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松坂大輔 インディアンス入りした意外な裏事情

 昨オフ、レッドソックスとの6年契約が満了してFAとなり、移籍先が決まっていなかった松坂大輔投手(32)が、2月10日(日本時間11日)、インディアンスとマイナー契約で合意に達した。

 契約条件はメジャー昇格した場合の基本年俸は150万ドル(約1億3800万円)で、出来高払いを含め最高で400万ドル(約3億7000万円)になるとみられる。昨季の年俸は1000万ドル(当時約8億円)で、出来高を満額獲得できても、年俸は60%の大幅ダウンとなる。松坂はスプリングキャンプに招待選手として参加し、メジャー昇格を目指す。

 松坂は11年6月に右ヒジじん帯の再建手術を受け、長期戦線離脱。昨年6月に復帰したものの、11試合に登板して、1勝7敗、防御率8.28と惨たんたる成績だった。故障から復帰途上の松坂にとっては、マイナー契約も年俸大幅減も受け入れるしかなかった。

 インディアンスは、前所属のレッドソックスと同じア・リーグで中地区に属する。昨季は68勝94敗で地区4位だった。

 松坂には数々のオファーが舞い込んでいた。マーリンズ、パドレス、メッツ、アストロズ、ツインズ、ダイヤモンドバックスなどが獲得に興味をもったもよう。なかでも、マーリンズはメジャー契約を提示したが、最終的に選択したのはインディアンスだった。

 ポイントとなったのは先発投手陣の事情と監督だった。今季のインディアンスのチーム防御率は4.79で、メジャー30球団でワースト2位。先発投手のチーム防御率となると、5.25とさらに跳ね上がる。確定している先発陣はエースのジャスティン・マスターソン投手、ウバルド・ヒメネス投手、ホワイトソックスから移籍のブレット・マイヤーズ投手の3人のみと手薄で、4番手以降は競争となるため、松坂にも十分チャンスがある。

 さらに、今季から元レッドソックス監督のテリー・フランコーナ氏が指揮を執る。フランコーナ監督は松坂が入団した07年〜11年まで、間近で見ており、松坂のいい時も悪い時も熟知している。いわば気心の知れた存在で、本格復帰を目指す松坂には格好の指揮官となる。

 そして、松坂のインディアンス入りを決定づけたのは、自宅のあるマサチューセッツ州ボストンから、本拠地がほど近い点だ。インディアンスの本拠はオハイオ州クリーブランドで、マサチューセッツ州とはニューヨーク州、ペンシルバニア州をはさんで隣の隣となる。

 夫人の元日本テレビ・柴田倫世アナはボストンに強いこだわりがあり、現段階で転居の予定はないようだ。レッドソックスと同一リーグで、ボストンからそう遠くないクリーブランドが本拠なら、対戦チームによっては、遠征時、試合後に自宅に帰ることも可能。実は松坂にとっては、これが最も重要な条件だったかもしれないのだ。

 キャンプに滑り込みで所属先が決まった松坂には、復活を期待したいものだ。また、リーグが変わらなかったことで、今季も同一リーグとなるイチロー外野手(ヤンキース=東地区)との対戦や、ダルビッシュ有投手(レンジャーズ=西地区)との投げ合いにも注目が集まる。
(落合一郎)

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