社会
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社会 2016年03月23日 14時00分
折り込み紙『GLOBE』が月刊化に追い込まれた朝日新聞の苦渋
販売部数の大幅な減少などが続く朝日新聞は4月から、売り物だった『GLOBE(グローブ)』の発行をこれまでの月2回から1回へ減らすことを決めたという。原因は何と言っても広告収入の落ち込みだ。 『GLOBE』は、タブロイド判の横書きで2008年秋に創刊され、主に第1、第3土曜日の朝刊に挟み込まれる形で配られるようになった。初代編集長は木村伊量前社長。「森羅万象すべてが取材対象」と振りかぶり、世界情勢や流行などを1テーマ最長2ページを使って紹介してきた。 「'09年には4ページから8ページに増量。世界規模の話題を売りに一流企業の広告増を狙い、出張旅費などもかなり潤沢でした。取材も各部の敏腕記者が集まり、当時は“今や朝日の本流”といった声もあったほどです。何しろ、編集長は社長候補の筆頭ですからね」(朝日新聞関係者) しかしこのご時世、内容が良くても朝日新聞本体が売れないことには話にならないようだ。広告の売り上げはとうにテレビに抜かれ、ネット媒体にも追い越された。 「致命的だったのが、'14年秋に渋々認めた従軍慰安婦問題などに絡む誤報です。東西の一流企業が撤退し、朝日全体でも'15年度の広告総売上が最盛期の3分の1以下となる600億円程度にまで落ち込んでしまった。社員の年収も最大200万円カット、5年間で100億円を確保することが明らかになる中、上質紙を使い取材費も恵まれている『GLOBE』が標的になってもおかしくはありません」(同) 担当者たちは「内容は今後も変わらない」と説明に大わらわのようだが、「毎日発行の新聞社が月1回の月刊紙を出すのか?」というクライアントの冷たい反応も聞こえてくる。 「取材陣の縮小は間違いなく、何より月1回の発行では売り物にするのは厳しい。中には“社会部出身の渡辺雅隆社長が前体制を嫌って放った追撃の矢”などという、キナ臭い噂も立っています」(同) 苦境はまだまだ続きそうだ。
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社会 2016年03月23日 12時00分
診療報酬詐欺 巨乳タレント女医・脇坂英理子の男とカネ(1)
暴力団の資金源になっていたとされる“診療報酬詐欺事件”で、ついに3月9日、Fカップ乳を売りにバラエティー番組に出演していた元女医タレントの脇坂英理子容疑者(37)が詐欺の疑いで逮捕。加えて、同容疑でコンサルタント会社役員の早川和男(39)、歯科医師の重松武(58)両容疑者(=いずれも詐欺罪で起訴)らも再逮捕された。 脇坂容疑者について「逮捕されたときの顔を見て思わず“スッピン詐欺”かと思いましたよ」と苦笑するのは、マル暴捜査関係者だ。 「逮捕されるまで一貫して関与を否定していましたが、派手なホスト遊びで借金漬けになったことを早川容疑者に利用され、診療報酬の不正請求に手を染めてしまっていた。昨年6月の家宅捜索での段階で、容疑は固まっていたんです」(同) 脇坂容疑者の今回の容疑は、2012年11月〜'14年9月、自らが経営する美容クリニック『Ricoクリニック』で患者の受診回数を水増しし、自治体から診療報酬約155万円をだまし取ったというもの。約2年間で不正請求した総額は約7000万円に上るという。 脇坂容疑者は東京女子医大卒業後、フリーの麻酔科医として都内の病院に勤務。'12年に千葉県船橋市に同クリニックを開設し、同じビルには重松容疑者の歯科医院があった。 「先に逮捕されていた重松容疑者は、自分が脇坂容疑者に早川容疑者を紹介したこと、さらに脇坂容疑者とは“特別な関係”にあったたことを供述していたようです」(全国紙社会部記者) 美容外科医院長となった脇坂容疑者はその後、美人女医タレントとして日本テレビの『踊る!さんま御殿!!』などのバラエティー番組に引っ張りだこになる。 「キャバ嬢風の派手メークとFカップ乳を売りにしていたため、“美人女医タレントの元祖”といわれた西川史子には脅威の存在でした。何しろ番組では『年収5000万円で貯金ゼロ。これまで寝た男は600人以上。ホストクラブには週1回から2回通って一晩で900万円使ったこともある』などとぶっちゃけトークを展開。インパクトが非常に強く、どこも使いたがりました」(バラエティー番組スタッフ) 実際、脇坂容疑者のホストクラブでの派手な遊びっぷりは有名で、客の女性とトラブルを起こしたこともあった。'14年9月にネット上で名指しされた上、《自殺しなければあなた殺されるみたいだよ。ナイフで首ちょんぎり事件》と書き込まれたのだ。 「書き込んだのは23歳の風俗嬢で、脇坂にお気に入りのホストを奪われたことへの逆恨みだったようです。同年11月、この風俗嬢が脅迫容疑で逮捕され幕引きとなったのです」(夕刊紙記者)
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社会 2016年03月23日 10時00分
「保育園落ちた 日本死ね!」の余波と支持率下落で安倍内閣が怯える9年前の悪夢
《保育園落ちた日本死ね!!!》の匿名ブログが、安倍政権を追い詰めている。 「2月29日の衆院予算委員会でウチの党の山尾志桜里議員がこの問題を取り上げたところ、安倍首相は木で鼻をくくったように『匿名である以上、実際に本当であるかどうかを、私は確かめようがない』と答弁。揚げ句の果てに自民党議員席は『誰が(ブログを)書いたんだよ!』『(質問者は)ちゃんと(書いた)本人を出せ!』とヤジる始末。これが報道されるや否や、子育て世代や高齢の方々から『冷たい』など安倍批判が一斉に沸き上がったのです」(民主党関係者) それを象徴するかのように、安倍首相と山尾議員のやりとりの直後、3月4日〜6日の読売新聞世論調査で安倍内閣の支持率は49%と50%を切った。これは前回の調査(2月12〜14日)の52%を下回り、2カ月連続の低下。同様に3月5日〜6日の毎日新聞世論調査でも1月より9ポイントも下がり42%まで下落。特に女性の支持率が前回の48%から37%に急落した。 「育休宣言しながら女性問題を引き起こした宮崎謙介議員の問題と、今回の『保育園落ちた』への安倍発言が女性感情を逆撫でした結果です。次期参院選はどの党に投票するかという質問でも、自民は前回の36%から33%に落ちた。投票先が30%を切ると政権交代の可能性があるとみられているだけに、今回の保育園問題、ナメてかかると自民党は大変ですよ」(選挙アナリスト) この空気に与党内からも「対応を間違うと年金記録問題と同じように、大変なことになる」と危機感の声も。というのも、「年金記録問題」が浮上したのが第1次安倍内閣の2007年当時のことだったからだ。 「国会で取り上げられ始めた当初、安倍内閣はたいして重要視していなかった。ところが、納付者を特定できない年金記録が5000万件あると判明し、大問題に発展したのです。それが原因で同年の夏の参院選は与党が過半数割れに追い込まれ、安倍退陣への引き金となった」(政治部デスク) 今回も、世間一般がホトホト困っている待機児童問題。批判が日々増す中で安倍首相も風当たりの強さを感じたのか、3月11日の参院本会議で待機児童をゼロにすると声高に強調した。しかし担当省庁内からは「すぐに解決は難しい」と早くも弱音が…。 9年前の悪夢再来となりそうだ。
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社会 2016年03月22日 14時00分
劇団員殺害事件 「LINEを交換して欲しかった」37歳男の信じがたい供述
「LINEを交換して友達になりたかった」 戸倉高広容疑者(37=職業不詳)が信じがたい供述を始めた。 昨年8月、劇団員の加賀谷理沙さん(当時25)が東京都中野区の自宅マンションで殺害された事件が急展開を見せ、発生から約半年を経た3月12日、戸倉容疑者が福島県内の実家で逮捕された。 捜査関係者によると、戸倉容疑者は、昨年8月24日に矢吹町の実家から上京。翌25日午前0時半過ぎに帰宅中だった加賀谷さんを見かけ、「マンションの部屋に入る加賀谷さんの後をつけた」と供述しているという。マンションの入り口は当時、オートロック式ではなかった。加賀谷さんとは「面識がなかった」と話している。 「8月25日の深夜、加賀谷さんは玄関先で全裸にタオルケットを顔に被せられた状態で死亡していました。首には1〜2センチの紐状のもので絞められた圧迫痕があり、司法解剖で窒息死と判明。室内からは加賀谷さんのリュックサックやワンピース、エアコンのリモコンなど10数点のものがなくなっており、いずれも犯人が持ち去ったと考えられています」(捜査関係者) 加賀谷さんの友人や知人などが捜査対象になる中、近所のマンションで一人暮らしの若い女性の部屋から、同じようにエアコンのリモコンが盗まれるという事件があったことが判明。集中的に捜査が行われたという。 「関連性はまだ分かりませんが、当時、その事件が起きた同じマンションに戸倉容疑者は住んでおり、並行して進めていた加賀谷さんの事件直後に引っ越した近隣住民のピックアップでも、戸倉容疑者が浮上したのです。しかし、何より決め手となったのは加賀谷さんが抵抗した際に爪の間に入ったと思われる皮膚片と、胸部に付着した汗と唾液のDNA型。2月中旬ごろに戸倉容疑者から任意で検体の提出を受けたところ、それらが一致したのです」(同) 事件当時、加賀谷さんの住むマンションから徒歩約5分、400メートルほど離れたマンションに住んでいた戸倉容疑者は、高校卒業後に福島県矢吹町から上京。都内でアルバイトを転々とする生活をしていた。 「実家は祖父の代から続く税理士事務所を経営し、比較的裕福な家庭だったのでは。ただ、挨拶をしてもそっぽを向くし、自治会の共同作業に出てくることもなく、東京に出る前はあまり良いイメージが残っていません」(近隣住民) さらに中学校時代の同級生の話。 「剣道を熱心にやっていて、優等生で真面目なタイプだった。学級委員長もやったこともあったが、もともと口数の少ないタイプ。3年ほど前の夏に同級生が集まって飲み会をやったときに来て、今は東京にいると話していた。変わらず普通の人間だったので事件を聞いて本当に驚いた」 周辺関係者によれば、2013年からは都内の会社で働き始めるが、昨年3月に突如「結婚することになったので辞めたい」と言い出し退社したという。 この元勤務先は、加賀谷さんが劇団員の傍らアルバイトをしていた居酒屋からほど近い場所にある。
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社会 2016年03月22日 10時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第167回 長期金利マイナス0.1%
3月8日、ついに長期金利の代表的指標である10年物国債の利回りが一時的にマイナス0.1%まで低下し、過去最低を更新してしまった。長期金利でマイナス0.1%…。異様な事態だ。 怖いのは、長期金利がマイナスになるほど民間に資金需要が乏しく、銀行が国債購入に殺到しているにもかかわらず、いまだに政府中枢が財政出動の表明をしないことだ。しかも、世界的に財政の拡大が求められている状況でありながら。 さらに怖いのは、中国が第12期全国人民代表大会で、交通網整備に“年2兆元(約34兆円)超”を投じるなど、インフラ投資で景気を下支えすることを決定したことである。つまりは、日本が相変わらず緊縮財政路線を貫こうとしている反対側で、中国共産党は「正しい政策」に踏み切ろうとしているのだ。 この状況は、1930年代のヨーロッパと似ている。 1929年のニューヨーク株式大暴落に端を発した大恐慌により、ドイツは失業率が43%(1932年)に達してしまった。国民のルサンチマン(弱者の憤り)がピークに達し、そこに付け入る形で1933年にナチス・ドイツが政権を握り、ヒットラーが首相の座に就いた。 ナチスはヒャルマル・シャハト(1948年まで存在したドイツの中央銀行『ライヒスバンク』総裁)の下で、大々的な財政出動を実施。アウトバーンや国道が建設され、第2次世界大戦開戦までに3860キロメートルが整備された。ナチス・ドイツという独裁的な政権の下で、ドイツ経済は瞬く間に回復。わずか5年間で失業率が完全雇用の水準に至ったのである。 当然ながら、当時のドイツ国民はナチスを熱狂的に支持した。 妙な話なのだが、現代や大恐慌期のような世界的な需要低迷期には、なぜか民主主義国の方が大々的な財政出動に踏み切れず、状況が悪化していく。逆に独裁国は、政府が剛腕を振るい、財政を拡大し、他国に先駆けて国力を強化してしまうのだ。 中国が30兆円を超す交通インフラ整備の財政支出をすると、当面の需要不足を補えるのに加え、将来的な生産性をも高め、経済力は強化されることになる。ここで言う「経済力」とは抽象的な話ではなく、モノやサービスを生産する力のことを意味する。資本主義経済においては、交通インフラを含む「資本」が生産活動に投じられ、さらなる資本を生産するという循環により経済力が強化されていく。 先ほどと同じように変な話なのだが、現在は中国の方が日本よりも「まっとうな資本主義的な政策」を推進しているのである。何しろ、政府が交通インフラ整備という「資本」に大規模な投資を行い、モノやサービスの供給能力という「経済力」を高めようとしているのだ。 それに対し、日本国では民主主義により選ばれた政権が「プライマリーバランス黒字化」などという珍妙な目標に固執し、資本主義的に正しい経済政策に背を向けているわけである。しかも、長期金利がマイナスになるほど銀行が「おカネの借り手」を求めている状況にありながら、政府は国債発行の抑制を誇っているありさまだ。これを「狂気」と呼ばずに、何と表現すればいいのだろうか。 このまま中国が「資本主義的に正しい政策」を推進し、日本が緊縮路線を継続すると、近々、中国のGDPが日本の3倍、4倍に達することになる。その時点で、軍事費の差は10倍に達しているだろう。もはや、わが国は中華人民共和国という独裁国家に立ち向かいようがない立場に落ちぶれ、亡国に至る−−。 ところで、3月8日の長期金利マイナス0.1%とは、発行済み国債が金融市場で売買された結果、生じた現象である。実は、1週間前にはさらに驚愕すべき事態が生じていた。 3月1日、財務省が実施した満期10年の新規発行国債の入札において、落札利回りが初のマイナスとなってしまったのである。 額面100円、表面利率0.1%、10年間保有することで101円を手にすることができる10年国債が、何と101.25円で落札されてしまったのだ。金融市場における売買はともかく、政府発行時に長期金利がマイナスになるとは愕然とせざるを得ない。 額面100円(表面利率0.1%)の国債を101.25円で落札したということは、落札利回りはマイナス0.025%。日本国の「国債不足」は、ここまで深刻という話なのだ。というわけで、政府が国債を発行し、財政出動によりデフレーションという「総需要不足」を埋めるに際し、これほどまでに適した時期はない。何しろ、金利負担が「ゼロ」で済む。 例えば、10兆円の10年国債を政府が発行し、金利が2%だった場合、利払いの総計は2兆に達する。利払い“だけ”で2兆円なのだ。ところが、現在は10年国債を「マイナス金利」で発行することが可能なのである。政府が「今」10年国債10兆円で資金調達し、国内のインフラ整備や生産性向上のための技術開発投資等に費やせば、日本国民は2兆円「得」をすることになるわけだ。 政府は「今」何にお金を使うべきなのか。 「将来の生産性向上をもたらす、現在の需要創出」であれば何でも構わないが、とりあえず脆弱な交通インフラの強化が必要だろう。さらには、国家的な危機ともいえる東京一極集中を何としても是正する必要がある。現在の日本が置かれている環境を考えたとき、 「地方創生と東京一極集中の解消、将来的な生産性の向上のすべてを達成できる全国的な新幹線網・高速道路網の大々的な整備」 を上回る「適切なプロジェクト」は存在しないと断言する。特に、新幹線整備は国民が分散して暮らしつつ経済圏を統一することができるという点で、安全保障強化と地方経済再生の一石二鳥の政策だ。 別に、交通インフラの整備には限らない。日本政府が「本当に」日本国民のことを考えているならば、長期金利でマイナスになってしまった「今」こそ、公益を増進し、将来の生産性向上をもたらす各種のプロジェクトに投資をするべきなのだ。 この手の正論が全く通らないのが昨今の日本ではあるのだが、それでも繰り返し主張していくことで、何かが変わるかも知れない。 少なくとも、筆者は諦めない。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2016年03月21日 14時00分
人が動く! 人を動かす! 「田中角栄」侠(おとこ)の処世 第11回
「新潟と群馬県境の三国峠を切り崩すッ。そうすれば日本海の季節風は太平洋側に抜け、越後に雪は降らなくなる。皆が、大雪に苦しむことはなくなるのであります! 崩した土砂はどうするか。ナニ、日本海を埋め立て、新潟と佐渡を陸続きにさせる手もある!」 人任せの前回選挙に懲りた田中角栄は、この昭和22年3月31日公示の戦後第2回総選挙では徹底した“自前選挙”、同時に“言論戦”に力点を置くなど戦法を大きく変えた。何とも壮大、大ボラも交えた冒頭の演説がそれを象徴していた。 一方で、運動の拠点といえば長岡など選挙区の中心部でなく、山奥などわずかな戸数の「陸の孤島」「辺境の地」がほとんどであった。中心部は先輩議員に押さえられ票の獲得が難しかったが、単に票のためということではなかった。「田中政治」の原点である。筆者が取材した当時の選挙参謀の弁がある。 「田中には“辺境の地”を見るにつけ、雪の犠牲を伴う新潟を何とかしなければの想いが強かった。大雪で山を越さなければならない小学生は学校にも行けず、隣村へ出るため住民が自らツルハシをふるって隧道を掘ったが、異常出水、落盤に見舞われ、働き盛りの若い衆の犠牲も多く出た。塩谷地区の雨乞山もその一つだった。そういう地を見れば見るほど、田中の気持ちの高ぶりがあったということだ。『雪は都会人にはロマンだが、新潟では生活との戦いだ』という田中の一貫した口癖が、それを物語っている。田中はわれわれが『あんな所は票にならん』と言っても、ゴム長靴を履き『行ける所まで行くぞ』で率先して入って行ったものだ。運動員は付いて行くのがやっとだった。このときの選挙で塩谷地区から出た票はわずか2、3票だったが、その後も田中はこの塩谷地区を見放すことはなかった。やがてこの地区は田中支持一本になり、総理大臣になったときには隧道を立派なコンクリートの“新塩谷トンネル”建設に手を付け、住民は長く田中を神様扱いで感謝したものだった」 バイタリティーの固まりだった田中は、寝食を忘れ、1日9会場も駆けずり回った。このときの田中の“元気ぶり”を、一方でこう苦笑した柏崎の古老支援者がいた。 「選挙戦で駆け回る中『親方、アンタ寝なくて大丈夫なのかね』と聞くと、田中はシャアシャアとして言っていた。『ナニ、ノミや蚊に食われん所で一杯ひっかけ、2時間も熟睡すれば平気だッ』と。また、1日の選挙戦が終わると反省会があるのだが、場所は決まって柏崎駅裏手の女郎屋。酒が入り、まぁ田中の独演会で終わるのだが、反省会の結びによくこう言っておった。『さあ、皆さん、そろそろ帰ってええですよ。明日もまたよろしくッ』。運動員を追い返し、田中のみ、そこにお泊まりというワケだ。バイタリティーは、当時から相当なモノがあった」 この選挙戦、どうしたものかこの地ではいささか異様なザブトン帽に詰め襟姿の学生たちが、田中陣営の応援に加わっていた。早稲田大学雄弁会の学生たちであった。実は、早大生と田中には接点があった。戦後間もなく、早大の校舎は荒れ果てていたが、『田中土建工業』に工事を頼むと安価で二つ返事で引き受けてくれた。その社長が選挙に出るなら今度はお返しということで、雄弁会の学生がわざわざ応援に駆け付けてくれたということである。 学生たちの演説は、なかなか気の利いたものであった。他の与野党候補が多く語る「農村改革」「議会主義の必要性」などといったカタイものではなく、「皆さん! 今まさに国破れて山河あり。これからの日本にとって大事なことは、何より家族ということであります。家族の延長線に民族があり、その象徴として天皇制があるッ」といったようなことをブッていた。これを見た田中はこの混沌の時代に「家族」という言葉を使う学生に大いに感心、早速、次のように自らの演説に取り入れたのであった。感覚のスルドさは、田中の持ち味である。 「皆さんッ、今一番大事なのは家族ですて。家族を大事にしねぇと、日本はようなりませんよ。家族、何よりも家族が大事なのであります!」 こうして田中は勝ち上がった。4月25日の投票、中選挙区制のもと新潟3区定数5のうち3位当選だった。 かつて母・フメは尋常高等小学校しか出ていない息子の将来を「越後線の駅員にでもなってくれれば」と言っていた。長年苦労した母親として、安定した仕事に就いてくれればそれでいいとの想いのようであった。しかし、この男は勇躍、努力と気迫で国会の赤じゅうたんを踏むことになった。時に29歳、田中は当選から2日後の『新潟日報』紙で次のようにオクターブを上げた。「してやったり」の鼓動が伝わってくるのである。 「新生日本建設の原動力たり得たいと思っている。現下の青年は現実に目覚め、空白状態から立ち上がった。虚にあって真理を追求する若さ、これをどこまでも育んでいきたいと考えておるのであります」 国会での異名は、「チョビひげ野郎」。すこぶる威勢のいい代議士の誕生であった。(以下、次号)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材46年余のベテラン政治評論家。24年間に及ぶ田中角栄研究の第一人者。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書、多数。
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社会 2016年03月20日 14時00分
目玉はナニ? 先行き不安な大阪「舞洲・スポーツアイランド構想」
舞洲地区は、大阪市西部にある約220ヘクタールの人工島。1990年に策定したスポーツアイランド構想に基づき整備され、運動場、ユリ園、キャンプ場などレクリエーション施設がそろう。2008年の招致を目指した大阪五輪でメイン会場が建つはずだったが、01年、大阪市は落選。その後は新たな施設建設が見送られていた。 しかし、ここに来て大阪南港の舞洲人工島で進められている「舞洲スポーツアイランド構想」が、大きな動きを見せている。'13年に練習拠点を舞洲に移転したJリーグの「セレッソ大阪」に加え、今年4月からはプロ・バスケットボールの「大阪エヴェッサ」が舞洲アリーナに、さらに来年には「オリックス・バファローズ」の二軍が移転する。 「舞洲スポーツアイランド構想」は、大阪五輪誘致に向けて計画され、開催の際にはメーンプロジェクトになるはずだった。その後、誘致は失敗し、計画もペースダウン。しかし、セレッソなどの3チームが移転を表明したことでムードは一転。吉村洋文大阪市長も、湾岸エリア活性化の象徴として期待を寄せる。 「3チームが集まることで相乗効果が期待でき、残りの部分の開発にも弾みが付きます。これで夢洲にカジノを誘致し、USJや海遊館の北港エリアと今以上の連携ができれば、湾岸はこれからの大阪の中心になりますよ」(おおさか維新の会の某市会議員) お荷物転じて希望の星のようになりつつある舞洲。だが、実情を見れば喜ぶのは早そうだ。 「3チームが集まっても交通アクセスの悪さは相変わらず。それも二軍や練習場が中心ですから、阪神タイガースでも移転しない限り、今以上の賑わいは期待できないと思います」 とは、あるスポーツライター。交通アクセスの悪さは、そのまま治安の悪さにも繋がっているようだ。 「神戸の空港島もそうですが、広大な土地が空いたままになっていると、どうしても雰囲気が悪くなる。違法なモノの取り引きや外国人犯罪の摘発時には、今も真っ先に名前が挙がります。舞洲には以前、風俗特区、外国人特区のアイデアもあったように聞いている。吉村市長はスポーツとは別の利用法を真剣に考えてはどうでしょう」(舞洲勤務の大阪市職員) 果たして、湾岸エリア活性化なるか。
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社会 2016年03月19日 16時36分
歌って脳も体も元気に! カラオケの健康効果とは
みんなでお酒を飲みに行ったりしたあと、2次会でよく利用するのがカラオケです。定番のコースといってもいいでしょう。 歌って気分もスッキリ、ストレス発散になりますが、実はほかにもたくさんの健康効果があるようです。 今回は、医師の小田切ヨシカズ先生にカラオケの健康効果についてお聞きしました。■歌ってカロリー消費 「歌い終わった際に、画面にカロリー消費量が表示されるものがあります。声の高さや大きさ、発している時間で計測されているようです。どの曲もだいたい10kcal程度ではないでしょうか。1曲12kcalで考えたとして、1時間で10曲歌えば、120kcalほど。ウォーキングのカロリー消費量が、個人差はありますがだいたい1時間150kcalなので、近いものは得られます。歌う際に使う筋肉といえば、腹筋や声帯付近の筋肉。さらに立って歌えば脚の筋肉や背筋なども使うことになるので、さらに消費量はアップ。ダイエットに利用するのであれば、歌い方も工夫するといいですね」■腹式呼吸で自律神経を安定 「歌うときにはよく、腹式呼吸をするように言われると思いますが、これは上半身をリラックスさせる効果があるからです。寝ているときの呼吸法が腹式呼吸であるように、体の力が抜けて、声帯の緊張もほぐれ、声が出しやすくなるんです。また、呼吸の量が安定して、声の高さや大きさなどもコントロールしやすくなります。こうしたリラックス効果により自律神経の働きが整うと、ホルモン分泌も安定して、免疫力が向上したり、更年期症状やうつ症状などの改善が促されます」■カタルシス効果でストレス発散 「人は誰でも、感情をすべて言葉に出して発しているわけではありません。むしろ感情を溜め込んで、ストレスを感じてしまうケースが多いです。歌には、自分の言えないこと、心に秘めた感情が、そのまま歌詞になって表現されていることがあります。そんな歌詞に感情移入して、まるで自分の言葉のように歌い上げる。この感情の浄化こそが、カタルシス効果と呼ばれるものです。自分の感情を表現することで、心が解放され、ストレス発散に繋がります」■脳を活性化してボケ防止に 「カラオケは非常に脳活性に役立ちます。言葉を発するのに左脳が使われ、言葉をメロディーにのせたりリズムを刻むのに右脳が使われることで、脳が全体的に刺激されるからです。他にも、人前で歌うことでほどよい緊張感が生まれたり、歌詞の意味を頭の中でイメージして歌ったりすると、さらに脳は活性化します。ですから、カラオケはボケ防止にはもってこい。若い人だけではなく、高齢の方にこそ用いて欲しいものなのです」 カラオケによってもたらされる健康効果はかなりのものです。でも、場所によってはタバコの煙など、健康を害する影響を受けてしまうのも事実。体のことを考えるのであれば、環境を整えて行うのがいいですね。【取材協力】小田切ヨシカズ湘南育ちのサーファー医師。ワークライフバランス重視。現在、横浜の内科クリニックに勤務中。
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社会 2016年03月19日 14時00分
自由化を目前に蠢動する東電の不気味な“倍返し”
東京電力が福島原発事故で起きた炉心溶融(メルトダウン)の際、社内マニュアルの基準に従えば事故から3日後の2011年3月14日には「メルトダウンと判定できた」と発表した。思い返せば、東電は同年5月半ばまでメルトダウンの事実を公表していなかったのだが、あれからすでに5年がたっている。しかも、社内のゴタゴタにかかわる話で、何を今さらの感がありあり。当然、この“釈明”は憶測を呼んでいる。 新聞・テレビは「それ見たことか」と東電に非難を浴びせた。事故翌日(3月12日)の午後、原子力安全・保安院(当時)の公表担当者が記者会見でメルトダウンの可能性に言及し、これをテレビで見た菅直人首相(同)サイドから「重要な発表は官邸を通せ」と横ヤリが入り、件の担当者が更迭されている。そんな切迫した状況を踏まえれば、東電関係者が放射線量の強さなどから「すでにメルトダウンが始まった」と認識していたのは疑う余地がない。 問題は世間から袋叩きに遭うのを承知で、5年も遅れて事実関係を公表した背景である。 「2月に入ってマニュアルの記載に気が付いた。だから速やかに公表したとの論法ですが、原発事故は今も疼くキズですよ。本来ならば頬かむりを決め込み、マニュアルの存在を無視し続けることも現実には可能だったはずです」 そう前置きして東電ウオッチャーは同社を取り巻く環境の激変を指摘する。一つは福島原発事故で勝俣恒久元会長ら旧経営陣3人が業務上過失致死罪で強制起訴されたこと。もう一つが来月の4月1日をもって東電が持ち株会社制へ移行し、「火力・燃料」「送配電」「小売り」「水力・再生」の4社に分割されることだ。これに伴い世間の関心は電力小売りの全面自由化にシフトしているが、当事者である東電にとっては“生体解剖”の意味を持つ。 「東電には“原発素人”の菅首相が事故直後に現地へ乗り込み、ワーワーわめき散らしたことで現場が混乱し、被害が拡大したとの反発が根強い。原子力安全・保安院のスポークスマン更迭また然りで、そのトバッチリで生体解剖の揚げ句、旧経営陣が強制起訴させられたと思っている。一方、反原発を唱えるだけでエネルギーの将来ビジョンも示せない菅元首相はお咎めなし。東電マンが『なぜわれわれだけ非難されるのか』との強い意識が一連の動きから透けてくるのです」 そのこととの関連性はともかく、電力業界には今、悩ましい問題が浮上している。新電力などの新規参入業者と契約する場合、電力使用量を計測するスマートメーターを新たに切り替える必要がある。ところが、現実には工事が大幅に遅れ、4月1日の解禁に間に合わない可能性が出てきたのだ。たとえスマートメーターの設置が間に合わなくても“見切り発車”は可能だが、新規参入業者にシフトする家庭が多ければ多いほど誤請求の対象になりやすい。まさにパニックの連鎖だ。 問題はそれだけではない。東電から他社へ移行した場合、電気料金は「託送業務システム」を通じて管理し、新規参入企業が料金を請求する。しかし、東電管内だけで2700万世帯もあり、その1割が“脱東電”を図ったとしても簡単には追い付かない。その数がもっと増えれば大規模なシステム障害が現実味を増す。産業向け電力自由化と違って、個人を対象とした電力全面自由化は裾野が広い分、影響は大きいのだ。関係者が辛辣に言う。 「情報システムの遅れは以前から指摘されていた。とりわけ託送業務システムは開発が難航しており、東電から請け負った三菱電機も苦慮しています。まして、世を上げての“東電バッシング”ですからね。新規参入組がウハウハするような電力自由化に、東電はもちろん、三菱電機が距離を置いたとしても不思議ではない。準備遅れを承知で4月にスタートした場合、何が起こるか分からない。土壇場の延期も十分にあり得ます」 折も折、新電力では5位の日本ロジテック協同組合が電力事業から撤退することが明らかになった。資金繰りが急速に悪化したためで、同社は東電に対し、送電線に使う「託送契約」の廃止を申し入れたのに続いて、監督官庁の経済産業省に電力小売りに必要な事業登録の取り下げを申請した。4月に迫った自由化を前に新電力の一角が“破綻”したことで、発電所を持たないトラトラ業者は一転して逆風にさらされそうだ。経済記者が苦笑する。 「口にこそ出しませんが、東電マンは“やっと追い風が吹いた”の心境でしょう。次は強制起訴の汚名を晴らし、菅さんに然るべき責任を取ってもらうこと。“倍返しだ”と勇み立っている雰囲気です」 失うものなど何もない故に、東電が繰り出す“次の手”が怖い。
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社会 2016年03月18日 14時00分
“第2のシャープ”か? 任天堂が藁をもすがるUSJとの提携
任天堂は3月2日、大阪市の米映画テーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を運営するユー・エス・ジェイ(大阪市)とテーマパークの共同展開で基本合意したと明らかにした。スマホの台頭で主力の携帯型ゲーム機『ニンテンドー3DS』の販売が激減しているからだ。 これを受け、先ごろ平成28年3月期の業績見通しを下方修正。当初、本業の儲けを示す営業利益を前期比倍増の500億円と見込んでいたが、一転して330億円に引き下げた。アナリストの予想(平均値)は439億円だったことから、「そこまで急ブレーキがかかったのか」との驚きの声が上がっている。 最終利益も従来予想の350億円から170億円に落ち込む。前年実績は418億円。予想と修正値が余りに懸け離れていることから、外資系証券アナリストが「下方修正値だってぶれかねない。この分だと“第2のシャープ”もあり得る」と危惧しているほどだ。 苦境脱出の切り札として期待を集めるのが大阪市のテーマパーク『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)』との提携だ。任天堂は「マリオ」や「ゼルダ」などゲームのキャラクターや世界観を積極的に他分野の商品やサービスにも展開し、ゲームファンを増やす戦略を進めている。テーマパークへの進出もその一環だ。 テーマパークへの進出はゲームファンを獲得する戦略の一環として、昨年7月に死去した岩田聡社長(当時)が描いたシナリオ。後任の君島達己社長がその遺志を引き継ぎ、攻めの戦略に打って出た構図だ。 「君島社長は銀行出身で、ゲーム機やソフトに関してはズブの素人なんです。彼が下手に口出しすれば、現場はかえって混乱する。その点、USJとアトラクションでタッグを組むこと自体、管理部門担当だった彼にはうってつけでしょう。とはいえ、本業のジリ貧は目に余る。もしもUSJから三くだり半を突き付けられたら天下の笑い物になり、任天堂の株価は大暴落しかねません」(証券アナリスト) 頼みのゲーム機やソフトが売れなければ、キャラクターを全面に押し出すテーマパークの魅力も半減しかねない。捕らぬタヌキの数字いじりで“第2のシャープ”が現実にならなければいいが。
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