購入できるのは、400円の白いビニール傘といずれも1000円の黒い傘、折りたたみ傘の3種類。お金を入れて取っ手を引けば、なかの傘がとれる仕組みだ。天気予報がはずれて雨が降ったとき、売店にビニール傘を求めて客が殺到するのをよく見かけるが、いくらかでもそうした混雑を緩和しているのだろう。
ご存じの通り、駅売店は新聞、雑誌類をはじめジュースや菓子類、たばこなど商品数がめちゃくちゃ多い。新人販売員はこれらの定位置、価格を覚えるだけでも大変らしいが、ベテラン販売員になるとラッシュ時に四方八方から手を伸ばす複数の客を千手観音のように見事にさばく。そんなベテラン販売員でも、急な雨でビニール傘が売れ始めると蜂の巣をつつくような騒ぎになってさすがに混乱すると聞いたことがある。
取材した日は天気が崩れる心配がなく乗客は販売機を素通り。これほど天候に左右される自動販売機はないだろう。
どうせならプロ野球ジャイアンツの本拠地・東京ドームに近いのだから、チームカラーのオレンジ色のビニール傘や対ヤクルト戦用にグリーン色などをそろえてはどうかと思った。東京音頭に乗せて傘踊りを披露するヤクルトファンは天気とは関係なく購入するわけだし、ライバル心を刺激された巨人ファンが食いつく可能性もある。まあ、天気のいい日に無理に売る必要はないか。