昨季、栗山英樹監督(51)の寵愛を受け、開幕投手に抜てきされ、スタートダッシュに成功し、6月6日には5勝目を挙げたが、その後失速。7月30日にはプロ入り初の不振での2軍落ちを経験。2カ月かかって1軍に戻ったが、戦力にはならず。11月3日の日本シリーズ第5戦(対巨人)では敗戦処理で登板したが、メッタ打ちに遭った上、試合後に右肩痛を訴えた。
右肩の違和感は3カ月経った今でも消えず、満足な投球練習はいまだにできていない。2月1日に始まる沖縄キャンプでは、プロ入り初の2軍スタートが決まった。この状況だと、開幕1軍すら危うくなってきた。
仮に、開幕に間に合っても、ローテーションから外される可能性も高くなってきたのだ。その要因となったのは、1月23日に発表されたオリックスとの大型トレード。日本ハムは主力打者の糸井嘉男外野手(31)らを放出し、オリックスから木佐貫洋投手(32)らを獲得した。
木佐貫は昨季5勝、11年は2勝と不振に終わっているが、ルーキーイヤーの03年、07年、10年に3度2ケタ勝利を飾っている。栗山監督は「イニングも投げられるし、1年間、安定して投げられる投手。ローテーションの真ん中ぐらいで投げてくれると助かる」と、その実績を高く評価し、ローテーション入りを早くも明言した。
日本ハムの先発ローテは昨季、14勝(5敗)をマークし、リーグ最優秀防御率に輝いた吉川光夫投手(24)を始め、武田勝投手(34)、ブライアン・ウルフ投手(32)、ボビー・ケッペル投手(30)の4人は確定。吉川、ケッペルは故障明けだが、開幕には問題なさそう。これに木佐貫が加われば、残る枠は1しかない。この1枠を斎藤、中村勝投手(21)、谷元圭介投手(28)あたりで争うことになる。
調整が遅れている斎藤が、この争いに敗れて、先発ではなく中継ぎに回される可能性は十分。栗山監督は「冷静に考えた時に(ローテーションは)固まっている。斎藤のチャンスは少ない」とキッパリ。
今回のオリックスとのトレード余波で、斎藤は思わぬ窮地に追い込まれることになった。
(落合一郎)