社会
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社会 2016年02月25日 15時00分
米韓両軍は本気だ! 北朝鮮への先制攻撃「5015作戦」全貌
「5015」とは北朝鮮の核・ミサイル施設への先制攻撃作戦だ。別名「金正恩第一書記“斬首”作戦」である。米軍は水爆実験後の1月10日に、グアムのアンダーセン空軍基地から核兵器を搭載可能なB-52戦略爆撃機を韓国烏山空軍基地へ飛行させたが、その後も続々と“暗殺兵器”を韓国内に投入している。 「2月20日ごろまでにトマホーク巡航ミサイルなどを搭載した攻撃型原子力潜水艦ノースカロライナを派遣し、続いてB-2ステルス戦略爆撃機やF-22ステルス戦闘機の派遣も検討しています。3月7日から4月30日には、原子力空母ジョン・C・ステニスも参加する史上最大規模の米韓合同軍事演習『キー・リゾルブ』を韓国近海で実施すると発表していますが、その一環として“斬首”作戦の訓練も適用する予定です」(軍事アナリスト) 「5015」は、北朝鮮による韓国侵攻を想定した「5027」や、北朝鮮の急変事態に対応する「5029」などを総合した作戦計画で、昨年6月に米韓によって立案された。 「北朝鮮は今回のミサイル発射を人工衛星と強弁していますが、前回の打ち上げ後の2013年1月23日の国連安保理決議第2087号など、いくつもの決議が北朝鮮に対し『核実験やICBM技術を使用したいかなる発射をこれ以上実施しないこと』を求めています。従って1月6日の水爆実験と今回のミサイル発射が、安保理決議に違反していることは明白です。また米国は、北が国連の制裁決議に従わなければ、北西部の東倉里にあるミサイル発射場を攻撃するという警告を発していましたが、北がそれに全く耳を貸さずに発射を断行したことで、米国も本気にならざるを得なくなったのです」(北朝鮮ウオッチャー) 今年に入っての金正恩第一書記の暴走が、米韓に北朝鮮攻撃の口実を与えたことになる。米軍はイラク戦やアフガン攻撃に投入し、要人を暗殺する斬首作戦を実行してきた海軍特殊部隊のネイビーシールズや、同じく極秘潜入を得意とする第1空輸特戦団、第75レンジャー連隊所属の特殊戦兵士を韓国内で訓練させており、キー・リゾルブにも参加させる予定だ。 2月11日、韓国国防省も特殊部隊支援機MC-130Jによるこれら特殊部隊のパラシュート降下作戦を実行、北側に防戦する余裕を与えず、心臓部を急襲し、かつ通信網を破壊して無抵抗にすることをにおわせ、金正恩第一書記の“寝室”まで苦もなく潜入できるとプレッシャーをかけた。 ところで今回のミサイル発射実験に使われたテポドンII改は、発射台を67メートルと高く見せるために偽装が施されており、実際は従来型のテポドンIIのままで、米本土東海岸に到達する能力はないとする専門家もいる。 「大気圏への再突入時は数千度の高熱にさらされますから、核弾頭を守るための耐熱装備を施すことが必要。セラミック素材や炭素繊維などを特殊なプラスチックで固め、一部が溶けつつも熱を吸収する方式を核保有五大国は採用しています。北はこうした技術を持っていない。つまり今回のミサイルはICBMとは言えません。また、発射に際しては1月20日ごろから2週間以上もかけ、衆人環視の中で組み立てながら液体燃料の注入を2月4日に始め、その3日後の7日に発射している。もしこんなに時間をかけたICBMで米国を狙おうとしても、発射準備を始めた途端、航空攻撃などで簡単に破壊できるシロモノです」(軍事ジャーナリスト) とはいえ、いかに“ハリボテ”でも着実に進歩していることは確か。核の小型化、核兵器運搬手段のICBMの製造、潜水艦攻撃力の強化などが現実化しつつある。しかも日韓を射程内とするノドンは、テポドンと違い移動式やトンネル内に配備されるなど、すでに実戦配備され「ソウルを火の海にする」という従来からの北朝鮮の主張はこけおどしではない。 折しも韓国メディアは「朝鮮人民軍の李永吉総参謀長が2月初めに処刑された」と一斉に報道した。核実験、長距離ミサイルを成功させた軍ナンバー3の李総参謀長が処刑されるのだから、北の党・軍幹部たちは心の休まる暇がない。こうした中での「5015」によるプレッシャーは、彼らの忠誠心を揺さぶるに違いない。 「6カ国核協議は、北の核開発計画をストップできないことを、口にこそ出さないがホスト国の中国も知っている。日米も外交交渉で北が核開発計画を放棄するとは考えていない。北はそれを熟知しているだけに核開発をやめない。その狙いは、まず金王朝の継続、次に核保有国の承認、そして第3は米国との平和協定の調印の3つです。北は4回の核実験と6回の長距離ミサイル発射を行いましたが、米国に無視されたことで、この3つの目標を実現できていません。これら目標を実現する前に金正恩政権を打倒しないと、国際社会はさらに難題を突き付けられることになります」(前出・ウオッチャー) 仮に「5027」や「5029」を発動するような有事の際まで米韓が手をこまねいていれば、北への軍事攻勢に多大な犠牲を出さなければならない。だからこそ北朝鮮は、実際はできないシナリオだと高をくくっている。その意味で、犠牲を最小限に抑えることが可能な「5015」実行の潮時と言えるのだ。
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社会 2016年02月25日 10時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 長期金利がマイナスに!
前回、日本銀行のマイナス金利政策により、 「長期金利が近々にマイナスに突入したとしても、不思議でも何でもない」 と書いたが、2月9日、早くも長期金利がゼロの壁を突破し、金利が本当にマイナスになってしまった。 2月9日の国債市場では、取引開始直後から買い注文が殺到。あまりにも国債が買い込まれ、国債価格が上昇。長期金利の代表的な指標である10年物国債の利回りが、一時、マイナス0,035%まで低下してしまったのだ(終値はマイナス0.025%)。長期金利が0%を割り込み、マイナスに落ち込んだのは、わが国にとって初めての経験である。 長期金利がマイナスになったのは、わが国がスイスに次いで2カ国目になる。スイスは昨年1月15日、スイス国立銀行がスイスフランの対ユーロ為替レートを、1ユーロ=1.2スイスフランに固定し、無制限に介入を続ける為替方針を突然撤廃。スイスフランショック(スイスフランの暴騰)を引き起こしたときから、長期金利がマイナスの状況が続いている。 直近のスイスの長期金利は、マイナス0.307%で、マイナス0.035%を記録した日本と、低金利(というかマイナス金利幅)競争で激しいデッドヒートを繰り広げている。どちらの国が「民間に資金需要がないか」の競争をしているわけだ。 むなしいとしか言いようがない。 現在の世界では、中国を含む新興経済諸国の経済が失速し、先進国から投じられた資金が巻き戻ってきている。厳密には、資金が戻るのではなく、新興経済諸国の通貨が外貨に両替されているわけだが、金利が極端に低く、世界最大の対外純資産国である金主「日本国」にも資金が巻き戻り、円高になりやすい環境になっているのだ。 加えて、アメリカの2015年10-12月期の経済成長率が失速し、FRB(連邦準備制度理事会)が今後しばらくは再利上げをできないという思惑も、円が買い込まれる一因になっている。というわけで、2月9日にドル円の為替レートが1ドル114円台まで円高が進んだ。 円高になると、日経平均は下がる。何しろ、日本株の取引の71%(昨年実績)は外国人投資家によるものなのだ。外国人投資家は「外貨」でものを考えるため、円高になると日本株の「売り時」になる。さらに、日銀のマイナス金利政策により、銀行の収益が悪化することが見込まれ、銀行株を中心に日本株には「売り」が入りやすい環境になっているのだ。 ひどい話だが、日銀のマイナス金利政策を受け、銀行は預金者に負担を押し付けざるを得ない状況に追い込まれている。 横浜銀行と八十二銀行は、これまで0.025%だった満期まで1年の定期預金の金利を、普通預金の金利と同じ0.02%まで引き下げた。 りそな銀行は、満期2〜5年物の定期預金の金利を0.005%〜0.025%幅引き下げ、年0.025%に。ソニー銀行も、年0.020%だった普通預金の金利を大幅に引き下げ、年0.001%に。10万円を1年間、普通預金に置いたままだと、1円しか利息が付かない計算になる。 三菱東京UFJ銀行はマイナス金利政策を受け、大企業などの普通預金に口座手数料を導入する検討を始めた。すなわち、預金者に対するマイナス金利政策だ。 静岡銀行はインターネット専用のネット支店において、2月末までの予定だった定期預金のキャンペーンの受け付けを中止した。10万円以上を預けた場合、年0.330%の金利を付けるという商品だったのだが、「金利情勢の急激な変動で適用金利を見直す」とのことである。 2月8日には、ゆうちょ銀行までもが、通常貯金や定額貯金、定期貯金などの金利を一斉に引き下げると発表。日本銀行のマイナス金利政策は、もはや国内の各銀行が経営的に受け止めきれないほどの「重し」なのである。 というわけで、2月9日の日経平均は銀行株を中心に値を下げ、前日比918円下落の1万6085円にまで値を下げた。結果的に、日本円が「金(きん)よりも価値が高い」といわれている日本国債に殺到。日本銀行が量的緩和政策を継続しているため、 「日銀という最終的な買い手がいる」 という安心感もあり、今や海外投資家までもが必死に日本円建ての「日本国債」を追い求めている事態になっている。 そして、ついに2月9日、10年物国債の利回りが0%を切り、マイナスに突入してしまったわけである。 マイナス金利、つまりは額面よりも高い金額で国債が買われたため、満期まで保有していると損をする。とはいえ、何しろデフレ継続で民間の資金需要が乏しく、日本円のめぼしい投資先がないため、結局は資金が「日本国債」に向かわざるを得ないのだ。 「国の借金で破綻する」はずの日本国の国債が、長期金利でマイナス。乾いた笑いしか出てこない。 結局、デフレという総需要不足の国、つまりはモノやサービスの購入、あるいは消費・投資(同じ意味だが)が不足している国の政府が、デフレ対策を中央銀行に丸投げし、 「政府によるモノやサービスに対する消費・投資としての支出」 すなわち、財政出動から顔を背け続けてきた結果、政府、中央銀行共に「袋小路の終点」に追い込まれたというのが、現在の日本の姿なのだ。 それにもかかわらず、メディアや政府の諮問会議では、相変わらず“破綻脳”のコメンテーターや評論家、学者が幅を利かし、長期金利マイナスの国において「国の借金で破綻する」の大合唱を続け、愚かな政治家が影響を受け、唯一の正解である「国債発行と財政出動」にたどり着けない。 冗談でも何でもなく、心が壊れてしまった画家が描いたカリカチュア(誇張や歪曲を施した人物画)を見ているような「不気味さ」を感じる。全ての事実や指標が「国債発行と財政出動」を求めているにもかかわらず、大手マスコミや政界では誰も語ろうとしない。 この国は、狂っている。********************************************みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2016年02月24日 15時00分
欠陥エアバッグ問題の『タカタ』 なぜか“増収増益好決算”の理由
欠陥エアバッグのリコール問題に喘ぐタカタが先ごろ発表した2015年4〜12月決算は、好調な自動車市場を反映して増収増益だった。しかし、国内メーカーが立て替えたリコール費用だけで5000億円超のボリュームに膨らんで債務超過転落、すなわち経営破綻が視野に入ってきた同社の“唐突な好決算”だけに、耳目を疑った市場関係者は少なくない。 タネを明かすと、タカタが計上したリコール関連費用は弁護士の相談費用などで、部品の交換費用は一切カウントされていない。これはリコール費用を立て替えた自動車メーカーと協議し、責任の割合に応じて決める仕組みになっており、話し合いの修羅場はこれから。従って天文学的な数字に膨らみかねないリコール費用の計上は決算上、先送りされているわけだが、タカタはこの点には言及していない。これでは世間の目に「リコールの影響は微々たるもの」と映っても不思議はない。 とはいえ、自動車メーカー相手では“この手”が通じるわけはない。好決算を発表する直前の1月29日、タカタはメーカー向け説明会で“フェイント”を仕掛けた。巨額のリコール費用負担で財務が悪化しかねないとして事業の継続性を検討する第三者委員会を設置する旨を発表したのだ。エアバッグの世界シェアで2割を占めるタカタが深刻な経営危機に陥れば各社の新車戦略に影響する。そこで企業法務や事業再生に詳しい弁護士などによる事業継続を検討する第三者委員会を旗揚げする、というのだ。 そのココロは「もしタカタが“リコール倒産”すればメーカーに飛び火する。それを念頭に立て替えたリコール費用の責任割合を決めてほしい。何ならば当社に対する債権放棄の手段もある」という延命への協力アピールに他ならない。 タカタは資産から負債を差し引いた純資産が昨年9月中間期で1400億円あるが、今後の協議次第では一気に吹き飛ぶ。それが怖いから各社の胸元に匕首を突き付けた格好なのだ。 まるでどこかの国の“瀬戸際外交”そのものである。
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社会 2016年02月24日 10時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 シャープを救えない情けなさ
2月5日、台湾の鴻海精密工業の郭台銘会長が、総額7000億円でシャープを買収する提案について「優先交渉権を得た。2月中に最終契約する」、「鴻海の創業から42年間の経験を生かし、シャープを新たな創業として、再生したい」と記者に述べた。一方、シャープは「優先交渉権を与えたという事実はない」と否定しており、事態は流動的だが、鴻海の優位は揺るがない情勢だ。 シャープに対しては、官民ファンドの産業革新機構も再建案を提案している。当初は、技術流出を恐れる政府も機構による再建を後押ししており、シャープもそれを望んでいると言われていたが、なぜ逆転を許したのか。私は、二つの理由があったとみている。 一つは、買収金額だ。鴻海は、最終的に7000億円を提示したが、機構の提示額は3000億円だった。もう一つは、機構が役員の退任と従業員のリストラを求めたのに対して、鴻海は役員の残留と40歳以下の社員の雇用確保、さらには太陽光発電パネル以外の事業の継続を確約したとされている。 シャープとしては、役職員の雇用が守られ、同じ仕事を継続できるのであれば、鴻海の提案に乗りたくなる。また、シャープに融資をしている銀行にとっても、鴻海が高額で買収してくれれば、不良債権化が防げることになる。 問題は、なぜ産業革新機構によるシャープの評価が低いのかということだ。おそらく産業革新機構は、小型液晶パネルの値崩れで窮地に立つシャープの“数字”しか見ていないのではないか。 シャープは革新の遺伝子を持っている。世界初のトランジスタ電卓、日本初の電子レンジ、油を落とすスチーマーのヘルシオなどを発売してきたほか、省電力を可能とする液晶のIGZO特許を持っている。さらには、「ココロプロジェクト」を進めており、家電製品に人工知能を搭載し始めているのだ。これは、今後の家電産業の大きな潮流になると言われており、シャープは、いわば世界のトップランナーなのだ。 政府や銀行は、こうした現状をきちんと認識していない。鴻海は同業なので、シャープのすごさが十分に分かっており、だから喉から手が出るほど欲しがっているのだ。 実は、今回の事態には前例がある。ハイアールアジアだ。'11年、三洋電機が、中国の家電メーカーハイアールに白物家電事業を一括売却することで誕生したのが、ハイアールアジアだ。三洋電機がパナソニックに事実上吸収合併されるなかで、重複する三洋電機の白物家電事業部門がリストラされたのだ。 ハイアールアジアの製品は、現在アクアというブランドで販売されているが、ここが実に元気だ。ハンディ洗濯機のコトン、スターウォーズ家電、そして最近では、扉の全面に液晶モニターを配した冷蔵庫を発表するなど、画期的な新製品をリリースし続けている。 ハイアールアジアは、中国資本となったが、日本に立地する会社で、旧三洋電機の従業員を引き継いでいる。いま、鴻海が狙っているのは、明らかにこのパターンなのだろう。政府は、成長戦略と言いながら、みすみす日本の宝を流出させるのだろうか。
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社会 2016年02月23日 10時00分
カネと野心に翻弄された 身売りシャープの無念…
シャープが台湾資本の軍門に下るのか、それとも劣勢に立つ政府系ファンドが一発大逆転を仕掛けるのか。決断の最終期限とされる2月末が目前に迫ってきた。 もっとも、高橋興三社長が2月4日の記者会見で「現時点でどちらが優位というのではないが、労力をより多く割いているのは鴻海(ホンハイ)だ」と明言したように、台湾の鴻海精密工業が着実に外堀を埋めている。一部には2月29日を待たず決着するとの見方さえ浮上している。 「社長会見の直前までは政府系ファンドの産業革新機構がシャープの再建を主導し、液晶事業を分社化してジャパンディスプレイとの“日の丸液晶連合”を誕生させるシナリオが有力だった。かつて鴻海は、シャープに約700億円を出資して筆頭株主になる契約を結びながらも反故にした過去がある。シャープの不信感は根強く、首相官邸サイドから『技術の海外流出はもっての外』とのプレッシャーもあったようです」(経済記者) ここにいうジャパンディスプレイとは東芝、日立、ソニーの液晶ディスプレイ事業を統合した会社。そこへシャープを“政略結婚”させる他、家電事業は東芝の白物家電との統合などが検討されていた。早い話、シャープの生体解剖を伴う弱者連合シナリオだ。 ところが1月30日、鴻海の郭台銘会長がシャープ本社を訪ねて支援額を7000億円(従来は5000億円)に積み増し、3000億円出資する予定だった産業革新機構との“熱意”の違いをアピールすると、形勢は一気に逆転した。郭会長は2月5日の昼前、報道陣を前に「3時から記者会見する」と余裕の表情を浮かべてシャープ本社へ入り、夕方5時半すぎに姿を現すと「今日は優先交渉権の合意書にサインした。交渉のハードルは90%乗り越えた」と胸を張ったのだ。 これに対し、シャープは「優先交渉権を与えた事実はない」と否定したが、裏を返せば鴻海は当日の交渉でシャープ乗っ取りに90%の自信を持ったことを意味する。 最大の決め手は前述したように支援額の引き上げだが、金融関係者は主力行の一つである「みずほの寝返りが大きい」と指摘する。みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行の主力2行は「産業革新機構を通じたシャープ再建」をバックアップしてきた。その一角が、なぜ崩れたのか。 「実をいうと、みずほは鴻海との取引が深く、1月末に銀行を訪問した郭会長の熱意に飛びついた。機構シナリオだと、メーン2行は債権放棄などで3500億円の金融支援を迫られる立場でした。ところが鴻海は銀行が保有する優先株を買い取るため、金融支援の必要がない。三菱東京にしても、内心は同じ思いでしょう」(前出・金融関係者) NHKが「シャープ、鴻海支援へ」とフライング報道した2月4日、シャープは鴻海に軸足を移しながらも機構との「両論併記」にとどめ、結論を先送りした。情報筋は「機構を“刺身のツマ”の形で残して置かないと鴻海が増長するとの政治的判断があった」と打ち明ける。果たせるかな、その翌日に飛び出たのが郭会長の優先交渉権発言だった。 シャープの行方に首相官邸が強い関心を示しているのは間違いない。もし破綻すれば下請けを含めインパクトは大きく、アベノミクスを直撃する。とはいえシャープが外資の軍門に下れば技術が流出する。そこで浮上したのが機構支援シナリオだった。 「とはいえ再三にわたるリストラで優秀な技術者がゾロゾロ転出し、もう技術流出は止まらない。まして機構支援ではシャープのいろいろな部門が切り離され、生体解剖が急ピッチで進む。その点、現在の経営体制維持を唱える鴻海の方がリスクは少なく、成長の余地があると判断した官邸サイドが、今では鴻海による再建支持に回ったのです」(永田町関係者) 問題は鴻海が“公約”をどこまで守るかだ。何せ前言撤回の過去だけでなく、形勢が有利と見るや郭会長は「若い人に出資し、40歳以下の人は切らない」と発言、中高年層を対象にした苛烈リストラに含みを持たせた。これで経営権を奪取した暁には豹変も大ありだ。 シャープ支援をめぐる攻防に一枚絡んできそうなのが、エフィッシモ・キャピタル・マネジメント。ご存じ、村上ファンドの関係者が運営する“物言う投資家”で、シャープ株の4%を保有し、先ごろ選定プロセスの透明性確保を求める書簡をシャープに送付している。 「鴻海、機構どちらが勝つにせよ、決定の舞台裏を監視し続けるとの表明に他ならない。今後とも目を光らせるでしょうし、厄介な株主になるのは間違いありません」(市場関係者) にぎにぎしい面々もそろう中、果たしてシャープはどんな命運をたどるのか。
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社会 2016年02月22日 15時00分
1億総下流社会突入! 悲惨な業界「人間模様」 〜年収300万円は夢のまた夢〜(4)
〈パチンコ業界〉かつての1兆円産業も落日の日…店長からリストラで収入ゼロ! 同じ会社、同じ業界で働き続けることを考えれば、長期的な視野に立った業界の景気動向は重要だ。 「けど、私が働き始めた90年代半ば、パチンコ業界は1兆円産業と呼ばれ、市場規模も右肩上がりでした。それがまさか20年でここまで落ちるとは…」 遠くを見つめるような目をしながらそうつぶやくのは、元パチンコ店従業員の横山純一さん(仮名・44歳)だ。 「パチンコホールは高卒の私みたいな人間でも高収入を得られた職場でした。現に複数のアルバイトを転々とした後、24歳で地元ローカルチェーンに就職した私も最終的には店長に出世。年収は一番よかったころで850万円もありました」 順風満帆に見えたホール店長としての日々だったが突然終わりを告げることになる。店長を務めていたホールが閉鎖となったのだ。 「それが2年前のことでした。新台導入のコストは増える一方なのに、お客は減り続けて固定客がいるのは1円パチンコなどの低価格コーナーくらい。ウチのホールだけでも毎月数百万円の赤字を垂れ流している状態で、会社はパチンコ事業からの全面撤退を視野に入れていた。そのため、ホール従業員は大半がリストラ。店長の私も例外ではありませんでした」 ちなみにレジャー白書によると、パチンコ業界の売上高は29.5兆円('04年)→18.8兆円('13年)とわずか10年で36.5%も減少。これほどのペースで市場規模が縮小した業界は他にはなく、全国のパチンコホールの数も1万5165店('05年)→1万1627店('14年)と3500店弱が閉店。一説には8万人以上が職を失ったと言われる。 「いざ求職活動を始めてもパチンコホールの勤務経験は、業界外からの評価はハッキリ言って低い。おまけに当時42歳でしたから年齢的に書類の時点でNG。店長時代は30名近いスタッフを束ねる立場にいましたが、それすらも評価の対象にはなりませんでした。今はビルの警備員で年収は280万円。2年前からは想像もできないほどの落ちぶれっぷりです(苦笑)」
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社会 2016年02月21日 14時00分
1億総下流社会突入! 悲惨な業界「人間模様」 〜年収300万円は夢のまた夢〜(3)
〈CA(客室乗務員)〉風俗バイトに手を染める“高嶺の花”の女たちの実態 東京〜札幌・福岡などを最安5000円台(片道)の激安運賃で結び、日本の空に革命をもたらしたLCC(格安航空会社)。だが、低価格実現のために徹底したコストカットが行われており、そのしわ寄せは、女性にとって憧れの職業だったCA(客室乗務員)にも及んでいる。 現役CAの小村さやかさん(仮名・27歳)は、「LCCのCAは別名“空飛ぶブラック職業”。それほど労働環境は過酷で待遇も悪いんです」と明かす。 「私たちの会社のCAは基本的に全員契約社員で、年収も250万円程度。もちろん、小さいころからの憧れの職業に就けた嬉しさはありますし、大学時代に大手エアラインの採用試験に落ち続けた私にチャンスを与えてくれた会社に対する感謝の気持ちもあります。けど、LCCのCAは着陸後の機内清掃や地上職員として働くこともあり、複数の業務を兼務しなければなりません。給料は安いのに仕事量だけはANAやJALのCAの倍はある。本当に嫌になっちゃいます」 そんな状況ゆえ、昼食にはいつもお弁当を持参。自宅ではインスタントラーメンや納豆ご飯で食費を切り詰めなければならないとか。 「LCCだから社員寮もなく、距離的に実家から通えない私は空港近くにアパートを借りているのですが、そこの家賃が月5万8000円。毎月のお給料から家賃、光熱費、通信費、食費を引いたら残るのは5〜6万円。その中で生活していかなきゃならないので、お金を貯めるどころか貯金を切り崩さないとやっていけない月もあります」 そのため、高給バイトの風俗に手を染める同僚もなかにはいるそうだ。 「CAが多く在籍する高級デリヘルがあるらしくて、そこで働いている人が複数いるって噂は聞いたことがあります。正直、私も働こうかなって考えたことがあるくらいなので(笑)」 なお、小村さんが勤めるLCCのCAは3年契約。その後は毎年更新するシステムだが、現時点では更新するかは決めてないという。 「今は大手エアラインも給与面の条件が悪いけど、それでもLCCほど仕事はキツくないし、安いと言われる外資系でもウチより100万円近く年収が多い。タイミングよく転職できるなら辞めますが無理なら1年残るつもり。LCCはお客として利用するにはいいですけど、働くのは避けたほうがいいと思います(笑)」
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社会 2016年02月20日 14時00分
1億総下流社会突入! 悲惨な業界「人間模様」 〜年収300万円は夢のまた夢〜(2)
〈タクシー運転手〉国立大卒のエリート商社マンが今は年収210万円の極貧生活 2002年の規制緩和により業者の新規参入が相次いだタクシー業界も“悲惨な業界”の代表格だ。全国の主要都市で飽和状態に陥り、昨年10月には青森のタクシー運転手のグループが「低収入になったのは規制緩和が原因」と国を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こしている。 「私も原告団に参加したい気持ちです。確か、青森のタクシー運転手の平均年収は全国最低水準の177万円。これだけでは家族を養うことはできませんよ」 そう憤るのは北海道のタシー運転手、有村和也さん(仮名・40歳)。青森ほどではないが、去年の年収はたったの210万円だった。 「北海道でも札幌のような観光地ではないため、お客さんは最寄り駅や病院の行き来に利用する程度。にもかかわらず、こんな田舎ですら運転手が増えている。ある古株の運転手は『規制緩和の前は今より70〜80万円年収が多かった』ってボヤいていたほどです」 つまり、少ない客を大勢で奪い合っている状態のわけだが、困ったことにタクシー運転手の大半は望んで就いた職業ではない。他に仕事がないなどやむを得ない理由で就いたケースが圧倒的多数を占めるという。 「私もそうです。新卒で入った商社を病気で辞めざるを得なくなり、完治後にいざ再就職しようとも約1年のブランクがネックとなり、正社員として雇ってくれるのはタクシー会社以外になかった。実際、ウチの会社なんて今ですら人手は余っているのに、まだ募集をしているくらいですから」 グチをこぼしたくなるのは、有村さんが道内の名門、北海道大学の出身だからでもある。いくらなんでも旧帝大卒のエリートなら、もう少しいい条件の職場に入れたような気もするが…。 「けど、北海道はずっと景気が悪いままで、いくら北大卒でもまともな職歴のない自分が通用するほど甘い状況ではありませんでした。それに出身大学のことは今の仕事にとっては逆にマイナス。以前、勤めていた会社では上司が大学のことをバラして、『なんで北大行ってた奴が』と言われ、肩身の狭い思いをしました。だから今の会社では上司に口止めしてもらい、一切話していません。もちろん、昔の自分からは想像しなかった職に就いているわけですから『なんで俺が…』と思うこともありますけどね」 難関国立大を卒業したからといって、必ずしも将来が安泰とは限らないのだ。
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社会 2016年02月20日 12時00分
脳を鍛える! 「集中力」が続かない人のための新習慣3つ
皆さんの中には、最近集中力が続かない、という思いを抱いている方もいるでしょう。40歳を過ぎると、様々な場面で自分の衰えを感じてしまいますよね。ですが、生活習慣を改めることで、集中力が改善される可能性があるそうです。 今回は医師の小田切ヨシカズ先生に“集中力が続かない人のための新習慣”をご紹介いただきます。■1:朝同じ時間に起きる 「第一の習慣として、朝同じ時間に起きることを心がけましょう。集中力が続かない原因は、脳の働きが不安定になっているからかもしれません。人間の脳は機械ではないので、働きやすい時間帯・働きにくい時間帯などが周期的に訪れます。常に一定の集中力を得るために、この脳の働きの周期を安定させましょう。朝同じ時間に起きることで、周期が安定し、集中力を発揮することができるようになります」 早寝早起きの習慣をつけることが大事なのですね。■2:机の上を片付ける 「第二の習慣として、机の上を片付けましょう。机の上が雑然としていては、作業に関係ないものが目に入ってきて、集中力が阻害されてしまいます。また、整理整頓がきちんとできているということは、“今何に集中すべきか”が分かっているということでもあります。机の上が汚いと、整理整頓ができていない分、集中力を無駄に使ってしまっていることになります。机の上を片付けて、集中力の無駄遣いを止めましょう」 仕事ができる人でも机の上が汚い人はいますよね。そういう人は、集中力を無駄遣いしてもなお、ある程度の成果を出せているという点ではすごい人なのかもしれません。■3:自分にルールを課す 「机の上を片付けるということは、“今何に集中すべきか”を明確にすることに繋がりますが、同様に、自分にルールを課すことでも同じ効果を出せます。仕事のやり方や順序などを自分なりにルール化して、“今何に集中すべきか”がすぐに分かるようにしてください。もともと人間の集中力は限られているものです。その少ない資源を有効活用するために、自分にルールを課すことを試してみてはいかがでしょうか」 自分にルールを課す際に、そのルールが効率的かどうかも同時に検討すると、集中力と言う資源をより有効活用できそうですね。 いかがでしたか? 今回は小田切先生に“集中力が続かない人のための新習慣”をご紹介いただきました。朝同じ時間に起きる、机の上を片付ける、自分にルールを課す、の3つを習慣化するのは案外難しいかもしれませんが、集中力不足に悩む方は一度実践してみてはいかがでしょうか。
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社会 2016年02月19日 14時00分
1億総下流社会突入! 悲惨な業界「人間模様」 〜年収300万円は夢のまた夢〜(1)
〈介護職〉派遣切り後、ヘルパーに転職 昇給・ボーナスなしの年収260万円! 高齢化社会の到来で雇用が拡大している介護業界。ところが、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(平成25年)によると、老人ホームなどの福祉施設で働く職員の平均年収は307万円と驚くほど低い。 「きっかけは4年前の派遣切りです。家電組み立て工場をクビになり、その後も半年ほど仕事が決まらなかったんです。そんなとき、ハローワークのアドバイスもあり、ホームヘルパー2級の資格を取って老人ホームで働き始めました」 そう語るのは、群馬県在住の柚木裕之さん(仮名・45歳)。現在は家賃3万5000円の市営住宅に妻、中学生と小学生の2人の娘と暮らすが、年収は260万円と先に挙げた介護職員の平均年収よりも少ない。 「しかも、働き始めてから4年間、昇給は一切なし。ボーナスも一度として支給されたことはありません」 月給は手取りでおよそ17万8000円。妻が地元のディスカウントショップのパートに出るも、世帯年収は330万円しかない。 「老人ホームで働き始めたときは、昇給もボーナスもあるという話でしたが、いつの間にか、なかったことにされている。それでも今の仕事を失うわけにはいかないので文句は言えません。ホームには私のようにリストラ転職経験を持つ職員が何人もいますが、全員ボーナスなし。会社は立場の弱い我々の足元を見て、最初に交わした約束を平気で反故にしているんです」 しかも、現場は慢性的な人手不足。人件費の捻出を渋る会社はスタッフを増員する気はないそうで、柚木さんも1人で15人の入所者を担当しており、食事や休憩を取る時間もないとか。 「24時間体制なので日勤だけでなく夜勤もあり、生活のサイクルがメチャクチャです。もう若くないので疲れはなかなか取れませんし、寝つきも悪い。おかげで今じゃ睡眠導入剤なしでは眠ることもできません」 年齢的に「これから異業種に転職するのはムリ。そもそも正社員で雇ってくれるところはない」と今の職場で働き続けるしかないと諦めモード。そんな父親の苦労を知ってか長女は、高校卒業後は進学せずに就職すると告げているという。 「けど、娘は学年で上位5名に入るほど成績優秀で、大学に行きたかったことも知っています。それなのに私の収入が少ないから気を遣わせてしまって…。こんなに低賃金ならヘルパーなんてならなかったのに」
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