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売り込み必死の古田

 予想外の「オファーなし」。一番びっくりしているのは古田敦也前監督本人だろう。ヤクルトを退団した後、ほとんど見かけることがない。先ごろテレビ朝日開局50周年記念特番「野球北京五輪アジア地区最終予選」(12月1〜3日)の特別解説に決定したが、これはあくまで単発の仕事。焦っているのは事実で、可能性のある球団に積極的に“監督売り込み”をしているようである。
 「退団後はあちこちから声がかかる、と古田本人は思っていたはず。ところが現実はその反対。かなりショックを受けているようです」と、古田ヤクルトを取材した担当記者は近況を語る。
 ヤクルト球団も「予想外の出来事」「(古田は)プライドが高い男だけにショックだろう」と首をかしげたり同情したり。
 事情通が注目すべき情報を明かす。
 「古田はソフトバンクの監督になるという話が進んでいたといいます。古田はソフトバンクのトップである孫氏と何回か会っているというんですね。孫氏は王監督の後任にと考えていたようです」
 ソフトバンクは王貞治監督が勇退した後、秋山幸二コーチというのが既定路線と言われてきた。王監督も秋山コーチも、またフロント関係者もそう考えていた。ところが現実はそうとも言い切れないような状況もある。

 「王の後は秋山というのはダイエー時代の話。亡くなった球団首脳の根本幹夫さんが敷いた路線だ。ソフトバンクに経営が移譲したのだからダイエー時代の話は白紙でしょう。孫オーナーの頭の中には、秋山監督構想はあまりないのではないか」と見るのはホークスOBの一人。
 実は、球団内部では「王監督は今季限りで秋山監督に禅譲」と言われていた。だから王監督が「続投する」と言ったときは驚き「何があったのだ」との声が上がった。シーズン終了後、孫オーナーは「体調が続く限り、来季も王監督にお願いしたい」と、監督については王監督に一任し、それを受けて王監督が態度を決めたいきさつがある。
 「王監督が孫・古田の関係を察知したのではないか。王監督にすれば、古田が来れば二軍から引き上げた秋山に顔向けができない。秋山を一軍コーチに上げたのは監督業の勉強のためだった。それなら自分が続投して古田監督を阻止、秋山の芽を残すという手段に出たのだと思う。いかにも王監督らしい筋を通す話だ」とベテラン記者は推測する。
 その通りだとすると、古田氏は華麗なる転身が夢に終わったことになる。振り返ってみると、ヤクルトは退団声明を出した古田氏を引き留めようとはしなかった。あれほど人気のあったスターを「ご苦労さん」のひと言で縁を切ったのは、よく考えてみればおかしな話である。
 「ヤクルトは古田がソフトバンクとコンタクトを取っているという情報をつかんでいたのかも知れない。だから簡単に放り出したとしか思えない」(担当記者)
 古田氏が焦っているのは想像に難くない。「セ、パに限らずあちこちの球団に売り込んでいる、というウワサが流れていましたよ」(ベテラン記者)。
 プロ野球労組・選手会長として史上初のストライキを指揮し、プレーイングマネージャーとして采配を振るった颯爽とした姿は、残念ながらどこにもない。
 いろいろな情報が流れており「楽天の野村監督に頭を下げて入閣を頼んだが拒絶された」「巨人の参謀にと売り込んだ」などという生々しい話もあるほど。そういう意味ではまだ注目の古田氏なのだが、球界の中では“過去の人”になってしまったかのようである。
 「古田は監督のセンスがない。監督と選手の二足のワラジを履くことになったとき、楽天の野村監督が自分の経験から、参謀を置け、と忠告したのを無視した。自分はなんでもできる、というオゴリがあっただけの話」と監督経験のある評論家。
 ユニホーム脱げばタダの人、という見本のようだと言い放つのだが…。

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