社会
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社会 2018年03月01日 08時00分
平昌五輪閉幕後 韓国が北朝鮮美女「放蕩中毒」で突き進む破滅への道(1)
韓国の文在寅大統領による“安倍外し”は、あまりに露骨だった。韓国人は親しい人と一緒に食事をする時間をとても大切にする。しかし、文大統領は平昌五輪開会式に出席するため訪韓した安倍首相との時間を持とうとはしなかった。 それに比べると北朝鮮代表団の金永南団長(最高人民会議常任委員長)、そして金正恩党委員長の妹、与正党宣伝煽動部副部長とは昼食、夕食を共にしながら計4回も歓談している。最大の同盟国、米国のペンス副大統領との会食も1回きりだった。 「“メシ抜き”で行われた文大統領との会談に臨んだ安倍首相は、北朝鮮の五輪参加を“人質”に取られる形で延期されている米韓合同軍事演習について意見を述べましたが、文大統領は『内政干渉だ』と不快感をあらわにしました。韓国は教科書問題や靖国神社参拝問題など、しょっちゅう日本の内政に干渉しているので『あんたに言われたくはない』ということですが、それにしても今回が3回目となる両首脳会談の中で、ここまで正面衝突したことはありませんでした。慰安婦問題と経済協力などを切り離す、手前勝手な“二枚舌外交”を推し進めようとする文大統領にクギを刺した格好です」(官邸関係筋) さらに文大統領にとって計算違いは、平昌外交に対する米国の冷ややかな目線だ。ペンス副大統領は、開幕式の前に各国の首脳らが招かれたレセプションの場で席に座ることもなく、金団長、与正氏を無視し5分ほどで退出してしまった。 「そりゃそうですよ。北朝鮮は五輪に参加する条件として、米韓軍事演習の中止を突き付けましたが、こうした動きを知っていたトランプ米大統領は敏感に反応し、1月22日、サムスンやLG製の洗濯機や太陽光パネルに高い関税を課す緊急輸入制限措置(セーフガード)に署名しています。これは北朝鮮への傾斜を強める韓国に対する警告です」(安全保障アナリスト) 米国にソッポを向かれようと、南北がタッグを組んだ反日攻勢は止まらなかった。ソウル国立中央劇場で2月11日に開かれた北朝鮮の三池淵管弦楽団2回目の公演で、玄松月団長は予告なしに『白頭(ペクト)と漢拏(ハルラ)はわが祖国』という歌を歌っただけでなく、聴衆からの支持まで呼び掛けた。 「玄団長はこの歌を『漢拏山も独島(日本名:竹島)もわが祖国です』と改詞して歌ったのです。本来の歌詞は『日が昇る白頭山はわが祖国です。済州道漢拏山もわが祖国です』でした。統一されれば韓国領ということは、北朝鮮領でもあるわけですからね。それに済州島は、正恩委員長と与正副部長の実母、高英姫の故郷ですから父母の聖地を歌い上げたわけで、玄団長の歌う姿を見ていた金団長はたびたび涙を拭い、与正副部長は満足げな笑顔を見せていました。この公演では入場料収入まで懐にしたのですから、まあ当然でしょう」(北朝鮮ウオッチャー) しかし、こうした微笑み外交の裏では熾烈な外交戦が行われていた。中国外交のトップである楊潔チ国務委員が2月8日にティラーソン米国務長官と、9日にはトランプ大統領、マクマスター安保担当補佐官、クシュナー上級顧問らと会談している。中国はそこで改めて「朝鮮半島の緊張を緩和するには、これまで一貫して主張してきた“双暫停”しかない」と説いたのだ。 「『双暫停』とは、米国が米韓合同軍事演習を、北朝鮮が核・ミサイルの発射実験をしばらくの間、停止するというものですが、米国はあくまで停止ではなく、核放棄でなければダメだと主張しています」(国際ジャーナリスト) 一方で米国のマティス国防長官は、平昌五輪が終わるまでの間隙を縫って欧州に入っている。 「2月13日、ローマからブリュッセルへ飛んだ国防長官は、NATO加盟国すべての国防相との一連の会議をこなし、その後、ドイツのシュツットガルトで欧州とアフリカ諸国との防衛会議、ミュンヘンでの『第54回安全保障会議』でロシアとの防衛協議を行っています」(前出・アナリスト)
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社会 2018年02月28日 15時00分
無残! 司馬遼太郎氏の“命日”目前に菜の花800本切断した犯人の意図
2月12日の司馬遼太郎の命日「菜の花忌」の前に、周辺の菜の花のつぼみ約800本が切られるという騒動があった。2月1日、近鉄奈良線の八戸ノ里駅から『司馬遼太郎記念館』(東大阪市)に至る通称「菜の花ロード」を飾る菜の花約800本が、何者かによって切断されていたことが発覚したのだ。 歴史作家・司馬遼太郎が愛し、小説のタイトルにもなった菜の花は、毎年この時期に花を咲かせ「菜の花ロード」を彩っている。それだけに「腹が立つより寂しい思い」(記念館のボランティア職員)といった声が、関係者から聞こえてくる。 「今までにこんな事件、起こったことがありません。つぼみばかりが切断されていただけに、食用にするために摘んだのではという見方もある。しかし、これらの菜の花は、地元が特に厳選して育てた観賞用のものばかりなんです。それも、司馬さんの命日の『菜の花忌』に向けての時期だっただけに、意図的なものを感じざるを得ません」(関係者) ある出版関係者も、こう語る。 「司馬さんの『坂の上の雲』や『翔ぶが如く』などの作品に対し、戦前の日本の帝国主義を肯定的に描いているとして批判をする人もいる。それが今回のことに関係しているとすれば、まったく姑息としか言いようがない」 現場近くの防犯カメラが、1日未明に菜の花の前でかがみ込む男の姿を捉えているというが、記念館では被害届けは出さずに今後の成り行きを見守る構えで、「菜の花ロード」には行為を諭すボードが掲げられた。 また、菜の花畑で有名な鹿児島県指宿市からは、激励として菜の花1500本が届けられている。 「一方で、怒りが収まらないといった感じなのが、地元の警察。現場となった『菜の花ロード』は大阪府警布施署の目と鼻の先なんです。そんなところで名所が傷つけられたわけですから、まあカンカンですよ」(地元記者) 司馬氏は野に咲く菜の花が好きだったといい、小説「菜の花の沖」も残している。それにしても、犯人の目的はいったい何だったのか? それこそ花を足で踏みにじる心無い行為は許せない。
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社会 2018年02月28日 08時00分
「下町が壊滅する!」直下型地震で地獄と化す東京都ゼロメートル地帯
2月15日、東京都は4年半ぶりに“危険度ランク”を発表。いつ発生しても不思議ではない首都直下型地震に備え、町や丁目で区切った5177カ所を対象に、危険度を5段階にランク付けしたマップを公表した。 それを見ると、危険度が高い地域が下町エリアに集中していることが一目瞭然。荒川や隅田川沿いの下町に広がる軟弱な地盤や谷底低地に当たる場所は、地震が起きた際に揺れが増幅されやすく、しかも古い木造住宅が密集しているためだ。 防災ジャーナリストの渡辺実氏は言う。 「東京都は震災対策条例にもとづいて、1975年から約5年ごとに地震に対する建物倒壊や火災などの危険度を調査、公表してきました。しかし、開発が進んでいる地域では建物の耐震化が進んで評価が上昇しているのに対し、荒川、隅田、足立区では高齢化が進み、建て替えをしようというエネルギーもないというのが実状なんです」 木造住宅が密集している環状7号線の内側を中心としたドーナツ状のエリアや、JR中央線沿線でも火災危険度が高い。 「首都直下型地震の際は帰宅難民の大量発生が指摘されていますが、都心から郊外の自宅へ帰宅する際、環状七号線一帯の火災により、都心へ戻る人が出てくる。それが新たな帰宅難民とぶつかることで、さらなる混乱も予想されます。そこへ、関東地震(1923年)の時に発生したような火災旋風が襲う可能性もあるのです」(同) ただ、8回目の作成となった今回のマップでは、耐震性の高い建物への建て替えや、耐震改修工事などが反映され、倒壊危険度は前回に比べ平均で約20%低下している。また、火災の危険度では、延焼時間の想定が6時間から12時間にまで伸びたが、不燃性の建材を使った建物が増えたことや道路の拡幅工事、公園整備などが進んだ結果、リスクは平均約40%低下したという。 しかし問題は、直下型を想定したこのマップでは、津波の被害が考慮されていない点だ。特に23区の東部にはゼロメートル地帯が広がっている。巨大地震の際は、ここに大きな水害が出る危険があるという。 渡辺氏が続ける。 「東京湾の満潮面より低い、いわゆるゼロメートル地帯が、墨田区、江東区に広がり、23区の面積の約20%にも及びます。そしてそこに、約150万人が生活をしている。考えておかなければならないのは、満潮時に地震が来た時です。火災や揺れで住民が動揺しているところへ、地震により防潮堤が破壊され大量の水が流れ込む。そうなった場合は、想定外の大パニックとなる可能性があるのです」 怖い順の格言である「地震雷火事親父」の親父の部分はかなり怪しくなってきたが、東日本大震災の恐怖は未だ脳裏から離れない。首都直下地震は30年以内に7割の確率で起こると言われているが、それは明日にもやってくるかも知れないのだ。
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社会 2018年02月27日 15時00分
電波制度改革強行も…安倍政権VSテレビ業界 “憲法改正イヤー”の攻防戦
安倍首相は講演で「オリンピックの年、2020年は新しい憲法で迎えよう」と発言している。今年は間違いなく国会で憲法改正について侃々諤々の議論がされるだろう。 1月末、安倍首相は楽天の三木谷浩史社長が代表理事を務め、IT関連企業が集まる新経済連盟の新年会に出席。ネットテレビについて、「放送法の規制がかからないが、見ている人にとっては地上波と同じだ。日本の法体系が追いついていない。大きな改革をしなければならない」と言い放った。2月に入り自らトップを務める未来投資会議の会合でも、「放送事業の大胆な見直しが必要だ」と述べ、電波制度改革に並々ならぬ意欲を示している。 安倍首相が悲願の憲法改正へ向け最も高いハードルとなる国民投票を睨み、テレビ界の大改革に手を突っ込む構えを見せ始めた。 民放テレビ局関係者は、安倍首相の思惑をこう分析する。 「昨年9月の衆院選前、安倍首相は森友・加計学園疑惑で叩かれると、その批判の急先鋒のテレビ局番組に乗り込み、偏向報道をにおわす発言で牽制した。'14年の衆院選の際にも、テレビ局が意図的に安倍批判だけを取り上げたと声を荒げるなど、一国の首相らしからぬヒステリーぶりを見せている。安倍首相としては、批判を繰り返すテレビ各局に対し、時期を見て一発かましてやろうと思っていたに違いない」 それに拍車をかけたのが、首相が推し進める憲法改正だ。 「安倍一強と言われる中で、やはり最後の国民投票による過半数の賛成は、相当難しいと見られている。そこへ来て、例えば、地上波の一部の番組からでも反改正のトーンを出されれば、事態はさらに悪くなる。安倍首相は、地上波放送による世論のなびき具合にかなり神経を尖らせているんです。そのため、国民投票までに批判を完全に封じ込めておきたいという思いが強い」(政治部記者) 安倍首相の発言を総合すれば、今後、ネットには新たな規制は課さない上で、放送用に割り当てられている周波数の有効活用を検討するのだという。 「つまりは、現在の地上波放送をネットに追いやるということ。もちろん、それに対しテレビ局側が猛反発するのは確実で、簡単に実現できるはずもない。ただ、安倍首相もそこは織り込み済みで、むしろネットへの移行をテレビ局にチラつかせることで自主規制をさせ、安倍批判を弱めるのが最大の狙いなんです」(同) 電波制度改革強行を目論む安倍政権に対して各テレビ局はどこまで放送の自由を示せるのか、“憲法改正イヤー”の攻防戦に注目だ。
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社会 2018年02月27日 08時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 仮想通貨の欠陥
580億円分の仮想通貨NEMを流出させたコインチェック社が、2月13日に会見を開き、事業を継続することと、停止していた日本円の出金を再開したことを明らかにした。しかし、流出したNEMを保有していた顧客への補償については、資金自体はあるとしながらも、具体的な時期を明らかにしなかった。 コインチェックを利用していた投資家は、資金を塩漬けにされたままになるから、それだけでコインチェック社のずさんなデータ管理の責任は重い。しかし、私は今回の事件で、仮想通貨自体にも構造的な問題が判明したのではないかと考えている。 ブロックチェーンという仮想通貨取引の正当性を検証する技術は、今のところまったく破られていない。また、盗み出されたNEMが、どこに存在するのかも特定されている。しかし、当初の報道では、その情報が取引所間で共有されているため、盗まれたNEMは、身動きできない状態に封じ込められるだろうとされていた。 ところが、そのNEMは、犯行直後から数万円前後の少額ずつ、あちこちのアドレスに送金され、2月1日深夜には、1750万円という大金が送金されたことが判明している。それでも、この犯罪資金に対して、警察当局が手も足も出せない状態になってしまっているのだ。 仮想通貨を取引するためには、ウォレットという口座を持つ必要がある。大手取引所を利用する場合には、本人確認が行われているが、ウォレットは、専用ソフトを使うと個人でも作成することができる。その場合は、個人情報を登録する必要がないから、持ち主が誰だか分からない。 私は、盗まれたNEMがタックスヘイブンで現金化されてしまうのではないかと危惧していたが、2月10日にその一部が、闇サイトで他の仮想通貨に交換されていたことが明らかになった。汚れたNEMを手にした利用者は警視庁の事情聴取を受けたが、逮捕はされていない。このサイトを通じて、すでに数億円が交換されてしまった可能性もあるという。 今回のNEM流出事件ではコインチェック社の自己資金で補償がなされるのだとしても、もっと巨額の流出が起きた場合、補償は不可能だ。そして流出した仮想通貨は、窃盗犯を野放しにしたまま流通してしまうだろう。いまの仮想通貨は、管理者を排除しようとすることに気を取られ、結局は安全も排除してしまったとも取れる。 日本政府は、仮想通貨の取引所を登録制にすることで、仮想通貨の健全な発展を支えようとしたが、その判断は間違っていたのではないだろうか。 私は、日本銀行が大手銀行、あるいは銀行グループに仮想通貨を供給し、それに基づいて、各銀行が独自の仮想通貨を発行するという形が近い将来に実現するのではないかと考えている。そうすれば、仮想通貨に資産の裏付けが生まれ、強制通用力を与えることも可能になってくる。また、価格変動も小さく抑えることができるから、投機の対象にもなりにくい。 その時、いま流通している仮想通貨が価値を持ち続けるのか、大いに疑問だ。ひょっとすると、仮想通貨バブルはおしまいなのかもしれない。
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社会 2018年02月26日 22時20分
「不良はダサい」草食系がモテる時代?林修、少年犯罪減少との関係性も指摘
2月25日に放送された『初耳学』(TBS系)では、博報堂の研究員・酒井崇匡氏が執筆した “なぜ"不良の中学生"はモテなくなったのか”という記事をベースに、不良少年が減少している現状を解説した。 まず、林修は「今、中学生の間では不良が全くモテない。今の女の子はどういう男の子を格好いいと認めるのか? 記事によると、優しくて清潔で頭の良い“逃げ恥”の星野源のような男の子に人気がある」と若い女性の好みが不良から真面目で優しい人を好むようになったため、不良が減ってきたと紹介。 また、不良が減少した理由について林は、親や教師から暴力をふるわれた割合の減少や子どもの話をよく聞く親が増加したことも要因に挙げる。「なぜ不良になるのかは一概には言えないんですけど、家庭であったり先生であったり社会に対しての反抗という面もあるんじゃないのかな。今は親子の話し合いで不満自体が解消される率も上がっている」と子どもが大人へのストレスを感じにくくなったことも、不良少年が少なくなった原因なのではないかと語った。 ネット上では「不良はダサい」「確かに不良はモテないわ。アタマ大丈夫?ってなる」「私も星野源みたいな人好き」と不良に対してネガティブな感情を抱いている人の書きこみが目立った。 不良文化が最もカッコイイと思われていたであろう1980年代では、1982年に1000人当たりの20歳未満の検挙・補導人数が18.8人もいたのに対し、2015年には5.5人と戦後最低を更新している。このデータを見ると、林の言う通り、若い女性の理想の男性像が不良の数の減少と大きく関係しているのかもしれない。 10代の少年にとって、女性からモテることは、最も大切な価値基準と言っていいだろう。「草食系男子が増えた」「ガツガツする男が減った」と若い男性の女性への積極性の低さを批判する声も多くあるが、モテたいからこそ、ガツガツしないで草食系でいる可能性も考えられる。
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社会 2018年02月26日 22時10分
「逃げ切る方法」はあるのか…弁護士軍団が“毒親”対策を紹介もネットでは不満
2月25日に放送された『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)では、子どもの幸せを奪う親、“毒親”への対処法を弁護士軍団が紹介した。 まず、北村晴男弁護士は「法律的にはどんなにヒドい親であっても、親子関係を切ることはできません。ただし、親族関係がこじれてきた場合、それを解決するために、話し合いの場を家庭裁判所の調停という手続きで利用することができます」と第三者である調停員を介して話し合いをすることで、解決の糸口を探るのが良いと主張。 次に、菊地幸夫弁護士は「毒親に子どもへのつきまといを止めてもらうように仮処分を裁判所が出してくれます。一時的ではあるんですけど、命令を出していただけます」と裁判所から仮処分命令を出してもらえれば、一時的ではあるが、毒親と距離を置くことができると口にする。 最後に、本村健太郎弁護士は「住民票の閲覧制限」と回答。「自分の住所を親に知られないようにする方法です。つまり、親から逃げて隠れて暮らす。親は子どもの住民票・戸籍の附票を取り寄せることで、子どもの住所を調べることができるんですね。そこで、親が子どもの住民票の写しを請求しても市役所が拒否してくれる。ただ、これが認められるのは、親から一定の被害を受けている被害者に限られます」と縁は切れずとも、親から姿をくらますことで物理的に縁を切る方法はあると語った。 ただ、ネット上では「毒親から逃げる方法知りたい」「毒親のこと、もっと詳しくやってほしかった」と毒親についてもっと掘り下げてほしかったという意見が多く寄せられた。 「親子なら仲良くするのは当然」という風潮があるため、毒親との縁を切りたくても切れずに苦しんでいる人は多くいる。この世にはどう頑張っても仲良くできない親がいることを社会がキチンと理解し、毒親に苦しめられている人を救う法律が充実することを期待したい。
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社会 2018年02月26日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第259回 国土経済学
国土の「均衡ある発展」というビジョンの象徴ともいえる田中角栄の『日本列島改造論』では、不思議なことに「自然災害大国、日本」の視点がほぼない。 同著において唯一、自然災害について触れられているのは、 「いま東京が関東大震災と同じ規模の大地震に襲われたらどうなるだろうか。東京都防災会議、東京消防庁によると、倒壊家屋二万戸、圧死者二千人、地震が発生してから五時間後に品川区、中野区の面積に匹敵する16万平方キロメートルを焼き尽くし、焼死者実に56万人という恐るべき被害が予想されている」(P47) の部分のみである。 『日本列島改造論』は、主に過密、公害、満員電車、大気汚染、劣悪な住居スペース、都市部の物価高騰などを理由に、東京圏から地方に工場(および人)を移転させるべきという発想になっている。土台として日本の国土的条件である「自然災害大国」があるわけではないのだ。主要国の「地震力を考慮する地域」を比較すると、ショックを受ける。「地震力を考慮する」とは、構造物を建設する際に、地震発生を前提にしなければならないという意味になる。 フランスはピレネーとアルプスの周辺、ドイツはやはりアルプスの周辺、アメリカは主に西海岸が「地震力を考慮する地域」となっている。それに対し、わが国は何と「全土」。日本列島に暮らす限り、「地震」という自然災害からは誰も逃れることができない。地震だけではない。日本は台風や豪雨により、水害、土砂災害が多発する国でもある。さらには、火山も噴火する。 2018年1月23日、草津白根山の本白根山が噴火。陸上自衛隊第12旅団第12ヘリコプター隊所属の伊沢隆行陸曹長が、部下を庇い、命を落とした。日本の国土面積は世界の約0.25%にすぎない。それにも関わらず、世界の活火山の1割近くが存在する、世界有数の火山大国でもあるのだ。 加えて豪雪災害。2月6日、日本列島は上空に強い寒気が襲来し、日本海側で大雪となった。福井市では6日午後2時時点で、平年の6倍を超える136センチメートルの積雪を記録した。同日、福井市内では雪に埋まった乗用車の中で男性が死亡した。さらに福井県北部の国道8号線では、約10キロメートルの区間で自動車約1500台が立ち往生し、自衛隊が出動。 わが国は震災大国であり、台風や豪雨で水害、土砂災害が多発し、火山が噴火する自然災害大国なのだが、同時に世界屈指の「豪雪国」でもある。人口10万人以上の世界の都市の年間降雪量を比較すると7位が秋田市、3位が富山市、2位が札幌市、1位が青森市と、世界ベスト10に4市がランクインしている。 カナダのバンクーバーやロシアのモスクワなどは、確かに日本よりも寒い。とはいえ、豪雪に見舞われるわけではない。100万人都市では、カナダのモントリオールが年平均2メートルを超す降雪になるが、札幌市は何と6メートル超! 人口80万人を超す新潟市が2.5メートル。 日本で降雪が多いのは、国土が細長い弓型で、真ん中に脊梁山脈が走っており、北方から日本海の湿気を含んだ空気が流れ込むためだ。脊梁山脈にぶつかった湿気を含む空気が、日本海側に豪雪をもたらすわけである。参考までに、世界山岳気象観測史上、年間積雪量の世界記録は、滋賀県の伊吹山(約12メートル)である。 驚くべきデータをご紹介しよう。日本のGDPは、世界の6%程度であるのに対し、災害被害総額の17.5%がわが国なのだ(平成26年版防災白書)。日本列島は、GDPという経済規模に比して、諸外国と比べて3倍の災害被害を受け入れなければならない国土なのである。ちなみに、'80年から'13年までの世界の災害による被害総額を見ると、東日本大震災(約2000億ドル)が首位となっている。3位は、約1000憶ドルの阪神・淡路大震災。 首都直下型地震の30年以内の発生確率は70%。南海トラフ巨大地震(東海地震、東南海地震、南海地震の連動)が30年以内に発生する確率は、50〜87%。自然災害大国である以上、日本政府が技術投資、公共投資により「国民を地震から守る」プロジェクトを継続すれば、わが国が「需要不足」に陥ることなどあり得ない。むしろ、供給能力不足によりインフレの可能性が高まるだろう。 技術投資や公共投資は、もちろん「GDP」という総需要の一部を成す。それにも関わらず、現実のわが国は「需要不足」というデフレーションに苦しんでいる。つまりは、日本政府が「国民を守る」という国民国家の基本的な機能を放棄しているという話だ。緊縮財政とは、まさしく政府の責任放棄そのものだ。 国民を自然災害から守るための投資も、立派な需要である。この事実を認識すれば、 『わが国は少子化で(あるいは「人口減少で」「成熟化で」)需要は増えない』 などといった言説が、まさに「世迷言」であることが理解できるはずだ。 日本列島は地震大国、自然災害大国である。だからこそ国民は可能な限り「分散」して暮らし、かつ「高速交通網」により市場として「統合」しなければならない。そうすることで、防災安全保障強化と、経済成長を両立する。 自然災害大国とは、確かに厳しい国土だ。もっとも、自然災害大国は「国民が互いに助け合う」という意味のナショナリズムを醸成しやすい。あるいは、政府が国民の防災を真剣に考えたとき、「需要が尽きることがない」といった面もあるのである。 日本は今、自然災害大国という厳しい国土環境を「活かして」経済成長し、繁栄する道を模索するべきだ。そのためにも、単純な机上の経済学ではなく、国土的条件を加味した「国土経済学」がわが国には必要なのである。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2018年02月26日 08時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 海部俊樹・幸世夫人(上)
「これまで多くの学生諸君の弁論を聴いてきたが、海部君の演説に優るものを私はかつて耳にしたことがない。海部の前に海部なし、海部の後に海部なし。この一言に尽きる」 海部俊樹は、学生時代から政治家志望であった。当初入学した中央大学法学部では弁論部に所属、卒業後は政治家には早稲田大学が向いていると同大法学部に編入学、同時に雄弁会に所属したといった具合だった。冒頭の弁は、海部在学中の早大雄弁会会長だった時子山常三郎教授(のちに早大総長)の海部の“弁舌”絶賛のそれである。 早大を卒業した海部は、直ちにやはり雄弁会の先輩でもあった当時の三木(武夫)派の河野金昇代議士の秘書となって議員会館に詰め、時に、社会党の柳原三郎代議士の議員会館で事務の手伝いなどをしていた幸世と出会って互いに一目惚れ、議員会館内では「国会の恋」として話題になったものだった。 結婚は昭和30年(1955年)、海部24歳、幸世22歳で、その5年後、河野代議士病気引退の後釜として海部は衆院選に初出馬、昭和生まれとして初の当選を飾ることになった。 ちなみに、海部は「29」という数字に妙に縁があり、早大卒業が昭和29年、初当選が29歳でこれが第29回総選挙だった。また、初当選後に割り当てられた議員会館が6階の29号室、秘書としてつかえた河野代議士はやがて亡くなるが、その命日が3月の29日だった。そして、こうした「29」が自分の運命の数字とみたか、「オレは29年後に天下を取ってみせる」と豪語していたが、その通り29年後の58歳で、これも昭和生まれ初として首相のイスに座ってみせたのだった。 その海部、政界入り後は三木武夫に師事し、「三木の秘蔵っ子」とも言われた。信念と権謀術策が綾なした三木とはタイプが異なり、弁舌には優れているものの政治手法は常識的、正攻法型。ために、党のギラギラした体質とは一線を画したさわやかイメージの「自民党のネオ・ニューリーダー」として期待されるようになっていった。 その裏には、幸世夫人の持ち前の「オルガナイザー」としての戈が貢献した部分が大きかった。元三木派担当記者の次のような証言がある。 「夫人は、後年は幸世という名前から中国共産党主席だった毛沢東の“猛妻”江青(こうせい)になぞらえて、『コウセイ夫人』と呼ばれるほどのバリバリ型の代議士夫人となった。しかし、海部がまだ陣笠の頃はその後ろで支える、機転の利く女性だった。 当選5回目あたりでは、愛知県の選挙区内に10人、20人といった小さな女性だけのグループを次々と立ち上げ、最終的にこうしたグループは数百に及んで、のちに1万人をゆうに越す海部後援会婦人部“はなみつきの会”の原型をつくることになった。女性が本気で動く選挙は強い。愛知県における長らくの“海部王国”は、『コウセイ夫人』の才覚によるものだったと言ってよかった」 その海部が首相のイスに座れたのは、前任首相の宇野宗佑が芸者との「3本指」スキャンダルなどで退陣を余儀なくされたのがキッカケだった。派閥はすでに三木から河本敏夫(元通産相)にバトンタッチされていたが、小派閥であることは変わらず、それまで閣僚経験も文部大臣2回だけで外交経験なく、経済、財政も門外漢となれば、首相への目などはなかったが、時に自民党を牛耳っていた最大派閥・竹下派の“意向”によるものだったということであった。 時に、リクルート事件の責任を取って退陣をした竹下派会長の竹下登は、影響力温存のため「キングメーカー」ぶりを発揮していた。ために、気脈のある派閥領袖でもなかった中曽根(康弘)派幹部の宇野宗佑を自らの後継に据え、宇野の失脚後はまたまた小派閥の河本派幹部の海部を担ぎ出したということだった。 本来なら竹下の「盟友」であった安倍晋太郎(安倍晋三首相の父)の登場するところだったが、安倍もまたリクルート事件を引きずり、体調を崩していたことで断念したものだった。一方で、宇野で傷ついた自民党のイメージを払拭するには、「クリーン」イメージの海部で挽回という考えもあったようだった。もとより、海部が「竹下カイライ政権」であることは、自民党内の圧倒的見方であることは言うまでもなかった。 首相に就任した海部は「政治改革」の声を高め、内閣支持率も高く、まずは順風満帆に見えたが、舞台はアッという間に暗転した。竹下派の「剛腕」、時に自民党幹事長でもあった小沢一郎に政権運営の大なる不満を買ったからであった。 その後、不満のつのった小沢は、自民党を離脱、非自民勢力を統合、新進党の結成に動くのだが、その党首に「バリバリ型代議士夫人」として定着していた海部の妻・幸世が模索されたのだった。=敬称略=(この項つづく)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2018年02月25日 22時10分
「言い方が極端」「時代遅れ」ネット炎上 落語家の“貧困は自分のせい”発言
関西で多くレギュラー番組を持つ落語家の桂春蝶がツイッターで放った問題発言が波紋を広げている。 落語ファンの間では知られた存在の春蝶であるが、落語から縁遠いネットユーザーの間でも大炎上となったのは、春蝶がツイッターで20日に投稿した次の発言だ。 春蝶は投稿で、日本国内の貧困問題に触れた。「世界中が憧れるこの日本で『貧困問題』などを曰う方々は余程強欲か、世の中にウケたいだけ。」と、日本で貧困問題が議論されていることに疑問を呈した。同じ投稿で「この国では、どうしたって生きていける。働けないなら生活保護もある。我が貧困を政府のせいにしてる暇があるなら、どうかまともな一歩を踏み出して欲しい。この国での貧困は絶対的に『自分のせい』なのだ。」と、貧困は国民一人一人の責任で生まれるもので、国家として救済する種のものではないとの持論を展開した。 以前からツイッターでネットニュースに対し悪態をついていた春蝶はこの後も「時代が悪いの、世の中がおかしいと言ったところで仕方ない。だからでこそ、どんな時でも、人間は誰でもやればできる」「芸人風情でも何とかやっていける日本は素晴らしい。これ以上この国に何を望みますか?」などと、国家を賞賛しつつ貧困者をあおるツイートを連発した。 これらのツイートにネットユーザーは呆れ、「言い方が極端すぎる」「貧困者を貶(おとし)めているんですか?」「さすがにこれは、時代遅れの認識」などと批判。中には日本で起こった餓死事件をまとめたサイトを紹介し、春蝶の認識を否定するユーザーもいた。 一口に「貧困」と言っても、「夫不在の母子家庭」「介護のため」「病気のため」など、多くの理由が考えられる。生活保護を受給できず、貧困や生活苦によって死亡してしまうケースもあり、「日本が本当に恵まれている国かどうか」の議論は絶えない。 確かに日本は多くのケースで最低限生きていける仕組みは整っているものの、最低限のレベルで生きていくことと「貧困」は別問題だとする声もある。生まれた環境が貧困だった場合、学力にお金をかけられず貧困の連鎖も続く。生活保護世帯の4割(25.1%)は出身世帯でも生活保護経験を持っているという、2013年に発表された厚生労働省のデータもある。 春蝶はのちのツイートで、発言は生きていける環境が整った日本に感謝をするべきだという意味だと釈明しているが、相対的貧困率が15%と先進国の中でも貧困率が高い日本において、「貧困」と「強欲」は結びつけようがない。 春蝶の定義する「貧困」は、自己責任による貧困のみを指しているのだろうが、このツイートはあまりにも極端。ツイートから数日経ったいまもなお、春蝶に対する批判はやんでいない。