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1億総下流社会突入! 悲惨な業界「人間模様」 〜年収300万円は夢のまた夢〜(1)

〈介護職〉派遣切り後、ヘルパーに転職 昇給・ボーナスなしの年収260万円!

 高齢化社会の到来で雇用が拡大している介護業界。ところが、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(平成25年)によると、老人ホームなどの福祉施設で働く職員の平均年収は307万円と驚くほど低い。
 「きっかけは4年前の派遣切りです。家電組み立て工場をクビになり、その後も半年ほど仕事が決まらなかったんです。そんなとき、ハローワークのアドバイスもあり、ホームヘルパー2級の資格を取って老人ホームで働き始めました」

 そう語るのは、群馬県在住の柚木裕之さん(仮名・45歳)。現在は家賃3万5000円の市営住宅に妻、中学生と小学生の2人の娘と暮らすが、年収は260万円と先に挙げた介護職員の平均年収よりも少ない。
 「しかも、働き始めてから4年間、昇給は一切なし。ボーナスも一度として支給されたことはありません」

 月給は手取りでおよそ17万8000円。妻が地元のディスカウントショップのパートに出るも、世帯年収は330万円しかない。
 「老人ホームで働き始めたときは、昇給もボーナスもあるという話でしたが、いつの間にか、なかったことにされている。それでも今の仕事を失うわけにはいかないので文句は言えません。ホームには私のようにリストラ転職経験を持つ職員が何人もいますが、全員ボーナスなし。会社は立場の弱い我々の足元を見て、最初に交わした約束を平気で反故にしているんです」

 しかも、現場は慢性的な人手不足。人件費の捻出を渋る会社はスタッフを増員する気はないそうで、柚木さんも1人で15人の入所者を担当しており、食事や休憩を取る時間もないとか。
 「24時間体制なので日勤だけでなく夜勤もあり、生活のサイクルがメチャクチャです。もう若くないので疲れはなかなか取れませんし、寝つきも悪い。おかげで今じゃ睡眠導入剤なしでは眠ることもできません」

 年齢的に「これから異業種に転職するのはムリ。そもそも正社員で雇ってくれるところはない」と今の職場で働き続けるしかないと諦めモード。そんな父親の苦労を知ってか長女は、高校卒業後は進学せずに就職すると告げているという。
 「けど、娘は学年で上位5名に入るほど成績優秀で、大学に行きたかったことも知っています。それなのに私の収入が少ないから気を遣わせてしまって…。こんなに低賃金ならヘルパーなんてならなかったのに」

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