社会
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社会 2016年02月07日 16時00分
全日本仏教界vsアマゾン「お坊さん便」サービスを巡る全面抗争(2)
つまり『みんれび』が自社HPで「お坊さん便」を行っていた時は黙認していたが、今回の動きで、対アマゾンに対し抗議の姿勢を示したというわけだ。 全日本仏教会の広報担当が話す。 「お布施はサービスの対価ではなく宗教行為です。かつて『イオン』がHP上で戒名とお布施でこのクラスならいくらということに抗議し、削除していただいたのもそういうことです。今回は『アマゾン』という影響力の大きいネット販売されたことも大きな問題。これが、他のネット大手で次々と行われれば、日本の仏教会にとって大きなダメージになりかねません」 『イオン』が2010年5月、僧侶紹介サービスを開始。HPで“言い値”とされていた読経と戒名のセット価格について、普通戒名を25万円、居士・大姉40万円などと目安額を提示した。 「『イオン』HPでの目安提示には、やはり今回同様、全日本仏教会が削除させた前例があるのです。お布施は、お金持ちや地方の名士などになると定額ではなく、55万円が70万円や80万になったり、その場の状況で数百万、数千万円にもなるケースが一般的。定額表示されれば寺側に定額のみしか入らなくなる危惧に加え、宗教法人の非課税制度の特権が揺らぐことも恐れたのでは」(宗教関係者) 昨今は寺院経営が立ち行かず、住職を放棄する人も増加。全日本仏教会傘下の宗派寺院住職でも「お坊さん便」に登録する僧侶も多いというが、この登録に仏教会からの罰則は一切ない。 全日本仏教会の広報担当者は、 「今回の現象を踏まえ、どこにどう頼んでいいか分からない、『お坊さん便』程度の値段での読経も含め、手が届かなかった層へのより多くの救済、普及も考える必要があることは痛感しています」 と、改革に取り組む姿勢も強調するが、寺院の存立にも影響するだけに一歩も引かない姿勢だ(1月26日に総会を開き『アマゾン』、『みんれび』に対し正式に文書などでの抗議をするかどうかを決定予定)。 これに対し『アマゾンジャパン』広報担当者は、 「この商品は、『みんれび』様の商品。現時点で仏教会にアマゾンに対する抗議も文書もいただいていないので、何とも申し上げられません」 また『みんれび』は、「お坊さんに供養してもらいたいが分からず困っている、資金的に大変だが供養したい方々と、寺院を何とかつなげたい、それが寺院やお坊さんのためにもなります」 と、コメント。 この騒動、どう決着がつくのか。
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社会 2016年02月06日 16時00分
全日本仏教界vsアマゾン「お坊さん便」サービスを巡る全面抗争(1)
格安葬儀のサービス会社『みんれび』(東京都新宿区)が運営する「お坊さん便」が大手ネット通販の『アマゾンジャパン』で商品販売され話題になったのは昨年暮れ。スタートから1カ月たったが、これに仏教会が猛反発し思わぬ波紋を引き起こしつつある。 「お坊さん便」とは、49日や一周忌といった法事の際、読経などを行う僧侶手配サービス。自宅など一箇所での法要は3万5000円、自宅や墓地など2箇所で法要を行う場合は4万5000円、戒名授与は2万円〜。僧侶の紹介・手配手数料は無料で、車代、心づけは一切不要だ。 「消費者連盟などが調査した葬儀費用は、全国平均で約190万円、最高額では1000万円を超えるものもある。そのうち僧侶の読経料や戒名料などは平均約55万円前後。お布施は一般的には僧侶サイドの言い値が多い。一方、『お坊さん便』の場合はネットでワンクリック注文、支払いはクレジットカード利用もOKで明朗会計となっています」(葬儀関係者) 運営する『みんれび』の広報担当者は、「お坊さん便」の発足理由と今回『アマゾン』での販売後の反応についてこう語る。 「『お坊さん便』自体は2013年から始めました。葬儀は以前から行っていましたが、僧侶の手配を頼まれるケースも多くなり、菩提寺がない、遠くて交通費諸々含めると行けないのでどうしたらいいか、さらには僧侶側の寺院維持費が大変だという悩みに応え発足したのです。ベースの3万5000円は、双方の声を聞き設定した価格です」 加えて『アマゾン』でのサービス販売の反応については、こう明かす。 「詳しい増加率は申し上げられないが、自社のHPのみより約5倍近い反応があります。'13年から'15年の3年かけて僧侶登録は400人。しかし『アマゾン』で販売開始してからは1カ月で100人近い僧侶から問い合わせをいただきました」 しかし、このやり方に日本の主だった59宗派組織からなる全日本仏教会が12月24日、齋藤明聖理事長談話を出し反発。その一部抜粋部分はこのようなものだ。 《宗教行為としてあるお布施を営利企業が定額表示することに一貫して反対してきました。お布施は、サービスの対価ではありません。同様に戒名、法名も商品ではないのです。今回の「アマゾンのお坊さん便 僧侶手配サービス」の販売は、まさしく宗教行為をサービスとして商品にしているものであり、およそ諸外国の宗教事情をみても、このようなことを許している国はありません。そういう意味で、世界的な規模で事業を展開するアマゾンの、宗教に対する姿勢に疑問と失望を禁じ得ません。しっかりと対応していきたいと考えます》
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社会 2016年02月06日 15時50分
冬こそ注意! 乾燥する時期の加齢臭対策とは
寒い日が続き、空気も乾燥して汗を掻かない時期、汗っかきの人にとっては助かりますよね。汗の臭いを気にする必要もなくなります。 でも、これで体臭の心配はいらない…ということにはなりません。実は、冬こそが加齢臭に気をつけなければいけない季節なんです。 今回は看護師の大木アンヌさんに、冬の乾燥した時期の加齢臭対策について話をお聞きしました。■まずは症状を自覚 「人間の皮膚には無数に毛穴があり、その奥には皮脂腺が存在します。皮脂の分泌は、体の表面から水分が蒸発するのを防いだり、紫外線から身を守ったりと、バリア機能を果たしています。しかし、40歳前後になるとこの皮脂の分泌にある物質が混じり始めます。それが、ノネナール。これこそが、加齢臭の原因となる物質です。ですから、加齢臭が発生するのは、毛穴の多い部分ということになります。頭や首、胸や脇などです。自分ではなかなか自覚しにくいので、ケアを怠り、知らず知らずのうちに漂わせてしまうケースが多いです」■しっかり保湿 「冬に加齢臭が増えてしまう理由のひとつに、発汗の減少が挙げられます。汗を掻かなくなることで臭いが薄れ、逆に加齢臭が際立ってしまうからです。そしてもうひとつが、空気の乾燥によるもの。皮膚の乾燥を防ごうとしてバリア機能が働き、余分に皮脂を分泌させてしまうからです。予防するには、しっかりと乾燥対策を行うこと。まず風呂で各箇所を念入りに洗い、上がったら必ずローションなどで保湿しましょう」■洗濯をこまめに 「汗を掻かないからと、お風呂に入らないのはもってのほか。洗濯を疎かにすることすらも、加齢臭の原因になります。ノネナールは脂なので、水に溶けにくい。ただでさえ洗濯しても落ちにくいのに、それを放っておいたら大変なことになります。しかも、コートなどは、クリーニングに出すのもワンシーズンごとでしょうから、どんどん臭いのもとを溜め込んでいることになります」■納豆で加齢臭予防 「ノネナールの発生は、生活習慣とも深く関わりがあります。ストレスは、その大きな原因に。だから、寒いからといって、部屋に閉じこもってばかりいるのはよくありません。外に出て気晴らしすることが大事。食べもので言うと、肉料理などの動物性脂肪の過剰摂取も、ノネナールを増加させてしまう原因になります。防ぐためには、抗酸化物質を多く含んだ食品を摂取すること。特に、大豆に含まれるサポニンには高い抗酸化力が見込めます。ですから大豆製品である、納豆や豆腐などはお勧め。納豆にも臭いがありますから、臭いをもって臭いを制す、といったところでしょうか」 男性を対象にした話でしたが、もちろん女性にも加齢臭はあります。女性ホルモンの分泌が減少してくる40代あたりから気になり始めます。自覚がなかなかできないものなので、もし御夫婦であれば、互いの臭いを確認し合って改善するのもいいかもしれませんね。【取材協力】大木アンヌルーマニア人ハーフの看護師。家庭や恋人同士で使える簡単な医療の知識を少しでも伝えていくため、ライターとしても活動中。
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社会 2016年02月05日 15時00分
時効直前! 20年前の日本の殺人事件で逮捕されたタイ町長
タイ警察は1月15日、タイ北部チェンライ県で、ブンリット・ジャンタプン容疑者(56)を、20年前に日本で起きた事件に関連する殺人容疑で逮捕した。 ブンリット容疑者は日本に滞在中の1996年3月24日、茨城県美浦村で知人のプラユット・ガンディーさん(当時37)らタイ人男女2人を殺害した疑いで行方を追われていた。 「ブンリット容疑者は殺害された2人と金銭トラブルを抱えていたとみられ、共犯のタイ人男性2人は事件後に日本で逮捕され、裁判で有罪が確定し服役を終えている。しかし、ブンリット容疑者は、犯行直後の'96年4月に日本から出国しタイに帰国。その後、消息不明となっていたのです」(社会部記者) 日本からの捜査協力を受けたタイ警察が長年にわたり行方を追っていたところ、なんと現在、ブンリット容疑者は地元チェンライ県で町長になっていたのだ。 「日本から帰国後、改名するなどして捜査当局の追及を逃れていたのです。一方で町長としての評判はよく、町村を管轄する行政長官にも任命されていたため、逮捕を聞いた町民や町役場の関係者からは驚きの声が上がっています」(特派記者) タイでは、逮捕後の容疑者が会見し、マスコミからの質問に答えたり写真撮影に応じるのはごく普通のこと。その会見でブンリット容疑は、殺害について全面的に否定するとともに、共犯者の供述にあった殺人の成功報酬150万円についても、「もらっていない、調べれば分かる」などと否定している。 タイと日本には犯罪人引き渡し協定がないため、今後は日本の捜査当局の要請に基づく代理処罰制度により捜査が行われ、裁判はタイで行われることになるという。 タイでの殺人事件の時効は20年。あと2カ月という、まさに時効直前、日本・タイ両国警察の執念が実った逮捕劇だが、真相は明らかになるのか。
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社会 2016年02月05日 10時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第160回 震災時の「談合」が「罪」なのか!?
1月20日、信じられないニュースが飛び込んできた。東日本大震災で被災した高速道路の復旧工事をめぐり、大手道路舗装会社4社が「調整役」となり「談合」したとのことで、東京地検特捜部と公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで強制捜査に乗り出したのだ。 2011年3月11日、東日本大震災発生。太平洋岸の高速道路が津波により、あちこちで分断されてしまった。東京方面から東北へ救援部隊を派遣しようにも道路が通れない事態になった。特に沿岸を走る国道45号が通行不能になったため、大量輸送を伴う救援活動が、ほぼ不可能だった。 国土交通省は被災地の各県や自衛隊、土木・建設事業者と協力し、緊急輸送道路を「くしの歯型」に切り開くことを決定。最も被害を受けた海岸沿いの国道45号の復旧は後回しにし、まずは東北自動車道と国道4号線を優先的に通行可能とする。その上で沿岸被災地に「くしの歯」として、救援活動のための物流チャネルを確保することになった。 「くしの歯作戦」第1ステップは、東北自動車道と国道4号という縦軸ラインの確保であった。総勢52の土木・建設業者のチームが投入され、被災地への啓開作業が始まる。啓開とは、災害時における1次対応で、「災害発生→啓開→応急復旧→本復旧→復興」という一連の流れの基礎となる工程を意味する。 第1ステップで縦軸(南北)のラインが回復し次第、第2ステップとして三陸被災地域へのアクセスとなる「横軸」の啓開が進められた。東北自動車道、国道4号から東へ「くしの歯」を伸ばしていき、救援部隊を送り込むためのチャネルが確保されていく。 早くも震災4日後の3月15日時点で、15の東西ルートが通行可能となった。 くしの歯作戦第3ステップは、国道45号の啓開だった。第2ステップ完了後、休むことなく作業は続けられ、3月18日までに国道45号の97%が通行可能となる。 土木・建築業者の方々の不眠不休の努力により、世界が驚くほどの速さで被災地への物流ルートが確保され、救援活動が本格的に始まった。その後も道路復旧作業は続いたのだが、それが「談合である」と公正取引委員会が問題視し、強制捜査が行われたのだ。 当たり前の話だが、大震災という非常事態が発生した際に、平時同様のんきに「公共入札」などやっていられるはずがない。とにもかくにも早急に復旧工事を開始し、道路を通行可能としなければ、被災地の復興はおぼつかない。 早期の道路復旧のため、特定の道路会社が「調整役」として各業者に仕事を割り振り、速やかに道路を復旧させるための努力がなされたとしても、不思議でも何でもない。というより、むしろその手の調整が行われなかったと聞いたら、筆者は驚いてしまう。 何しろ、東日本大震災は道路復旧が人命に関わる非常事態だったのだ。被災者の命を守るために、現場が相談し、最も速やかに道路復旧が可能な形で仕事を割り振ったとして、罪になるとでもいうのだろうか。 罪になる。と、公正取引委員会は考えているようである。言葉を選ばずに書かせてもらうと、「狂気」だ。 今後、強制捜査に入った公正取引委員会と東京地検特捜部がいかなる結論に至るのかは分からない。とはいえ、「震災時の道路復旧のための仕事の割り振り」までもが独占禁止法違反ということで刑事罰の対象になってしまうのでは、今後、わが国がまたもや大震災に見舞われた際には、東日本大震災のような早期の道路復旧は不可能になることだけは間違いない。 何しろ、現場で仕事を調整するだけで独占禁止法違反に問われるのでは、大手道路舗装会社にしても、率先して何もしようとはしないだろう。結果、道路という物流の基盤がいつまでたっても復旧せず、被災地で国民が死んでいく。 怖いのは、本件に関する各紙の報道を見る限り、 「震災発生時の談合が本当に悪なのか?」 といった論調が全く見られない点である。日本国民は、非常事態発生時には「市場競争」「公正調達」といった寝言を言っていられないという“常識”すら理解できないほどに愚民化してしまったのか。 そもそも、日本の土木・建設の供給能力を維持し、かつある程度の競争を維持するために、「指名競争入札+談合」というシステムが悪であるとは全く思わない。日本が自然災害大国である以上、各地に土木・建設企業が存続してもらわなければ困る。加えて、各企業が競争することで、土木・建設業界には生産性向上に努めてもらわなければならないのだ。 「各地域に企業を存続させる」 「企業間競争により土木・建設分野の生産性を高める」 この二つを両立させるために、「指名競争入札+談合」という知恵を先人たちは生み出した。指名競争入札で「地元」の企業を優先し、公共入札を落札させる。とはいえ、指名に入った企業同士があまりにも熾烈な競争を繰り広げてしまうと、結局、地元から土木・建設業が消滅してしまうことになりかねない。そこで、「ワークシェアリング」の一種として、仕事を分け合う。 地元の土木・建設業は指名から排除されると、仕事がなくなってしまう。というわけで、各企業は受注した工事を「高品質」に仕上げ、各社ともに生産性向上のための投資を続け、指名の枠に残るべく努力する。これが、かつての日本の土木・建設業のシステムだった。 わが国はこのシステムを「市場競争に反する(反しているが)」という単純かつ愚かな考え方に基づき、破壊してきた。揚げ句の果てに、震災時の仕事の割り振りまで「談合」ということで公正取引委員会が問題視する。さらに、その異常性について誰も疑念を抱かない。 このままでは、普通にわが国は「亡国」に至る。もっとも、日本国民である筆者にとっては他人事ではないため、あえて声を大にして叫びたい。 震災といった非常事態発生時に、速やかな道路啓開のために業者間で仕事を割り振り、調整をすることは、当たり前の話である。同時に、それを処罰しようとする考え方自体が、異常極まりないのだ。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2016年02月04日 15時00分
会員も賛否両論!? 『聖教新聞』電子版を開始する創価学会の思惑
日経新聞をわずかな例外として、現状では新聞の電子化に成功例は少ないが、その新聞電子化に創価学会が乗り出すという(2月1日開始)。 「インターネットは嘘ばかりだから見るな、なんて言っていた学会の婦人部連中がたまげていますよ。何せ、昨年11月21日にいきなり告知されましたからね。紙の新聞を持ち寄っての座談会がこれで変わるかどうか。ただし、聖教新聞を購読してもらう啓蒙活動に影響することは間違いなさそうです」(ある中堅学会員) 確かにこれまで、紙媒体という“物”で新聞拡張を行ってきた学会員からすれば、勧誘対象者に「もう電子版で読んでる」と嘘で返されれば、とりつく島はなくなる。また、公称発行部数550万部という聖教新聞の印刷請負が収入のウエートの多くを占める地方紙印刷子会社への影響も、決して少ないとは言えないだろう。 なぜこの時期に電子版発行なのか。 「ひとつは海外の会員からの要望が大きかった。紙だと配布コストもかかるし、実際に手に取れるまでのタイムラグもある。青年部からはタブレットやスマホで購読する方が手軽だし、電車の中で聖教新聞を拡げるのにためらいのある会員もいるのだから、電子化すべきだとの声もありました。そのため、啓蒙活動のある程度の低下には目をつぶって決断したということです」(学会本部関係者) もっとも、都内の青年部活動家からはこんな声も聞こえてくる。 「紙と電子版両方で啓蒙せよと、ノルマ化が始まるのではないか。だからスマホ持ちはビビっていますよ。ネットと無縁の婦人部のオバサン連中はいいけれど、僕ら若い会員にすれば便利になるのか辛いことになるかの見通しがつきません」 もし信仰の本質や活動指針だけを伝える本来の宗教団体機関紙であるならば、紙だけにこだわる意味合いは今後ますます薄れていくだろう。しかし、大企業の広告も掲載されている聖教新聞の場合、電子化の影響がどう出るかは分からない。 「新聞をポストへ取りに行かなくていいとか、文字の拡大が自在で年寄りには朗報とのプラス面はあるでしょう。ただ、紙の月1934円に対して、1700円の購読料のお得感はゼロに近い。あっと言わせるような動画リンクが仕掛けてあるなら話は別ですが」(同) 吉と出るか、凶とでるか。
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社会 2016年02月04日 10時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 中国経済は終わったのか
年初以来、世界同時株安の状況が続いている。その大きな原因になったのが、中国経済の失速だ。 1月19日に中国国家統計局が発表した'15年の経済成長率は6.9%と、25年ぶりの低い伸びにとどまった。だが、7%近い成長率は10年で経済規模が2倍に拡大する率で、けっして悪い数字とは言えない。それでも、株式市場が、なぜ悲観しているのかといえば、中国の経済成長率の数字が信用できないからだ。 そのことは、GDP統計に先だって発表された貿易統計を見れば、明らかだ。'15年の貿易総額(輸出+輸入)は、前年比8.0%減という大幅減だったのだ。特に、輸入は前年比14.1%も減っている。高成長を続ける国の輸入がこんなに減ることは、まずあり得ないだろう。さらに深刻なのは、輸出で前年比2.8%減と、マイナスに転落したことだ。 貿易統計は、輸出入の相手先国の統計があるので、ウソをつけない。そして、中国の輸出が減少したということは、大量生産で低価格品を作り、それを輸出することで世界の工場の地位を獲得するという、中国の経済戦略が行き詰まったことを意味する。 この行き詰まりの最大の原因は、人件費の高騰だ。中国の賃金はこの10年で約4倍にも高騰している。その賃金水準では、低価格品を作る際の採算が合わなくなってきているのだ。 私はミニカーをコレクションしているので、何が起きたのかを、ミニカーで説明しよう。 ミニカーは、製造にそれなりの技術が必要となる上に、塗装や組み立てに人手が要るため、技術力と安い賃金が両立している国でしか生産ができない。 子供の玩具だから、そんなに高い価格はつけられないからだ。 60年代、ミニカーの主産地は、ヨーロッパだった。その地位を70年代に奪ったのが、日本だ。トミーがトミカを発売したのは、'70年のこと。しかし、その後、日本の賃金が上昇したことで、国内生産が難しくなり、'94年に中国製のトミカが誕生する。 その後、じわじわと中国製が増えていき、'00年には完全に中国製に置き換わった。 ところが、その中国の人件費高騰で、'09年にベトナム製のトミカが登場して、いまでも、そのシェアを高めている。 関係者に聞くと、当初のベトナムの技術水準は、話にならなかったそうだ。バリ取りひとつでも、中国はローターを使って一気に行うが、ベトナムではそれができず、人海戦術でヤスリがけをしていたという。 しかし、そのベトナムも、着実に技術を高めてきた。もちろん、中国も技術力を上げているのだが、現在の賃金水準だと、子供用の低価格品は、もう作れない。だから中国製のミニカーは、高価格品にシフトしているのだ。 すでに、中国製であるにもかかわらず、1万円前後もするミニカーが売られるようになっている。もちろん、そうしたミニカーを買えるのは大人のコレクターだけだから、市場は小さく、輸出は減少せざるを得ないのだ。 これと同じようなことが、あらゆる分野で起きている。中国の経済失速は、すでに後戻りのできない構造変化なのだ。
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社会 2016年02月03日 15時00分
ルノーに排ガス不正立ち入り調査 仏政府日産支配への執念
これぞ日産・ルノー連合に仕掛けた、フランス政府の陰謀ではないか−−。 1月14日、15日と連続してルノー株が大暴落したため、そんな聞き捨てならない観測が市場で飛び交っている。 事の発端は1月7日、仏経済産業省がディーゼル車の排ガス不正問題に関連して、ルノー本社や研究施設などを立ち入り調査したことだ。世界を震撼させたフォルクスワーゲン(VW)の不正発覚を機に、当局がルノーにも疑惑の目を向けた図式である。 しかし、VW騒動の二の舞いになることを恐れたのか、その時点でルノーは当局による調査着手を公表しなかった。ルノーの労働組合が14日になって現地メディアにリークしたことから会社側がようやく追認し、これを機に株式市場がパニックに陥ったのだ。 ルノー株は2日間で23%も売り込まれた。すかさず反応したのが同社株の19.7%を保有する筆頭株主の仏政府である。時価総額にして1500億円近い金額が消滅したのだから無理もない。そのため、昨年末まで「春には買い増した約5%の株を売却する」と公言していたマクロン経済相は「納税者に損失となる水準では売却しない。通常の価格に持ち直したら売却する」と前言を訂正した。 これがナゼ陰謀ウンヌンと囁かれているのか。 昨年12月11日、仏政府とルノー及び日産自動車は、仏政府が日産(ルノー43.4%出資)の経営に介入しないことで合意した。日産のルノーへの出資比率は15%(フランスの会社法の規定で議決権なし)だが、もし不当な介入を受けた場合、日産はルノー株の25%以上を買い増すことができる。結果、日本の会社法の規定で日産に対するルノーの議決権は消滅する。 要するに、仏政府がルノーを介して日産への影響力を行使できないよう、一種の“不可侵条約”を撤廃させたのだ。 「ルノーは経営不振に陥っていた日産へ出資し、持分法適用会社に組み込んだのですが、いまや立場が逆転し、ルノーは業績が回復した日産の寄生虫と化している。そこで仏政府は、日産を子会社化すればルノーの好決算につながり、雇用を確保し、株主は高額配当にありつけると考えた。ルノーだって政府の傀儡会社にはなりたくない。だからこそ去年の4月以来、協議を重ねて政府の経営介入を排除することにやっとこぎ着いたのです」(担当記者) その際、仏政府は今年4月に開くルノーの株主総会を機に、発言権を増すべく買い増した19.7%の株式保有比率を15%に戻すと表明していた。だが、株価暴落ショックでマクロン経済相は“継続保有”に含みを持たせたのだ。 「奇妙なのはVWの不正発覚後、ルノーは仏エコロジー省独立調査委員会の調査を受けており、担当大臣は地元メディアに対し『排ガス数値は基準より高いものの、不正なシステムは見つかっておらず、株主と従業員は不安に思わなくてもいい』と説明した。それなのにあらためて立ち入り調査を受け、これを機に株価が大暴落した。うがった見方をする向きはルノー・日産へのしっぺ返しをもくろむオランド政権が、ルノー揺さぶりの一環として株価暴落=株式売却の見合わせを画策したのではないかと囁いています」(関係者) 仏政府は一昨年春、2年以上保有する株主の議決権を2倍にする新法『フロランジュ法』を制定した。これにより今年の4月には、仏政府のルノーへの出資比率が28%程度まで高まることが決まっている。一方、ルノーに15%出資する日産の議決権は認められていない。だからこそ昨年4月以来、仏政府の影響力排除に向けて水面下の協議が続けられ、前述したように昨年暮れに決着した経緯がある。前出の関係者が続ける。 「これで4月の総会までにルノーの株価が回復しなければ、仏政府は5%分の売却を見合わせるだけでなく、法律を盾に28%の議決権を行使するでしょう。そこで日産の買い増しカードを念頭に『外国の法律はフランスに適用できない』と法改正すれば、ルノーを介した“日産支配”が実現する。議決権2倍というとんでもない法律を編み出したオランド政権のこと、奇策の連発もあり得ます」 カルロス・ゴーン日産社長(ルノーCEO)と仏政府の関係が相変わらずギクシャクしているのも、日産には悩ましい。追い打ちを掛けるように日産は昨年の米電気自動車(EV)市場でトップの座から転落、テスラモーターズの後塵を拝した。原油安がEVには逆風だったとはいえ、日産とは対照的にテスラはシェアを伸ばしているのだから皮肉である。 オランド政権には、これもゴーン社長の失点と映る。だからこそ証券アナリストは「ルノーの4月総会が不気味。日産の命運を決しかねません」と警告するのだ。
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社会 2016年02月03日 10時00分
甘利大臣賄賂疑惑で安倍政権総崩れ 橋下「総理」で動き始めた官邸裏(2)
こうした政界不祥事疑惑に加え、株の底なし大暴落が直撃している安倍政権。 元経産省関係者が言う。 「1月22日の相場こそ、前日に欧州中央銀行のドラギ総裁が追加緩和策を示唆する発言をしたことで1000円近くも急反発した。しかし、それでも昨年末の終値から2000円近くも安値になっている。専門家の間では1万円台という恐るべき株価も囁かれています。中国経済の失速、原油安と株大暴落の根本原因は何ひとつ解決されず、アベノミクスの先行きは絶望的。そのため来年4月の消費税10%値上げに伴う軽減税率1兆円の原資は、まったく見通しが立たない。安倍首相は今年夏の参院選を“消費税アップ中止宣言”で乗り切るしかないと、腹を固めたとの話も聞こえてくるのです」 さらに政界事情通の間では、こんな震撼すべき情報が流れているのだ。 「衆参ダブル選挙で、橋下徹前大阪市長の衆院選出馬の方向は、ほぼ確定的になった。仕掛け人は橋下、松井大阪府知事とツーカーの菅官房長官」 裏事情通らの話を総合すると、菅氏の読みと次のステップはこうだと言う。 一度坂を転げ始めた安倍政権は、ダブル選挙でも自公の現政権与党で過半数維持が困難となる可能性が高い。 「不況と政界疑獄で政治不信がピークに達する。頼れるのは共産党主導の国民連合政権しかないのかと諦めムードが流れた時、橋下氏がおおさか維新の看板スターとして華々しく『大阪を変える、日本を変える、世界を変える』と出馬。爆発的人気で相当数の議席を確保できると、菅氏は読んでいる」(裏事情通) ある程度の議席を確保する自公。しかし、過半数には届かない。 そこに、おおさか維新の40から50議席前後が一挙に加わり、“3党連立政権”を誕生させるという読みだという。 「安倍さんは自民大敗の責任で首相の座を退かざるを得ない。そして3党連立で自民党総裁は一歩引く。つまり、かつて小沢一郎氏が'93年、8党連立で日本新党の細川護煕氏を首相にしたあの手法で、橋下氏を指名首班候補にし、一気に首相にするのです。菅さんはいまのままの経済と政界不信が増幅していけば、そうしたシナリオは現実になると見て、すでに根回しを始めている」(政界関係者) 1月15日、橋下氏は大阪市内で企業経営者向けの講演をスタート。この講演を手始めに全国での講演活動を展開するという。 これはまさに「講演」というより「全国遊説」に等しい。 安倍政権崩壊が、いよいよ加速し始めた。
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社会 2016年02月02日 10時00分
甘利大臣賄賂疑惑で安倍政権総崩れ 橋下「総理」で動き始めた官邸裏(1)
建設業S社(千葉県白井市)から甘利明経済再生相サイドへの約1200万円の“献金疑惑”が吹き出し、多くの問題を抱えた安倍政権が崖っぷちに立たされた。政界裏事情通からは「もはや安倍はもたない。菅官房長官は見切りをつけ、裏で“ポスト安倍”への動きを仕掛け始めている」と、驚きの情報まで流れ始めているという。菅氏が担ぎ出そうとしている意中の人はいったい誰なのか。 今回、週刊文春が報じた甘利氏の疑惑記事の内容はこうだ。 (1)S社と、千葉ニュータウン北環状道路を千葉県から請け負ったUR(独立行政法人都市再生機構)の間で、工事をめぐりトラブルが発生。その補償交渉を、S社総務担当者が甘利事務所に依頼。結果、URから約2億2000万円の補償金を得て、その礼に現金500万円を甘利事務所に届ける。収支報告書への記載は自民党神奈川県第13選挙区支部など200万円のみ。300万円が消えた疑惑。 (2)'13年と'14年、同総務担当者が2度にわたり現金入り封筒を甘利氏に手渡す。政治資金未処理疑惑。 白井市の事情通が言う。 「S社は、広い借地にバラックと言っていい建物がいくつか建つ程度で、地元でもそんな会社があったのかと言われるほど目立たない。型枠などの下請け工事が多いとされるが、よく甘利氏サイドに飲食代を含め総額1200万円もの大金が出せたと、驚きの目でみられています」 S社は、会社設立から40年近くが経つ。資本金は約1000万円。 「総務担当者は300万円が消えたと『週刊文春』で証言。しかし一方で、甘利事務所は当時の記録などを調べたが最初から300万円はなかったと秘書らが言い、話が食い違っている。どちらの言い分が正しいか、検証はこれからですが、カネの授受を裏付ける録音も写真も多数あるというだけに甘利氏サイドは相当不利でしょう」(全国紙遊軍記者) 政治資金規正法違反はもちろん、半ば国営のURに大臣事務所が圧力かけ利益をむさぼったとなれば、甘利氏は完全にアウトだ。そんな中、安倍政権の足元を揺るがすもうひとつの“爆弾”と言われているのが、昨年末、国の就学支援金不正受給疑惑で東京地検特捜部のメスが入った、通信制高校『ウィッツ青山学園高校』(三重県伊賀市)に関してだ。 「『ウィッツ青山』の創業者M氏は、自民党有力議員の後援会にも大きくかかわり、さらにはほかの大物議員との交流もあるという。つまり特捜部は、高校だけがターゲットではないとの見方もある。捜査次第では今後、政権与党に大嵐が吹く可能性もあるのです」(『ウィッツ青山』の裏事情を知る関係者)
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