社会
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社会 2011年04月13日 11時45分
奈良の神社話その十六 葛城山に座す“死を操る”神──御所市・高鴨神社
葛城山麓は古代豪族・鴨族発祥の地だ。ここに鎮座する高鴨神社の祭神は「死した神をも甦らせる」という。 全国の加茂(賀茂・鴨)社の元宮とされる高鴨神社。上鴨社とも呼ばれ、周辺に点在する中鴨社こと葛木御歳(かつらぎみとし)神社、下鴨社こと鴨都波(かもつば)神社と合わせて“鴨社三社”の一つといわれる。祭神は『延喜式』に高鴨神社四座とあり、大国主命の御子・阿遅志貴高日子根命(あぢしきたかひこねのみこと)他四座を祀る。 『古事記』にはまたの名を迦毛(かも)大御神と記されている。『記』で“大御神”と称されるのは天照大御神、伊邪那岐大御神の三神のみ。それゆえ平安遷都後も朝廷の尊崇は続き、疫病が流行するなど国家の大事には幣帛が奉られた。 この祭神には不思議な逸話が残されている。 高天原からの使者として地上に赴いた天稚彦命(あめのわかひこのみこと)は国譲りの使命を果たさず、自ら天に放った矢で落命してしまう。阿遅志貴高日子根命は義理の弟であり友であった天稚彦命の弔いに赴くのだが、「その時この神の容貌(かおかたち)は天稚彦命の生前の容貌そのままで、親族妻子はみな我が君が生きておられたと泣いた」と『記紀』は語る。 「死した神々をも甦らせる」と信仰される所以である。 「七度生まれ変わって国に報いん」と誓ったとされる楠木正成は、武運長久を祈って度々当神社へ参拝したという。「再生復活の神」に歴史に名高き武将は“不死身”になぞらえ、永久の忠誠を祈願したのだろうか。 当神社は日本さくら草の栽培でも有名。4月下旬頃には境内に現存している品種約500余種が咲競う。清楚で可憐な姿に足を止め、ほっと一息ついてみたい。(写真「朱塗りの本殿(重文)と拝殿」)神社ライター 宮家美樹
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社会 2011年04月13日 11時45分
孫社長も引っかかった!? 「コンピュータ監視法案」の中身
ソフトバンクの孫正義社長(53)が、菅政権による「コンピュータ監視法案」の閣議決定に対する抗議として、twitterを3日間やめると宣言(画像)、現在も「ハンガーストライキ」中だ。最近では、東日本大震災の被災地に私財100億円を寄付することを表明して喝采を浴びるなど、数々の発言で人気の孫社長だけに大きな話題となっているが、今回、孫社長を激怒させた「コンピュータ監視法案」を精査してみると…。 騒動の発端となったのは今週発売の週刊誌の「菅政権ネット規制強化 国民をもっと信用すべきと専門家指摘」という記事。「菅政権がコンピュータ監視法案を、震災のドサクサの中で閣議決定。これは捜査当局が裁判所の令状なしでインターネットのプロバイダに特定利用者の通信記録保全を要請できるようにするもの」という論調だった。震災後のネット上に流れたデマや流言が社会問題になるなか、警察当局もネット上の「デマの規制強化」に乗り出そうとするなど、ここ数週間のネットの動向に呼応するかのような記事だったが…。 永田町関係者は頭をひねる。「そもそも、この決定は3月11日午前の閣議で決まったもので、震災とは直接関係はありません。だから『震災のドサクサの中で閣議決定した』というのは誤報です。内容も、コンピューターウイルスの作成罪を新たにつくる関連法改正案ですよ。国内ではウイルス作成に対する処罰法律がなかったことから、改正案で3年以下の懲役または50万円以下の罰金を科すと規定したものです。まあ、データの差し押さえが可能になり、ネットの接続業者や企業に最長60日間の通信履歴の保全を要請できるとしてますから、孫社長が怒るとすればこの点くらい」 twitterの有名人アカウントが過剰に反応したのも騒動に拍車をかけてしまった。リツイートされていくうちに最終的に孫社長の目に留まり、今回の「ハンスト」となったというのが真相のようだ。まさにネットに流れる「デマ」に引っかかってしまったという状態。もっとも孫社長自身もtwitter上で「私なんて間違えてデマRTした事何度もある。これからは、確認取るのも大変?! これから何回逮捕されるのか?! 確証ない時は毎回?!?!?!?!」と呟いているように、こんな事態も想定済みというところか。
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社会 2011年04月12日 11時45分
偽募金に注意しよう いっぽう、やはりすごかったアノ募金
東日本大震災の被害に遭った方々に募金をしたい、また既にだいぶしている、という方は多いだろう。 募金というと、日本赤十字社と中央共同募金会を通じての募金を思い出すが、ほかにどんな募金が考えられるだろうか。例えば、セブンイレブンのレジ前募金はどうだろう。 「現在行っているセブンイレブン店舗のレジ前の募金は、弊社としての独自の募金です。通常は外部を通して募金するが、今回は被災の状況がはっきりしており、各県の被害状況に合わせたかたちで贈ろう、ということで決定しました」(お客様相談室・資料を元にコメント) まず、赤十字とかとは関係ない。 その金額は、3月いっぱいまでのセブンイレブン店舗、これに関係グループ各店舗含んだ募金の総計が約12億円だった。これらに社長、会長ら個人の献金と、関係各社関連の募金を合わせると、これまでの総額は実に28億円以上にのぼったという。 既に、これまでのセブンイレブンからの募金は、使途は自治体に任せて4月8日に各県知事宛に振り込まれている。(内訳は、宮城県に10億円、岩手県・福島県に8億ずつ、茨城県・千葉県に2000万円ずつ、など) なお店舗の募金は、予定を延長して4月末日まで続けられるそうだ。 消費者として判断がしやすい募金があるいっぽう、消費者庁のHPによれば、今回の震災にあたって、「市役所の職員を名乗り、義捐金の名目で金銭の振込みを依頼する電話があった」などの被害が報告されている。 が、このようなお願いを行政がすることはないそうだ。 例え1円でも、あくまで募金は自分で決める! という姿勢が、被災地の皆さんのために、ということにつながるのかも。(仙道)
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社会 2011年04月11日 11時45分
東国原氏敗北も「タレント活動はしない」
10日、東京都知事選の投開票が行われ元宮崎県知事の東国原英夫氏が100万票の大差をつけられ現職の石原慎太郎氏に敗れた。 午後8時と同時にテレビ各局の当確が出た瞬間、市ヶ谷にある東国原事務所に集っまった支援者からは大きなタメ息が漏れた。午後8時20分から始まった東国原氏の会見で「私の力不足でした、それに尽きます」と深々とあたまを下げた。「まだ決めていないが、タレント活動はしない」と語った。 また今日(11日テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」に生出演し師匠たけしと激論する。(アミーゴ・タケ)
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社会 2011年04月09日 17時59分
計画停電打ち切り 詫び料は微々たる料金割引
東京電力は4月8日、不公平さでなにかと批判の的となっていた計画停電の原則不実施を発表した。 3月14日にスタートした計画停電は、社会生活、経済活動に大きな打撃を与えてきた。3月29日以降は実施されていなかったが、打ち切り決定に胸をなで下ろした人も多いだろう。 東京電力では停電によって迷惑をかけたお詫びとして、対象となった世帯、事業所に対し、料金の割引を決めた。内容は500kw未満の契約者において、1日1時間以上の停電が発生した場合、1日ごとに基本料金の4%を割り引くというもの。 各グループごとの計画停電実施回数は、(1)7回=第1グループ、第2グル−プABC、第5グループ、(4)6回=第2グループDE、第4グループ、(6)4回=第3グループ。同じグループでも実際に停電した地域、しなかった地域が発生したため、実態は異なるものの、第3グループのみ、他のグループより極端に停電回数が少なかった。これは、公平性の観点から、いかに配慮が足りなかったかのなによりの証明だ。 一般的な家庭では、30アンペアで契約しているケースが多いだろう。30アンペアの月の基本料は819円。4%といえば、わずか32.76円。最大の7回分でも、229.32円にしかならない。 7回停電した第2グループに属する埼玉県在住の自営業のAさん(49)は、「計画停電で多額の売上減となった。どこも平等にやったのなら文句もいわないけど、対象になってないエリアがあったり、地域によって停電回数が違ったりで不公平すぎた。たった229円返してもらっても、なんの慰めにもならない」と怒りを隠せなかった。(※注※計画停電実施回数は東京電力のホームページを参照)(蔵元英二)
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社会 2011年04月08日 15時30分
東京ガスが電力不足にニンマリ? 系列会社従業員を大量にクビ切り!
東日本大震災で福島原発などが、稼動できなくなったことで生じた東京電力の電力供給力不足。そのウラで東京ガスが内心ほくそ笑んでいるというのだ。 東京電力といえば、ここ数年、ガスが不要のオール電化住宅を推し進めてきた。当然、困るのは東京ガス。同社はオール電化の普及を阻止すべく、ガスの良さをPRする活動を、100%子会社のアーバン・コミュニケーションズに業務委託してきた。 アーバン社はその業務を、さらに別の4社に委託し、その社の契約社員、派遣社員計344人が、戸別訪問でガスの長所を説明して回っていた。 ところが、今回の震災を受け、東京電力管内の電力が不足してしまい、輪番で電気を止める計画停電がスタートする非常事態に陥った。電力不足は長期間続くことが予想され、冷房を使う夏場は大変な節電が求められる。予想だにしなかった状況に、すでにオール電化を導入している家庭は、廃止してガスとの併用を検討するだろうし、オール電化に興味をもっていた家庭では切り替えにちゅうちょするのは自然のなりゆき。 この事態に肩をなでおろしたのが東京ガス。同社は震災後、アーバン社への業務委託契約を解除。アーバン社は344人の契約社員、派遣社員の雇い止めを通告。それらの従業員に対し、3カ月分の給与を追加で支払うように手配した。アーバン社によると、大方の従業員が雇い止めに応じたという。 東京ガスは「福島原発事故に伴う電力不足が続いており、オール電化に対抗する必要がなくなったと判断。委託を取りやめた」と説明している。 被災地に限らず、震災の影響で、職を失ったり、自宅待機を命じられた人は多い。東京ガス自体は大きな被害を受けたわけではなく、その措置はあまりにも非情といえなくもない。だが、震災余波では、やむを得ないことなのか。クビを切られた人たちは不運というしかなく、新たな職が見つかることを祈るばかりだ。(蔵元英二)
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社会 2011年04月08日 11時45分
東京電力の清水社長が職場復帰するも会見の予定は未定
高血圧と目まいにより、先月29日から入院していた東京電力の清水正孝社長が6日に退院、7日に職場復帰していたことが報じられた。入院中は勝俣恒久会長が社長業務を代行、会見にも一度応じたていた。職場復帰したことで、ただ、社長の会見が開かれると思いきや、その予定は未定だという。 「そもそも、これだけの事態になってトップの会見が毎日開かれないのはおかしい。職場復帰したならば即刻、国民の前へ出て事態の説明を自ら行うべき。一部では“状況を見て”なんて話もあるようだが、今でも緊急事態であることに変わりはない」(経済部記者) 原発問題、農業や漁業へ補償問題、さらに計画停電など、東京電力のトップとして、自らが説明しなければいけない問題はありあまるほど。“状況を見て”などとのんきな事を言っている間に避難指示を受けて避難している住民や、計画停電の影響から経営難に陥っている企業など苦しい状況に追い込まれている方も少なくないはずだ。 「体調が不安ならば、そもそも今回の事態の陣頭指揮は無理。辞めるべきでは」(経済部記者) ネット上では、「トップの顔が見えない」と批判され、「計画入院ではないか」との憶測も飛んだ。海外メディアからは、「問題が起きた際に連絡が取れなくなるのは、日本の経営者や政治家によくあること」と呆れられた清水社長。今後の舵取りを日本国民だけでなく海外からも注目されていることだけは間違いない。
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社会 2011年04月08日 11時45分
奈良の神社話その十五 熱湯が暴露する嘘と真実──高市郡明日香村・甘樫坐(あまかすにます)神社
古代の正邪判定法のひとつ、盟神探湯(くかたち)。延喜式内社・甘樫坐神社ではこの一種の神判儀式を再現し、今に伝えている。 盟神探湯の記述は『古事記』『日本書紀』の允恭(いんぎょう)朝にみえる。人々がみんなそれぞれ「自分は帝皇や異(あや)しくして天降った神の裔(すえ)だ」と主張しているので、盟神探湯をしてその正否を判定すると詔(みことのり)した。こうして混乱していた氏姓の秩序を正したというのだ。 方法は簡単。神に宣誓して釜で沸かした熱湯に手を入れ、正しければ手はただれないとする。先の詔では「味橿丘(うまかしのおか)に据えられた探湯瓮(くかへ)の熱湯により真実でない者はみな傷いた」ので以降、氏姓は自然に定まり、偽る者はなかったという。 他にも煮沸した泥を手でかき回させたり、真っ赤に焼いた斧を手のひらに押し付けたりといった方法もあったとか。いずれにしても無事で済む場面があるとは思えないのだが、五人の天皇に仕えたとされる伝説的廷臣・武内宿禰(たけのうちのすくね)は盟神探湯で潔白を証明し、見事ピンチを脱している。 先に出た味橿丘は飛鳥川に沿ってなだらかに続く甘橿丘に比定される。展望台から眺める大和三山の眺めは絶景だ。この裾野に鎮座するのが甘樫坐神社。祭神は諸説あるが八十禍津日神(やそまがつひのかみ)、大禍津日神、神直毘神(かむなおびのかみ)、大直毘神の四座が知られる。禍(邪)とそれを正す神である。 さて、境内には約3×1.5メートルの板石が立つ。明日香村にいくつか存在する「立石」の一つで用途は不明。4月の第一日曜日、この謎の立石の前に釜が据えられ、古式ゆかしく盟神探湯の神事が再現される。(写真「拝殿横に屹立する立石」)神社ライター 宮家美樹
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社会 2011年04月07日 15時30分
素晴らしき日本、浅ましき日本
東日本大震災直後の日本は、暴動も起きず、略奪も支援物資の奪い合いもほとんどなかった。 この秩序の正しさや忍耐力が、各国から高く評価された。 地震当日の東京では、深夜に家路を歩いて帰った人も多かったが、パニックにはならなかったし、女性でも歩いて帰れるぐらいであった。 しかし、その一方で翌日から物品の買い占めが起きてしまい、多くの人が困窮した。やがて原発事故からの放射性物質が水道水に混じっており【乳児は水道水を摂取しないように】という報道がなされると、報道の数時間後に町からミネラルウォーターが消えた。 理由はもちろん買い占め。 ミネラルウォーターを買い占めた人の多くに、家族に乳児や妊産婦がいない人もいたと思われる。震災直後に暴動も略奪もしなかった日本人が、結果的には乳児や子どもたち、妊産婦に譲るべきミネラルウオーターを店頭から奪ってしまったというのは言い過ぎだろうか? 買い占めは略奪のような犯罪行為ではないし、放射性物質という得体の知れないものから、自らの身を守ろうとするため、安全な水を飲みたいという気持ちは、とてもよくわかる。 ただ、その行為が乳児や幼児、妊産婦という、いってみれば弱者から奪う結果になってしまっていることを忘れてほしくないものだ。 買い占めをした人たちも、それほど深い考えでやったわけでもないであろう。我々日本人が、非常時のモラルとして今後考えていかなければならない課題であるかもしれない。今回のような超大型の災害は、まず直接的な被災者を苦しめるが、直接的な被害を受けていない人たちにも大きな影響を与える。 いま、労働人口の約3分の1が年収200万円以下のワーキングプアであるといわれている。その人たちのほとんどが、時給・日給で働く非正規雇用者である。 今回の災害で、東日本の多くの地域で計画停電が行なわれている。現代社会では停電をしている時間は、ほとんどの仕事ができなくなる。つまり停電は、時給・日給で働いている人たちの仕事を直接的に奪う結果になっている。 工場や夜の飲食業、コンビニといった産業では、多くの非正規雇用者、つまりはパートタイマーやアルバイトである。そういったパートやバイト、派遣社員で生計を立てている人たちは、仕事が直接的に減るため、自宅待機になったり、雇用を切られたりして、収入が激減している。そういった方々は元々多くの貯蓄もないため、すでに彼らから「来月の収入は家賃分くらいしかない」「他にバイトを探しているが、なかなか見つからない」という悲鳴が聞こえてきている。 もちろん、非正規雇用者だけでなく、中小企業の中には、この地震の余波で倒産してしまった会社もすでに出てきている。 それでなくても、大学の新卒者就職内定率が戦後最低となっているほどの大不況のまっただ中にあるのだ。 この大災害復興のためにかかるお金は、20兆円とも30兆円ともいわれている。こういったとき、必ず弱者から切られたり苦しめられたりすることになる。 いまはみんなが苦しいとき。そんなときはどうしても弱者のことを忘れてしまいがちになるが、こんなときだからこそ、立場の弱いものを守る心を持っていてほしい。 みんな日本は素晴らしい国だと思いたいのだ。弱者から奪うような浅ましい国であってほしくないものである。(巨椋修(おぐらおさむ) 山口敏太郎事務所)参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/
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社会 2011年04月07日 11時45分
山口敏太郎の直言(2)「首都機能分散計画〜他国の核攻撃、原発テロに対抗すべし」
今回の震災と原発問題で明らかになったことは、日本の人口も企業も、あまりにも首都圏に集中し過ぎているという点である。 考えてみると、東京・神奈川・埼玉・千葉という首都圏だけで、人口が3千500万人を超えており、日本人の30%強が首都圏に居住しているのだ。この一極集中ぶりは異常と言うしかない。 既に計画停電の余波もあってか、業務にならないベンチャー企業などが東京電力の圏外に脱出し始めており、はからずも企業の地方分散化が進みつつある。筆者は関西や名古屋周辺に顧客や友人がおり、よく訪問するのだが、震災以降は名古屋・関西の街が混雑しているように思えるし、岐阜県の某企業団地は東京を脱出したIT企業が入居し、たちまち埋まってしまった。 さらに、筆者が参加した名古屋の震災トークライブには、東京を出てきたという人たちが少なからずいたし、名古屋の友人の情報によると、名古屋支店や関西支店を持つ企業の経営者たちが大挙して、支店に移動してきているという。また九州や沖縄は、東京から避難してきた芸能人で溢れている。 もはや、人口と企業の一極集中は瓦解しつつあると言ってよいだろう。夏場において電力不足が予想される現状では、この傾向を国家戦略として活用し、首都機能の分散化をはかるべきである。 今後も地震やテロによる原発危機が発生する可能性はあるだろうし、敵国の核攻撃も充分ありうることである。そうなった場合、首都圏に政治的、経済的な機能が集中した今のままでは、国家の存続そのものが危ない。そこで首都圏の節電の効果もあり、地方経済の活性化も期待できる、首都機能分散計画を提案したい。 まずは省庁の分散化である。例えば文部科学省は長野県、宮内庁は京都府、経済産業省は大阪府、外務省は長崎県、厚生労働省は富山県、農林水産省は北海道という感じで、全ての省庁を各都道府県に割り振る。勿論、関係団体、下請企業、その家族もついて行くだろうから、ちょっとした民族大移動である。また、その都道府県に永く居過ぎると地元経済との癒着が始まってしまうだろうから、十年に一回ぐらいの国替えは必要であろう。 中には他の省庁や企業と調整や打ち合わせをするのに、地方に所在しては困ると反論する向きもあるかもしれないが、飛行機と新幹線を使えば、県庁所在地ならば一日で移動できない事はない。数万人クラスの人間を移動させる省庁分散制は、ぜひ実施すべきである。 さらに大学と企業の地方分散化も推進すべきである。すでにコマツNTCが品川にあった本社を富山県南砺市へ移転しているし、この震災を機会に追従する企業も続々と出つつある。この企業の地方移転を国としては、税制優遇でバックアップするのはどうだろうか。 他にも大勢の学生を抱える大学の地方移転も税制優遇で推進してもらいたい。いや、もはや首都圏にこだわる企業や学校法人には、多大な課税を課して、地方移転せざるをえない状況に持っていくぐらいの荒療治をしないと、経済人の東京信仰はなくならないだろう。 とにかく、江戸期の大名のお国替えのように、省庁、企業、学校という大勢の人間を付随して動く組織を、地方にスライドしていくことで、他国の核攻撃やテロ、地震による原発事故などが起因となった首都圏破壊というリスクを軽減できる。また、原子力に頼らない電力ライフの実現もしやすくなるだろうし、大量の人間が流れ込む事で、日本経済を支える地方経済の復興が可能になるだろう。(山口敏太郎)