリットがあったのだ。 確かに糸井が抜けた穴は大きく、右翼は固定できそうになく、複数の選手で競うことになりそうだ。ただ、糸井がいなくなったことで、二刀流に挑むルーキーの大谷翔平(18)を右翼にチャレンジさせる土壌も整った。 木佐貫の加入は手薄な先発陣の層を厚くし、栗山英樹監督(51)は早くも、木佐貫のローテーション入り確定を口にした。 そして、オリックスの正遊撃手であった大引が加わったことで、懸案だった内野の整備ができそうだ。もともと、日本ハムには金子誠内野手(37)という正遊撃手がいる。しかし、ここ3年、金子は故障や年齢的な配慮から出場機会が減っていた。さらに、左大腿骨軟骨損傷のため、昨年11月12日に左ヒザの手術を受けており、無理はできない状態。 そこで浮上したのが、金子を負担の少ない二塁にコンバートする案だ。遊撃に大引が入れば、金子を二塁に回すことが可能になる。日本ハムの二塁は田中賢介内野手(31)が守っていたが、海外FA権を行使してジャインツに移籍(マイナー契約)して、“空き家”となっている。 昨年8月に田中が左腕を骨折し戦線離脱してからは、西川遥輝内野手(20)、杉谷拳士内野手(21)らが二塁を守ったが、帯に短したすきに長しで、ポジションを奪うには至らず。その二塁に金子が回れば、抜けた田中の穴は埋まる。 元来、金子は01年まで二塁手で、98、99年にはゴールデングラブ賞、99年にはベストナインを受賞しており、二塁へのコンバートにはなんの不安もない。 こうしてみれば、糸井放出の痛手はあったものの、補強ポイントをカバーできた今回の大型トレードは、意外に日本ハムにも大きなメリットを生むことになりそうだ。(落合一郎)
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スポーツ 2013年01月30日 15時40分
日本ハム・斎藤佑樹 オリックスとの大型トレード余波で中継ぎ降格か?
3年目を迎えた日本ハム・斎藤佑樹投手(24)が、中継ぎ降格危機に瀕している。 昨季、栗山英樹監督(51)の寵愛を受け、開幕投手に抜てきされ、スタートダッシュに成功し、6月6日には5勝目を挙げたが、その後失速。7月30日にはプロ入り初の不振での2軍落ちを経験。2カ月かかって1軍に戻ったが、戦力にはならず。11月3日の日本シリーズ第5戦(対巨人)では敗戦処理で登板したが、メッタ打ちに遭った上、試合後に右肩痛を訴えた。 右肩の違和感は3カ月経った今でも消えず、満足な投球練習はいまだにできていない。2月1日に始まる沖縄キャンプでは、プロ入り初の2軍スタートが決まった。この状況だと、開幕1軍すら危うくなってきた。仮に、開幕に間に合っても、ローテーションから外される可能性も高くなってきたのだ。その要因となったのは、1月23日に発表されたオリックスとの大型トレード。日本ハムは主力打者の糸井嘉男外野手(31)らを放出し、オリックスから木佐貫洋投手(32)らを獲得した。 木佐貫は昨季5勝、11年は2勝と不振に終わっているが、ルーキーイヤーの03年、07年、10年に3度2ケタ勝利を飾っている。栗山監督は「イニングも投げられるし、1年間、安定して投げられる投手。ローテーションの真ん中ぐらいで投げてくれると助かる」と、その実績を高く評価し、ローテーション入りを早くも明言した。 日本ハムの先発ローテは昨季、14勝(5敗)をマークし、リーグ最優秀防御率に輝いた吉川光夫投手(24)を始め、武田勝投手(34)、ブライアン・ウルフ投手(32)、ボビー・ケッペル投手(30)の4人は確定。吉川、ケッペルは故障明けだが、開幕には問題なさそう。これに木佐貫が加われば、残る枠は1しかない。この1枠を斎藤、中村勝投手(21)、谷元圭介投手(28)あたりで争うことになる。 調整が遅れている斎藤が、この争いに敗れて、先発ではなく中継ぎに回される可能性は十分。栗山監督は「冷静に考えた時に(ローテーションは)固まっている。斎藤のチャンスは少ない」とキッパリ。 今回のオリックスとのトレード余波で、斎藤は思わぬ窮地に追い込まれることになった。(落合一郎)
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スポーツ 2013年01月29日 11時45分
門戸拡大の『落とし穴』 プロOB指導者を雇用する高校は増えるのか?
新設の研修を受講すれば、プロ野球経験者に『指導者資格』を与える方向性が確認された。去る1月17日、プロ野球と日本学生野球協会の合同協議会が開かれた。これまで、プロ野球経験者が高校野球の監督、指導者になるためには、中・高校での2年以上の教諭歴(非常勤を含む)が必要とされたが、その規定が廃止され、プロ、学生双方の設けた『研修』を受ければ高校球児を指導できるようになる。 今後の予定だが、まず、高校野球・センバツ大会前日の『高野連・全国理事会』で、前述の協議会内容が説明される(3月21日)。各都道府県の理事たちが『反対』しなければ、「年内実施」の方向で動き出すという。1961年の『柳川事件』以降、断絶状態にあったプロ・アマ間の長い隔たりを思えば、“歴史的出来事”と言っても過言ではないだろう。 しかし、喜ぶのはまだ早い。合同協議会でプロ、アマの主要出席者が“興味深い発言”をしていた。 「思っていた以上の進展。早く実現できるように研修内容の案を固めていきたい」(NPB・下田邦夫事務局長) 「(今回の条件緩和で)高校の監督にすぐに雇用されるわけではないが、高校野球に恩返ししたいというプロ選手たちの思いも聞いてきた結果」(高野連・西岡宏堂理事) もともと、2年の教諭実績の撤廃を“お願い”したのは、NPB側である。昨年の定例会合で提案した際、学生側が「代案があるのなら、検討する」と“前向きに”回答。これを受け、NPB側が今回の座学による研修カリキュラムシステムを提案したわけだが、下田局長の「思っていた以上の進展」なるコメントが、駆け足で決まった内情を表している。同局長は記者団から「座学の具体的な内容」について質問された際、「これから作る」と話していた。 つまり、この短期間で高野連がここまで歩み寄ってくるとは思っていなかったのだろう。研修の具体的な中身をまとめるのは、これからということになる。 また、西岡理事の言葉も“意味シン”だ。「高校の監督にすぐに雇用されるわけではないが…」と、前置きしている。 「2年以上の教諭実績」という条件は撤廃するが、実際に指導者として雇用されるか否か、あるいは、『臨時コーチ』だとしても、その要請があるかどうかは、学校経営者次第なのだ。 プロ野球選手、並びに元プロは「高校野球の指導者職」を再就職として捉えていると聞く。ボランティアでも高校生を教えたいと思うプロ野球OBはどれくらいいるだろうか。 昨春時点で、改定前の規定をクリアして高校野球指導者となった元プロ選手は30人(海外、独立を含む/12年春時点)。教員として採用試験を受けた者もいるが、プロ入り前のツテや学生時代の恩師の紹介で赴任先を得たOBもいないわけではない。 どの高校も少子化で学校経営は厳しいという。そういったなかで“部活動指導者”を増やす余裕(人件費)はないと思うのだが…。 こちらが調べた限りでは、赴任先の高校について「学生時代の恩師や地元関係者にお世話になった」と話す元プロの指導者も少なくなかった。 今後、NPBが取り組むべき課題は研修内容だけではない。プロ野球選手会ともスクラムを組み、高校野球指導を目指すOBたちの就職斡旋についても、考えていかなければならないだろう。(スポーツライター・美山和也)