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年寄名跡売買禁止の方向も実態伴わない可能性も

 新公益財団法人への移行にあたって、日本相撲協会は1月31日、東京・両国国技館で理事会と全親方らで評議員会を開き、懸案の年寄名跡の扱いについて協議した。同会では名跡の取得に絡む金銭授受の禁止や、違反した場合は角界追放の罰則を盛り込んだ規定案を承認した。

 かねて、年寄名跡は億単位にも及ぶ高額での売買が問題視され、新公益法人では改革が求められていた。一時は協会が名跡を一括管理し、名跡を引き取る際に親方に「特別功労金」を給付する案も出ていた。ただ、これを実行するとなると、協会は巨額の拠出が必要となる。協会では赤字体質の現状を考慮し、同案は消えた。

 新たな案では、名跡は協会が管理し、親方が後継者を推薦できる権利を持つというもの。現在横行している、所有者から名跡を借りる「借株」は廃止となる。現状、これを利用している親方には、経過措置として新法人移行後に3年間の猶予を設ける。

 名跡が個人から協会の管理に変わるにあたって、金銭授受が禁止されるといっても、金銭のやり取りが全面的に禁じられるわけではない。名跡を譲り受けた親方が先代親方に「顧問料」などの名目で、金銭の支払いを認めるというのだ。ただし、年1回、取引内容の報告義務を課し、協会の危機管理委員会で内容を監査する。

 つまり、売買は禁止されるが、顧問料などの名目での金銭の支払いは認められるわけだから、「売買禁止」は実態が伴わなくなってしまうのだ。

 現在の親方は高額のカネを支払って、名跡を取得しており、金銭のやり取りが全面禁止となれば、大損となってしまう。その抜け道となるのが、顧問料なわけだ。名跡が個人から協会管理になるのは大きな改革ではあるが、取得にあたって、金銭を一括払いするか、顧問料名目で分割払いするかの違いにしかすぎず、その意味では真の改革にはならないのではなかろうか。
(落合一郎)

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