スポーツ
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スポーツ 2013年02月12日 15時30分
2013年プロ野球キャンプレポート・番外編 日本球界の育成システムは本当に優れているのか…(後編)
キャンプイン直前の1月23日、WBC・侍ジャパンのスタメン候補でもある糸井嘉男外野手(31)がトレード放出された。将来のキャプテン候補・大引啓次内野手(28)を交換要員として失ったが、糸井を得たオリックス打線は脅威である。その糸井が『投手』でプロ入りした経緯は有名だが、その投手時代にこんな秘話もあった。「二塁に走者を置くだけでオドオドしてしまい、ボークを取られたことも」−−。 メンタル面での脆さである。 過去、投手から打者に転向して成功したプロ野球選手は少なくない。しかし、「打者に転向できるほどの打撃センス」がなく、そのまま消えていた“チキンハートの投手”は、もっと多い。メジャーリーグでは選手の能力を発揮させる方法として、また、育成の一環として、『メンタルトレーニング』に重点を置いている。 「キャンプにメンタル・トレーナーがいるんです。メジャーリーグでは日常的にカウンセリングが行われ、シーズン中もカウンセラーを帯同させています」(元メジャーリーグスタッフ) 精神面に重点を置く理由は、簡単だ。メンタルトレーニングが「選手の潜在能力を最大限に発揮させる方法」として位置づけられているからだ。 メジャー式・メンタルトレーニングを紹介する書籍も発表されているが、スランプに陥った選手を励まし、前述の糸井のようなマイナス思考を払拭させるだけではない。たとえば、ルーキーリーグの若手には、こんなディスカッションも行われている。 「(仮説の質問として)アナタは、デビュー戦で大活躍しました。感想は?」 選手の回答は人それぞれだが、こうしたいくつかの質問に対し、楽観的アンサーが多い者、悲観的アンサー(慎重な回答も)が多い者に別れていく。一方を非難するのではなく、選手を精神面で成長させる手段として、その回答に応じてカウンセラーが助言を与えていく。 チャンスに強いタイプ、追い込まれるともろいタイプかを指揮官が把握していれば、選手を追い込むような起用はしないはずだ。スランプでも試合に使った方がいい選手もいれば、その反対もいる。メンタルトレーニングによる成長と同時に、監督が選手の個性を把握するデータ収集にも応用されているのではないだろうか。 また、メジャーでは専門のフロント職員との面談も定期的に行われている。その頻度は球団によって異なり、ファームディレクターが兼任担当する球団もあるそうだが、その『1対1』の話し合いのなかでは、球団に対する“不平不満”も出る。ロッカーの衛生面、食事メニュー、チャーター機や遠征先ホテルの状況、コーチへの不満、不仲選手に対する愚痴…。あるプロ野球解説者によれば、「契約更改の席でそういった話をすることが多かった」とのことだが、メジャーリーグの“度量の大きさ”だろう。こうした不満に対し、後日、必ず回答するそうだ。その言い分が正しければ球団が改善し、即実行できないことに関しても、その理由をきちんと説明しているそうだ。 「ロッカールームなどの改善要求はほとんど出ない。いちばん多いのは自身の起用法に関する愚痴。何故、ライバル選手の方が起用されるのかといった…」(前出・元スタッフ) 起用法についても、球団は誠意を持って、監督、コーチの評価を伝える。采配にエコ贔屓であれば、ゼネラルマネージャーが動くところだが、そういったケースはほとんどないだろう。『面談』の回答を、自身の技術的に足らないところを補う契機にするか否かは、「選手次第」となる。(とはいえ、話が一方通行にならない点は興味深い。) ルーキーリーグから3Aまでの選手数は、約250人。おおよそ、10人中1人だけがメジャーに昇格できる計算だ。細部に及ぶ選手育成のプログラムがあっても、10人中9人が消えていく環境を考えると、日本の野球選手は、自国のプロ組織で実力を養い、FAでメジャー契約を交わした方が得策かもしれない。 メジャーリーグの育成ビジョンは見倣うべき点も多く、前編では二刀流を目指す大谷翔平のオタオタぶりも伝えた。「もっと、優しくしてやれよ〜」とも思ったが、全ては本人次第という点では、日米ともに変わらないようだ。(了/スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2013年02月11日 16時28分
松坂大輔 インディアンス入りした意外な裏事情
昨オフ、レッドソックスとの6年契約が満了してFAとなり、移籍先が決まっていなかった松坂大輔投手(32)が、2月10日(日本時間11日)、インディアンスとマイナー契約で合意に達した。 契約条件はメジャー昇格した場合の基本年俸は150万ドル(約1億3800万円)で、出来高払いを含め最高で400万ドル(約3億7000万円)になるとみられる。昨季の年俸は1000万ドル(当時約8億円)で、出来高を満額獲得できても、年俸は60%の大幅ダウンとなる。松坂はスプリングキャンプに招待選手として参加し、メジャー昇格を目指す。 松坂は11年6月に右ヒジじん帯の再建手術を受け、長期戦線離脱。昨年6月に復帰したものの、11試合に登板して、1勝7敗、防御率8.28と惨たんたる成績だった。故障から復帰途上の松坂にとっては、マイナー契約も年俸大幅減も受け入れるしかなかった。 インディアンスは、前所属のレッドソックスと同じア・リーグで中地区に属する。昨季は68勝94敗で地区4位だった。 松坂には数々のオファーが舞い込んでいた。マーリンズ、パドレス、メッツ、アストロズ、ツインズ、ダイヤモンドバックスなどが獲得に興味をもったもよう。なかでも、マーリンズはメジャー契約を提示したが、最終的に選択したのはインディアンスだった。 ポイントとなったのは先発投手陣の事情と監督だった。今季のインディアンスのチーム防御率は4.79で、メジャー30球団でワースト2位。先発投手のチーム防御率となると、5.25とさらに跳ね上がる。確定している先発陣はエースのジャスティン・マスターソン投手、ウバルド・ヒメネス投手、ホワイトソックスから移籍のブレット・マイヤーズ投手の3人のみと手薄で、4番手以降は競争となるため、松坂にも十分チャンスがある。 さらに、今季から元レッドソックス監督のテリー・フランコーナ氏が指揮を執る。フランコーナ監督は松坂が入団した07年〜11年まで、間近で見ており、松坂のいい時も悪い時も熟知している。いわば気心の知れた存在で、本格復帰を目指す松坂には格好の指揮官となる。 そして、松坂のインディアンス入りを決定づけたのは、自宅のあるマサチューセッツ州ボストンから、本拠地がほど近い点だ。インディアンスの本拠はオハイオ州クリーブランドで、マサチューセッツ州とはニューヨーク州、ペンシルバニア州をはさんで隣の隣となる。 夫人の元日本テレビ・柴田倫世アナはボストンに強いこだわりがあり、現段階で転居の予定はないようだ。レッドソックスと同一リーグで、ボストンからそう遠くないクリーブランドが本拠なら、対戦チームによっては、遠征時、試合後に自宅に帰ることも可能。実は松坂にとっては、これが最も重要な条件だったかもしれないのだ。 キャンプに滑り込みで所属先が決まった松坂には、復活を期待したいものだ。また、リーグが変わらなかったことで、今季も同一リーグとなるイチロー外野手(ヤンキース=東地区)との対戦や、ダルビッシュ有投手(レンジャーズ=西地区)との投げ合いにも注目が集まる。(落合一郎)
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スポーツ 2013年02月11日 15時30分
2013年プロ野球キャンプレポート・番外編 日本球界の育成システムは本当に優れているのか…(前編)
北海道日本ハムファイターズの二軍キャンプに異例の500人余の観戦者が訪れたのは、2月3日だった。関係者によれば、同日の一軍キャンプよりも観戦者が多かったという。そんな異例事態が起きたのは、1つ。昨夏の岩手県大会準決勝で160キロをマークし、『投手』と『野手』の二刀流を目指す大型新人・大谷翔平投手(18)への期待の大きさからだろう。 しかし、キャンプ序盤を見る限り、その黄金ルーキーは戸惑っているばかりだった−−。 2月1日(キャンプ初日)、『投手・練習メニュー』から野手組の『投内連携プレー』に駆けつけたが、間に合わなかった。次の『内野ノック』でも、どのポジションに入っていいのか分からず、二軍監督から一喝。 同3日、初のブルペン入り。午後、フリー打撃も行ったが、午前中の『投手・練習メニュー』に疲れたのか、柵越えは1本…。 同5日、内野のサインプレーに遊撃手として参加。サインを完全に覚えていないのか、投手が牽制球を放るタイミングが分からず、ベテラン金子誠が直接指導。 日本ハムはメジャー志望の強かった大谷を説得する際、韓国の高校球児が自国プロ組織を経ず、メジャー挑戦し(マイナー・ルーキーリーグ)、失敗したデータ表も提示している。だが、メジャーリーグの新人教育システムは“煩雑”で、日本プロ野球よりも劣るものなのだろうか…。その関係者や米マイナー球界を経験したプロ野球OBたちの証言をもとに、検証してみた。 まず、メジャースカウトが重視するのは『身体能力』だという。この点においては日米ともに変わらないが、日本球界よりも「優れている」と思われるのは、入団1年目の選手との関わり方だ。 たとえば、ドジャースなど西海岸の球団では、新人選手の体力測定後、個々の『コンディショニング・プログラム』が作成されている。『強化ポイント』を明確にするためだ。 「新人選手が一律に同じ練習メニューを行うとは限りません。何よりも大切なのは、コーチスタッフが選手個々の情報を共有することです」(元メジャースタッフ) 『情報の共有化』とは、1人の選手に対し、各担当コーチが違うことを教えるのを防ぐためだという。当り前の話だが、日本球界ではこの弊害は完全に解消されていない。「在京球団の大砲候補・Tは、コーチが別のことを教えている。コーチが入れ代わる度に指導内容も微妙に変わっており、彼が伸び悩んでいるのはそのせいではないか」なんて声が今も聞かれるくらいだ。 「ブレーブスには『プレイヤー・ディベロップメント』なる役職があります。そのフロント職員が育成の統括責任者となり、各コーチから送られてくる映像や数値表をもとに、選手の成長の度合いを確かめています。選手が伸び悩んでいる場合は、担当コーチの引責はもちろん、ファームスタッフ全体の指導力が問われます」(前出・同) 情報の共有化が強く主張されるということは、言い換えれば、育成システムがより細分化しているのだろう。 近年、日本球界でも『巡回コーチ』なる肩書が定着してきた。一、二軍の枠を越えて指導に当たる意味合いは日米ともに変わらないが、メジャーリーグでは、たとえば打撃指導なら、ルーキーリーグから3Aまでその担当コーチを統括する意味合いが強い。『プレイヤー・ディベロップメント』職を置くブレーブスに倣うメジャー球団も増えているという。「コーチによって教える内容が異なる」事態を防ぐため、現場コーチ、フロントで二重の保険を掛けているわけだ。 日本のプロ野球関係者は「指導内容の一貫なんて、当然!」と反論するだろう。しかし、『プレイヤー・ディベロップメント』を置くことで、米球界には「球団内の馴れ合い」がない。『緊張感』と『責任の大きさ』を現場コーチにも自覚させている。メンタルトレーニングも、走攻守の技術指導と同じくらい重点を置いているのも、メジャーリーグの特徴かもしれない。(以下・後編/スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2013年02月10日 11時00分
部屋の閉鎖続々で大相撲界危機
先日終了した初場所を最後に、数々の名力士を輩出した名門、二所ノ関部屋が閉鎖される。 師匠の二所ノ関親方(元関脇金剛、64歳)が脳腫瘍のため、昨年秋から都内の病院に入院。その症状が非常に厳しいことと、かつては100人以上もいた力士が現在はたった3人しかおらず、部屋運営も苦しいことから、場所前、関係者が話し合い、部屋を閉じることを決めたもの。 「亡くなった大鵬さんは、一門の力でなんとかならないものか、と再興を訴えていましたが、後継者も見つからず、無念の結果となりました。残された力士3人は初場所を最後に引退。部屋付きの北陣(元関脇麒麟児)、湊川(元小結大徹)の両親方は同じ二所ノ関一門の松ケ根部屋、富士ケ根親方(元小結大善)は出羽の海一門の春日野一門に転籍し、バラバラになる予定です」(担当記者) これも時代の流れという以外にないが、最近、熱い闘いが続く土俵の裏で相撲部屋の閉鎖、消滅が相次いでいる。大相撲界の定年は65歳。団塊の世代に属する部屋持ち親方たちが定年期を迎えていることと、世の中の不況のあおりを受けて気前のいいタニマチ(後援者)が激減し、部屋を運営する環境が悪化しているためだ。 「去年は四つの部屋がつぶれました。そのうちの一つ、花籠部屋は、とても協会から支給される養成費だけではやっていけないと訴え、同じ一門の峰崎部屋にそっくり弟子を譲り渡して、3月の春場所限りで看板を降ろしています。いまや親方たちは、どうしたら赤字を出さないで済むか、経営者としての能力も試されてします」(協会関係者) この相撲部屋の閉鎖現象、今年もブレーキがかかる気配がない。この初場所後も武蔵川(元横綱三重ノ海)、放駒(元大関魁傑)、中村(元関脇富士桜)の3親方が定年で大相撲界を去っていくが、力士数8人の放駒部屋はまだ身の振り方が決まっていない。 明日は我が身。大相撲界に吹き付ける風は、こちらでも冷たい。
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スポーツ 2013年02月09日 11時00分
独占入手 オリックスが画策する来季・イチロー帰還とWBC・トーリ監督召聘(2)
ドジャース監督辞任後の'11年2月に大リーグ機構副会長に就任したトーリ氏は、昨年1月に辞任。理由は投資家グループを束ねて名門ドジャースの買収に乗り出したからである。 結果はNBAのスター選手だったマジック・ジョンソンの投資家グループに敗れ実現しなかったが、その後も1500億円を超える資金力を背景にパドレスやアスレチックスの買収も検討した。 「これが実現していれば、松井の去就もまた違っていたでしょう」(特派記者) '12年3月に同機構副会長に復帰、同6月にはWBC米国代表監督に就任した。 「大リーグ機構に戻ったからといって、球団買収をあきらめたわけではないのは、WBC米国監督を引き受けたことが代弁している。トーリ氏は日本の球団買収に方向転換したのです。WBC制覇で世界一監督の名誉を手にすれば、買収交渉もしやすくなるし、球団を手に入れてからの観客動員にもつなげられる。そのターゲットがオリックスなのです」(大手広告代理店) しかし、課題も残す。日本のプロ野球の経営会社は親会社を持つシステムになっており、しかも野球協約で「日本国籍の企業」に限られる。個人の投資家や複数の企業による共同経営も認められていない。現状ではいくらトーリ氏が米国の投資家グループを擁しても、バファローズ買収は不可能に近い。 「そうはいっても抜け道はある。広島東洋カープはマツダが筆頭株主ではあるものの、カープを連結子会社とはしていない。マツダ創業家の松田家が所有する株式を合わせるとマツダを上回ることから、歴代のオーナーは松田ファミリーが務めている。この事例からいえばトーリ氏のグループがバファローズの株式を分散して所得して、その総量がオリックスを上回る形にする。そうすればオリックスの筆頭株主を動かさないまま、トーリ氏のグループがオーナーに就くことも可能なのです。その投資家グループの一人にイチローが加われば、イチローがオーナーになることも可能。オリックスからすれば、年間20億円〜30億円ともいわれる球団への赤字補てんが不必要となり、メンツも保てる。一方、トーリ氏側からしてもメジャーリーグとのコネクションを最大限に生かし、若い優秀な選手をメジャーに送り出すルートが確立できる。しかも、橋下徹大阪市長が掲げる『大阪都』構想に合わせ、大阪“都民球団”にすれば、阪神タイガースに匹敵する人気球団になる可能性は高い」(スポーツ紙デスク) このような背景があるから、イチローは今回のWBCで侍ジャパンとは距離を置いているのだろう。 「イチローが山本ジャパンに参加しないのは、米国代表監督のトーリ氏を気遣っている面もある。米国が一番警戒していたのがイチローの存在だからです。年齢的に過去2大会のように活躍できないとはいえ、グラウンド外で選手たちをまとめ上げるリーダーシップは格別。精神的支柱ともいえるイチロー抜きの侍ジャパンなら恐れるに足らない、と。イチローはいまや米国視線。自身の存在を再確認させるためにも、トーリ氏に肩入れしているのでしょう」(大リーグ担当記者) 過去2大会、本命視されながらも世界一を逃してきた米国チームだけに、今大会ではトーリ氏を担ぎ出すなど、本気モードで臨んできている。 1月17日(現地時間)に発表されたメンバーをみると、昨季サイ・ヤング賞(20勝)のナックルボーラー、右腕ディッキー(ブルージェイズ)を筆頭に、阪神やオリックスでも活躍した14勝のボーグルソン(ジャイアンツ)、ダルビッシュ有の同僚のホランド(レンジャーズ)などの豪華な先発陣。抑えは昨季42セーブで2年連続最多セーブのキンブレル(ブレーブス)。 打線も首位打者3回のマウアー(ツインズ)、'09年に本塁打王と打点王を獲得したテシェイラ(ヤンキース)、昨季の本塁打王ブラウン(ブルワーズ)とスター選手がずらり。前回までの若手中心とはレベルが違う。 「1月23日、オリックスが日ハムの糸井嘉男外野手を大型トレードで獲得したのも、来季のイチロー帰還、トーリ監督体制への布石でしょう。糸井は4年連続3割、ゴールデングラブ賞を受賞。WBC日本代表でも外野の中心選手で、トーリ監督へは最大のアピールになったはず」(球団事情通) WBC優勝を手土産にトーリ・オリックス監督のシナリオは着々と進展している。
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スポーツ 2013年02月08日 15時30分
信用なかった? 前西武・中島のアスレチックスがライバル遊撃手獲得
海外FA権を行使してMLBのアスレチックスに入団した前西武の中島裕之内野手(30)が、思わぬ事態に陥った。 所属するアスレチックスが、トレードで中島と同じ遊撃手のジェド・ローリー内野手(28)をアストロズから獲得したのだ。 ローリーは昨季、準レギュラーとして、97試合に出場。340打数83安打16本塁打42打点、打率.244の成績を残しており、一発が魅力。年齢的にも、まだ伸び代があり、十分レギュラーも狙える選手だ。 こうなると、中島もうかうかしていられなくなる。アスレチックスでは正遊撃手だったスティーブン・ドルー内野手(29)が、昨オフ、FAでレッドソックスに移籍。その穴を埋めるべく獲得したのが、中島だった。 中島の契約条件は2年総額650万ドル(約6億700万円)プラス出来高で、3年目は球団が選択権をもち、年俸は550万ドル(約5億1400万円)の好条件で、レギュラーを期待されての入団だったはずだ。 ところが、スプリングトレーニングを目の前にして、同じポジションのライバル選手の獲得で、中島が置かれる立場も変わってくる。 ローリーに関して、ビリー・ビーンGMは「複数のポジションでプレーしてもらう」とコメント。レギュラーではなく、バックアップ要員としての獲得であるとした。 スポーツジャーナリストのA氏は「アスレチックスは中島にポジションを与えるようなことはしないでしょう。あくまでも、レギュラーの第一候補。メジャー1年目となる中島が活躍できるかどうかは未知数ですから、アスレチックスは保険をかける必要があると判断したのでしょう。ローリーの長打力は捨てがたいものがありますし、中島の状態が悪ければ、ローリーにポジションを獲られてしまう可能性も十分です」と語る。 レギュラーとして入団したはずなのに、ライバル選手の獲得で尻に火がついた恰好の中島。前ツインズの西岡剛(現阪神)の二の舞にだけは、なってほしくないものだ。(落合一郎)
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スポーツ 2013年02月08日 11時00分
独占入手 オリックスが画策する来季・イチロー帰還とWBC・トーリ監督召聘(1)
現役引退を表明し、次期巨人監督候補に白羽の矢が立った松井秀喜(38)に呼応するかのように、古巣オリックス帰還に軌道修正してきたのがイチロー(39)。巨人監督の目が消滅したことできっぱり、読売陣営とも決別というわけだ。 1月16日から始めた自主トレーニングの場所もオリックス・バファローズの本拠地『ほっともっと神戸』。新たなイチローをデモンストレーションするかのように弟分の川崎宗則(マリナーズからFA)と斎藤佑樹(日本ハム)を従え、異色の合同トレを実施した。 マネジメント会社が一緒ということで実現した合同練習というが、イチローと親しいマスコミ関係者によれば、「イチローが日本球界に復帰した場合には、2人は駆け付ける腹積もり」だという。昨年末、ヤンキースと2年契約を締結したイチローだが、スタメンを約束されているわけでもない。来季は日本で最後のシーズンを迎えるシナリオが着々と進行しているのだ。 「昨シーズン、巨人が優勝を逃せば、巨人のユニホームを着る可能性が高かったのですが、原巨人が日本一となり、次期監督も松井の流れが出来たことで進路を変えたのです。割って入ったのが古巣のオリックスです。来年、オリックス本社が創立50周年のメモリアルイヤーを迎えることから、優勝を欲している宮内義彦オーナーの意を汲んで現場が“あるプロジェクト”を組んだ。その雄大なプランにイチローが興味を持ち、ジョイントする可能性が高まっているのです。マリナーズに放置された川崎はもちろん、大谷翔平の日ハム入団で広告塔の役目を終えた斎藤佑には電撃引退してスポーツキャスターへの転身の噂が囁かれている。今年は勝負の年。人生最大のピンチでイチローを頼っているのです」(同) 「あるプロジェクト」とは、第3回『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』で米国代表監督を務める名将ジョー・トーリ氏の招請である。WBCでの世界一を手土産に、日本球界入りさせるのだという。 トーリ氏はヤンキースでワールドシリーズを4度制覇し、転身先のドジャースでも2年連続で地区優勝を果たした。この間にヤ軍では松井を、ド軍でも黒田博樹をトップ選手に磨き上げた。それより以前にはメッツ、ブレーブス、カージナルスでも監督を経験しており、指揮官としてのキャリアは文字通り世界一。 イチローがトーリ氏にぞっこんなのは「監督キャリア」にもあるが、それ以上なのが「ビジネスマン」としての才覚。その可能性に興味津々なのだ。 「オリックスがメモリアルイヤーとなる来季に優勝したい、と意気込んでいるのはこれまでも伝えられているが、理由は親会社が創立50周年の節目を迎えるからだけではない。球団経営からの撤退を視野に入れているのです。もともとプロ野球に進出したのはオリックス(旧社名・オリエントリース)の社名を浸透させるのが狙いで、その役目は終えた。そこで幕引きを始めたわけで、有終の美を成すためにも優勝したいというのが建前なのです。その意味ではトーリ氏への監督招請は表の顔で、トーリ氏に球団を買い取ってもらいたい、というのが本音。トーリ氏は有力な投資家を束ねており、資金力は抜群だからです」(経済誌デスク)
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スポーツ 2013年02月07日 15時30分
メッツ招待選手の米報道に「松坂がアブナイ!」の声!
松坂大輔(32=前レッドソックス)の“メジャー残留交渉”に、日米の関係者が「アブナイ」の声が寄せられている。 2月3日(現地時間)、古巣の地元紙『ボストングローブ』が「メッツとアストロズが松坂に興味を示している。即契約はないが、復活が本当なのか、状況を見極めるため、キャンプに招待するプランがあるようだ」と報じた(電子版)。 松坂を知る日本球界の関係者がこう話していた。 「今の松坂ではメジャー契約は厳しい…。マイナー契約か、日本球界帰還の二択になると思います。メジャーに残りたいのなら、マイナー契約を受け入れ、そこから這い上がって行けばいい」 また、米FA市場について、こんな声も聞かれた。 「松坂のように故障明けの選手、マイナー契約になる可能性の高い選手は、1月下旬以降にならないと具体的な交渉が始まりません。近年、米FA市場はそういった傾向になっています。でも、この時期になって、『キャンプ招待選手』の話も進まないとなれば、日本帰還を真剣に考えなければなりません。昨年の松井秀喜のように『契約浪人』になる恐れもありますよ」(米国人ライター) こうした状況からすれば、『キャンプ招待の検討』報道は、メジャー残留を望む松坂にとって一縷の望みとも言えそうだが、挙手した球団が芳しくない…。 近年、ニューヨーク・メッツは補強に失敗しており、昨年12月には同年サイ・ヤング賞投手で、20勝6敗と大活躍したR.A.ディッキーを“喪失”している。 「ナックルボーラーのディッキーは来季、39歳を迎えます。2010年、初めて2ケタ勝利を挙げたように、遅咲きの投手です。12年シーズンで契約を終えたディッキーは『2年2600万ドル強』を残留条件としましたが、メッツ側は年齢を理由にトレード放出してしまいました」(前出・米国人ライター) メッツは12年オフも補強が巧くいかなかった。とくに投手陣に関してはシーズン中から『マイナス要素』が指摘されていたのに、だ。たとえば、10年シーズン後半に左肩を故障したヨハン・サンターナも復活していない。11年オフ、クローザーとして補強したフランク・フランシスコも期待を裏切った。勝ち頭のディッキーを放出したというのに、目立った投手補強は行われていない…。こうした投手事情を考えると、「めぼしい投手はFA市場に残っていないから、松坂に声を掛けた」という感もしないではない。 投手の頭数がいないチームにいけば、メジャー契約を交わせるかもしれないが、「春先から中4日で酷使させられる」リスクの方が大きい。こうしたメッツの投手事情を考えると、右肘の故障から完全回復していない松坂にとって、「不向きな球団」と言わざるを得ない。 松坂の招待選手の可能性を報じていた同日のボストングローブ紙は、福岡ソフトバンクホークスを退団した岡島秀樹投手(37)の動向にも触れている。「マイナー契約だが、複数の球団が関心を持っており…」とのこと。日本球界に一時帰還し、仕切り直した強かさについてである。 松坂にもそんな強かさがあればいいのだが…。この時期になって契約が決まらないとなれば、焦せらない方がおかしい。近日中に、松坂の去就問題に結論が出されそうだ。※選手のカタカナ表記は『メジャーリーグ名鑑』(廣済堂出版/2012年版)を参考にいたしました。
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スポーツ 2013年02月07日 15時30分
元ダイエーの早鞆高・大越監督が野球部員に提訴された!
かつて、プロ野球ダイエー(現ソフトバンク)ホークスでプレーし、現在は私立早鞆(はやとも)高(山口県下関市)で野球部監督を務める大越基氏(41)が窮地に陥った。 同校野球部2年の久芳利希さん(17)が2月6日、野球部の練習で打球が目を直撃してケガをしたのは、学校側が安全配慮の義務を怠ったためとして、大越監督、部長、同校に対して、約6000万円の損害賠償を求め、福岡地裁に提訴した。 訴状などによると、11年11月、打撃投手をしていた久芳さんの右目に、近くのネットの鉄枠をかすった打球が直撃。右眼窩底(がんかてい)骨折で、事故後3カ月間入院し、その後も通院治療が1年続いたという。視力は2・0から0・04まで低下。視界がぼやける後遺症が残った。 普段は打者から17メートル離れて投げるが、当日は監督から打者から14メートルまで近づくよう指示があった。久芳さんの前にはL字形の防球ネットがあったが、打球は別のネットの鉄枠に当たって方向が変わり、目に当たったという。 久芳さん側は「監督は危険な練習方法を指示した上、事故を避けるための適切な指導も行わず、安全配慮義務に違反した。通常よりはるかに短い投球距離での打撃練習を、指示するべきではなかった」と主張している。 提訴後に会見した母親の早苗さん(41)は「息子はプロ野球選手になるという夢を閉ざされた。学校が、指導は十分で過失がないと主張するので提訴した」と話した。 同校は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。 同校は昨年春の第84回選抜高校野球大会に初出場。夏の山口県大会ではベスト4、秋季中国地区大会ではベスト8に残った強豪校。 大越監督は92年のドラフト1位で、投手としてダイエーに入団したが、伸び悩んだため、96年に打者転向。99年からは一軍に定着して、主に守備、代走要員として活躍。03年オフに戦力外通告を受け、引退した。生涯成績は365試合に出場して、211打数50安打、打率.237、本塁打1、打点3、盗塁3。投手としては、13試合に登板して0勝0敗だった。 引退後は東亜大学に編入し、教員免許を取得。07年4月に早鞆高に保健体育の教員として着任。日本学生野球協会から高校野球指導者資格を認定され、09年9月に同校の監督に就任。わずか、2年半で甲子園出場を果たした。 大越監督や学校側に過失があるのかどうか、非常に難しい裁判になりそうだ。(落合一郎)
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スポーツ 2013年02月07日 11時00分
あとは嫁だけ 引退・高見盛の部屋持ち親方を確実にした超節約生活
角界屈指の人気者、高見盛(36・東関部屋)が、1月27日に引退を表明した。初場所の結果は5勝10敗、来場所の幕下転落が確実となったからだ。しかし、親方へ向けての計画を着々と進めていた“したたかさ”はさすがだ。 青森県出身の高見盛は日大卒業後、'99年3月に初土俵を踏み、'00年1月に十両に昇進。四股名も本名の加藤精彦から高見盛精彦とし、仕切りの最後に気合いを入れる独特のポーズで人気を集めた。 「“角界のロボコップ”と呼ばれるように、そのムキムキの筋肉質の体をそり返らせ胸を叩いて闘志を漲らせた。あれは別にウケ狙いでやっていたわけではなく、恐怖心を取り除き自分を叱咤するためだといいます。元来、彼は真面目ですからね」(相撲関係者) その性格は、将来設計にも表れている。既に5年前には年寄名跡「振分」を約2億円で取得したとされ、襲名が承認された。 「実は高見盛は、相撲界では白鵬と並ぶ大金持ちだと言われているんです。というのも、アサヒビールや永谷園などCMの常連だった時の稼ぎがある上に、超が付く倹約家。今は部屋の近くにあるマンションに住んでいますが、室内には冷蔵庫以外の家具がない。その冷蔵庫さえ、普段はコンセントを抜いているほどなんです」(元力士) そんな具合だから、カネは貯まるが彼女はできない。 「女性関係では、過去に、さとう珠緒や、Lカップグラドルの松坂南などの名前が挙がりましたが、ただ売名に使われただけ。彼女イナイ歴36年ですよ」(同) しかし、将来の希望は部屋持ち親方。部屋の維持・運営には女将が欠かせないが、独身親方が切り盛りしている藤島部屋(元大関武双山)のようなケースもある。 「東関部屋は元幕内の潮丸が継承しましたが、高見山さんから高く売りつけられ弟子も少ないため、アップアップの状態だと言われます。そのため、名跡交換して高見盛が東関になるのではないかという噂もあるほどです」(前出・相撲関係者) 親方・高見盛が再び相撲人気に一役買うか。