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マッチポンプ・ナベツネの大罪

 TBSから住生活グループへの横浜球団身売り事件に関し、巨人・渡辺恒雄球団会長は罪作りなマッチポンプ役を果たしている。その大罪は許されない。

 横浜球団の身売り情報を週刊誌がすっぱ抜いた9月30日夜、巨人・渡辺会長はこう語っている。「残念だけど、TBSも事情があるし、こういう不況でしようがないよね。だけど、だいたいわかっている。ハゲタカファンドとか。ああいうのみたいなのが買ったら、えらいことになる。まともな実業家がね…(買ってほしいという意味か)」
 厳しい現状では、TBSの横浜球団身売りも仕方なしと言い放ち、過去の自分の手柄を強調して見せた。「かなり無理してベイスターズを大洋からTBSに変えるのに、オレがオーナーの時尽力したんだよ。(預かり保証金など総額)30億円もパーにして。本当は協約違反なんだよ」
 TBS側にしたら「ふざけるな」と言いたいだろう。TBSがマルハから横浜球団から買ったのは、買いたいからではなく、巨人・渡辺オーナーから押しつけられたからだ。マルハとニッポン放送が横浜球団の売買に関し合意。都内のホテルで記者会見まで開いたのに、渡辺オーナーが突然横やり。「フジサンケイグループは、ヤクルトの株も持っている。2球団にまたがって株を持つのは、野球協約違反だ」と騒ぎだし、白紙に戻させてしまったのだ。
 「一度は了解したはずなのに、ナベツネさんはなんで心変わりしたのか。どうなっているのか」。マルハとニッポン放送は茫然自失。突然はしごを外した渡辺オーナーは、横浜球団の株を持っていたTBSに対し、「同じマスコミだし、TBSが買えばいいんだ」と無茶ぶり。TBSは仕方なく買わされたというのが真相だ。預かり保証金25億円など総額30億円の加盟料をとらなかったのは、さすがの渡辺オーナーにも無理矢理買わせたTBSへの罪の意識が多少なりともあったからだろう。

 それなのに、今度はTBSと住生活グループが横浜球団売買の交渉中の最中、新潟への本拠地移転の勧めとは、開いた口がふさがらない。そのマッチポンプぶりはひどすぎる。こう堂々と語っているのだから。
 「横浜スタジアムは株主が相当がめついんだよ。使用料も広告も全部もっていかれてしまう。(本拠地球場を)変えれば、今度のオーナー会社もまともな球団運営ができると思う。そういうことをやらないと。考えているだけじゃダメだ」
 正義の味方ヅラして横浜スタジアム側を一刀両断。新潟移転を絶賛したのだ。
 「球場はいいでしょう。巨人も今年(試合を)やったし。新潟日報が50万(部)ある。50万以上ある県紙はそうたくさんない。47都道府県でも。選択肢としてはいいんじゃないかな。ああいうところを使って。成功した例もある。日本ハムだって北海道に行って成功した。そういうことは、いいですよ」
 TBS側も住生活グループ側も本拠地移転など一言も口にしていないのに、大きなお世話の渡辺発言で新潟への本拠地移転話が一人歩きしてしまったのだから、たまらない。渡辺球団会長の許されない大罪。天罰が下ってもおかしくないだろう。

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