昨年のロンドン五輪日本代表に選ばれなかった市民ランナーの星である川内優輝(25=埼玉県庁)が、2月3日、世界陸上への選考対象でもある「別府大分毎日マラソン」に出場。ロンドン五輪で6位に入賞し、日本人男子最上位だった中本健太郎(30=安川電機)でデッドヒートを繰り広げた末、優勝を果たした。
今回のレースで、五輪代表に選ばれなかった悔しさを、五輪で入賞した中本にぶつけて、勝った意義は大きい。
タイムは2時間8分15秒で、大会新。さらに、11年2月の東京マラソンでマークした2時間8分37秒の自己記録を22秒更新した。
これで、川内は8月にモスクワで開催される世界陸上の男子マラソン代表候補の最右翼に浮上したといっていいだろう。
世界陸上の出場枠は5。最優先で選考されるのは昨年12月の福岡国際、2月24日の東京マラソン、3月3日のびわ湖毎日マラソン。この3レースで派遣設定記録(2時間7分59秒)をクリアした日本人1位は代表決定する。
さらに、昨年のベルリン、シカゴ、ニューヨークシティー(中止)と今年のボストン、ロンドンで派遣設定記録をクリアすれば候補となる。
上記いずれのレースでも、候補が満たない場合は福岡国際、東京、びわ湖毎日に今回の別府大分毎日を加えた4大会の日本人3位以内から選ばれる。
現時点で代表が決まった選手はおらず、福岡国際で日本人1位(全体2位)だった堀端宏行(旭化成)の2時間8分24秒の記録を川内が上回り、代表となるのが有力だ。
川内は当初、選考レースのびわ湖毎日に出場予定だったが、今回好タイムを出したことで回避。「代表に選ばれる想定をし、8月から逆算して調整したい」として、3月17日のソウル国際マラソンへの出場を予定し、世界陸上へ備える腹づもりだ。
(落合一郎)