日本ハムは10月25日のドラフト会議で、メジャー志向の大谷を強行指名。球団は11月2日、岩手県奥州市の自宅を訪問し、指名のあいさつ。その後、同10日、同17日と交渉を重ね、同26日には栗山英樹監督が同席して入団交渉にあたった。
大谷は栗山監督との対面に、グラリ。「わざわざ来ていただいた。ありがたいです。すばらしい話が聞けました。キャスターの経歴がある方で(メジャーに)詳しい方。そういう話を聞けて良かったと思う。交渉というなかで、いい話が聞けました。考えて決めたい」と悩める胸中を吐露していた。
日本ハムはこれをもって、交渉は終わり、あとは大谷側の回答待ちとした。ところが、大谷側からの要望で、12月3日に追加交渉することが決まった。これには、栗山監督も同席する。
完全な「ノー」であれば、大谷側から再交渉の要望が出るはずもなく、かなり日本ハム入団に心が傾いていることがみてとれる。3日の話次第では、入団に向け一気に加速する可能性も十分。
日本ハムは投手と打者との二刀流、早期のメジャー挑戦容認を提案している。打者としても非凡な才能をもつ大谷だけに、両分野での適性を見るプランであり、早期のメジャー挑戦は大谷の心を揺さぶったようだ。
国内では巨人、中日、阪神などのように、海外FA権を取得するまで、メジャー行きを認めない球団も多いが、日本ハムは容認派。今季からMLBに新天地を求めたダルビッシュ有投手がいい例で、ポスティングシステムを使って、7年で日本球界に別れを告げた。
もちろん、ポスティングで落札されるためには、一流選手になることが必須条件。大谷がダルビッシュのように、短期間でうまく育てばという話になる。高卒でいきなりのメジャー挑戦となると、言葉や環境の問題もあり、リスクも高い。それであれば、日本の球団をいったん経由して、早期のメジャー挑戦という方法もあることを、日本ハムは提示しているのだ。
日本ハム入りに大きく傾いたと思われる大谷の決断が待たれるところだ。
(落合一郎)