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日本ハム “球界ナンバー1外野手”糸井を電撃放出の舞台裏

 1月23日、日本ハム、オリックス両球団から衝撃的な超大型トレードが発表された。

 日本ハムは“球界ナンバー1外野手”との誉も高いWBC日本代表候補の糸井嘉男外野手(31)と、06年新人王の八木智哉投手(29)を放出。オリックスから木佐貫洋投手(32)、大引啓次内野手(28)、赤田将吾外野手(32)を獲得し、2対3の交換トレードが成立した。日本球界を代表する糸井の電撃トレードは、大きな衝撃を与えた。

 オリックスはクリーンアップを任せられる外野手の獲得を熱望し、糸井に食指。日本ハムは木佐貫と正遊撃手である大引の加入で、コマ不足の先発投手陣と、田中賢介内野手(31=現ジャイアンツ)のFA移籍により手薄となった内野陣を補強できる。双方にメリットあるトレードとなったが、チームの中心選手の糸井を放出した日本ハムが損したイメージはぬぐえない。

 糸井は03年のドラフト自由獲得枠で、近畿大から投手として日本ハムに入団。しかし、投手としては芽が出ず、3年目の06年に外野手にコンバート。08年から出場機会を得て、09年にレギュラーを奪取してからは4年連続で3割、20盗塁をマーク。選球眼も良く四球が多く、出塁率は3年連続4割台で、11年から2年連続でリーグ最高出塁率のタイトルを獲得。守っては驚異的な身体能力で守備範囲も広く、強肩を生かした補殺の多さも群を抜いている。まさに走攻守3拍子兼ね揃えた糸井は、日本球界屈指の外野手。リーグ連覇を目指す日本ハムにとっては、チームに欠かせない戦力だったはずだ。

 そんな糸井を日本ハムはなぜ放出したのか。糸井は昨年12月6日の契約更改交渉で、球団提示の1000万円増の年俸2億円プラス出来高を保留。2回目以降は代理人に委ねたが、1月21日の交渉で大筋合意。今月中にサインする見込みとなっていた。

 ただ、糸井側は21日の交渉で今オフ後にポスティングシステム(入札制度)を利用して、メジャーに挑戦する意向を球団に伝えた。だが、球団は糸井のポスティングを容認しない方向だったというのだ。某スポーツ紙記者は「関係者の話を総合すると、日本ハムが糸井のポスティング希望を認めないとなると、また今オフにもめることになります。球団が認めなければ、トレードという展開になってしまいかねません。『それであれば、1年早いが放出してしまえ』というのが真相のようです」と語る。

 糸井は「今はさびしい気持ちでいっぱいですが、この世界では当たり前のことととらえています」とのコメントを発表したが、内心じくじたる思いであることは容易に察せられる。

 糸井を受け入れるオリックスは、ポスティングでのメジャー挑戦という爆弾を抱えることになる。村山良雄球団本部長は「今後のことは直接本人と話をして聞きたい。(移籍1年目で)本人もそんなつもりはないでしょう」と楽観視したが、予断は許さない。

 糸井がメジャー挑戦を急ぐ理由には、海外FA権取得の問題がある。糸井は1軍定着が入団5年目と遅かった関係で、順調にいって、その取得は17年シーズン。権利を行使してメジャーに移籍したとして、18年シーズンは37歳を迎える。すでに、峠は越えており、メジャー球団の評価も下がるだろう。そのため、全盛期にメジャーへ挑むとなると、ポスティングしか手段がないのだ。とはいえ、ローテーション投手の木佐貫や、正遊撃手の大引らを出してまでして獲得した糸井のポスティング希望を、簡単に容認するわけにもいかない。今オフにはひと悶着あってもおかしくないだろう。
(落合一郎)

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