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高橋四丁目の居酒屋万歩計「恵や屋」(めぐみや、そば屋)

 東京メトロ銀座線、京橋駅から徒歩250歩

 抽選で当たった映画の試写会に行かれた経験がおありでしょう。なにを見たかは忘れても、だれと行ったかは覚えている、そんなようなことを。都内には、500人から1000人もの観客を収容できる、銀座ヤマハホールとか有楽町読売ホールとかの大試写会場のほかに、業務用の小さい貸し試写室がいくつかある。銀座のユニジャパン試写室、土橋の東京シネセンター試写室、虎ノ門の東京現像所試写室などが、それだ。こちらのほうは一般には開放されておらず、紙媒体(新聞・週刊誌)や音媒体(テレビ・ラジオ)の映画ジャーナリスト用。そんな方々にとって地の利が良い京橋には、映画美学校試写室と、メディアボックス試写室と、ふたつもある。松竹・東宝・東映の邦画3社は銀座・有楽町にあるけれど、洋画のアメリカンメジャーとインディペンデントと呼ばれる独立系配給会社は都内あちこちに散在しているから、批評家やジャーナリストは各社の試写室と貸し試写室とを、毎日めまぐるしく駈け巡っている。1日に2本も3本も“やっつけなければ”ならないこともあるので、ゆっくり昼食はとれない。

 舌の肥えた雑誌記者ご推薦の立ち食いそば屋が、確かこのあたりにあったはずだな。「恵み屋」の出番である。そばは、恵み、更科、田舎、ダッタンの4種類。
 食べ損なった昼食はもういいけれど、のどが渇いた。立飲み一筋の映画評論家ご推奨の店はこのへんじゃなかったかしら。「恵み屋」の出番である。
 「恵み屋」が午後の中休みを取り払ってくれたので、いよいよ使い勝手がよくなった。そして新たに「十割そばの朝定食セット」なるものが、朝7時半から10時まで供されるようになった。モリかカケ、納豆、生たまご、麦飯。これで350円。
 おしまいに、おもしろうてやがてかなしき、試写室の小話をひとつ。“試写室では鬼になれ。爆笑コメディーにゲタゲタ笑うな。メロドラマにオイオイ泣くな。配給会社のおもわくどおりに反応すると、足下を見られて写真料(売り値のこと)をふっかけられる。試写が終わって明りがついたら、笑顔を消して、涙を拭いて、チートモ面白くなかったという仏頂面で出ろ”。公開前に写真料を決めなければ上映プリントがもらえない、地方の映画館主さんたちの間で言い伝わる、まんざらウソともいいきれない、映画の値段交渉のエピソードだが、TBSでそんな親子(映画館主の父とその娘)を主人公にした連続ドラマが作られたことがある。事前取材にみえた方々が、いたくこの話を面白がって、そのとおりの場面が映像化されたはずである。予算1200円。

東京都中央区京橋3-4-3 三光ビル1階

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