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藤浪競合覚悟で囁かれる「虎の外れ1位は誰?」

 今秋のドラフト会議は「どの球団とも、少人数の指名になる」との見方が強まっている。高校生には『磨けば光る原石』は確かに多いが、大学・社会人を見渡すと「即戦力」の太鼓判を押せる投手は少ない。そんな情報も飛び交うなか、密かに注目が集まっているのが「阪神の外れ1位は誰になるのか?」だ。

 ライバル球団のスカウトがこう言う。
 「阪神サンは球団史上初となるGM制を敷き、その中村(勝広=63)がどんな戦略を取ってくるのか、見物です。中村GMがドラフトでどんな選手を集めるのか、それを見れば、阪神が今後、どういうチームに変わるのかが分かります」

 その通りではあるが、他球団はちょっとイジワルな見方もしていた。
 阪神は85年のドラフト会議で清原和博内野手(PL学園=当時)の競合に参加。南海、日本ハム、中日、近鉄、西武と交渉権獲得を争ったが、結果はご周知の通り。そのときの当選確率は「6分の1」と低かったが、以後、阪神はドラフト1位の抽選クジに当たったことがない。目下、12連敗中である。
 中村GM、和田豊監督(50)のコメントからして、地元の雄・藤浪晋太郎投手(大阪桐蔭)を競合覚悟で1位入札するのは間違いなさそうだが…。
 「いや、決して冷やかしなんかではありません。仮に藤浪クンの抽選に外れた場合、本当の意味で中村GMの手腕が試されるわけですから」(前出・ライバル球団スカウト)
 10月10日時点の情報では、オリックスも藤浪の1位指名を“内定”しており、競合は避けられない。

 去る10月3日、神宮球場で東都大学野球・東洋大対駒沢大の一戦が行われた(第5週第2日)。ネット裏で蔦村聡・副GMを連れた中村GMの姿をお見掛けしたが…。試合途中で引き上げてしまったが、それまでは身を乗り出すようにしてグラウンドを見入っていた。帰り際、一部関西系メディアの質問に答えていたが、「お目当ては駒大の白崎裕之選手だった」(関係者)という。
 白崎選手は今春リーグ戦で首位打者のタイトルを獲得。シャープなバットスイングには定評があり、『右の大型内野手』として注目されており、当方がリサーチした限りでは、横浜DeNA、北海道日本ハム、巨人、広島も熱視線を送っている。
 「GM着任後のアマチュア視察はこれが初めて」(前出・関係者)

 また、中村GMは海外FA権を獲得した鳥谷敬(31)から『残留』の約束を取り付けていない。視察翌日、一部スポーツ新聞には「(白崎選手は)鍛えてショートを守れるようになってくれれば」なる中村談話も掲載されていた。金本、城島の引退、新井貴の不振を考えれば、打撃力のある白崎選手は是が非でも欲しい逸材だが、鳥谷の流出を前提に動いているようにも見える。
 主力選手の慰留・説得もGMの仕事ではあるが、この白崎選手が『外れ1位』に繰り上がってくる可能性は高い。

 「大阪体育大の宮川将投手は地元の出身。藤浪クンの入札に参加すれば、他球団が間違いなく1位指名する森雄大(東福岡)、大谷翔平(花巻東)、濱田達郎(愛工大名電)、東浜巨(亜細亜大)らの獲得は諦めなければなりません。今年は、即戦力投手は少ないので1位指名の抽選に外れたチームは『将来性の指名』になると思う…」(プロ野球解説者)

 阪神スカウトを見掛けた頻度で言うと、広島国際学院・今井金太投手、佐世保工・西川顕人投手、千葉国際・相内誠投手など。大学では、慶応大・福谷浩司投手。強肩の有山裕太捕手(奈良産業大)、社会人・小豆畑真也捕手(西濃運輸)を高く評価しているとの情報も交錯している。彼らは他球団の指名リストに入っており、駆け引きという意味でも、指名の順番が非常に難しい。まさに、中村GMのお手並み拝見といったところだ。

 藤浪投手の抽選に当たればいいのだが、そうならなかった場合、同GM招聘で盛り上がっていた再建ムードも一気に萎んでしまうだろう。

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