昨季は二軍で本塁打、打点の二冠王に輝いたが、一軍での安打数はたった10本(36打席)。チーム打率2割7分8厘(リーグ1位)を誇る一軍の強力打線に割って入るはできなかった。
「09年は一塁にコンバートされたものの、守備難は解消されませんでした。何よりも、必死さが伝わってこないんだよね…。精神面での甘さを克服しないといけない」
在京球団の二軍コーチがそう酷評する。
そんな中田になぜ、『一軍定着の好機』がやって来たと言うと、日本ハム球団の“合理主義”的な発想があるからだ。
こんな“ウワサ”も広まっている。非公式を含め、数球団が日本ハムにトレードを持ち掛けている。日本ハム側は慎重ではあるが、「放出できる選手」として、森本稀哲外野手の名前をチラつかせているというのだ。
昨季、森本は打率2割4分7厘と低迷し、契約更改後の会見でも、「FA権を取得した? こんな成績では恥ずかしい」と、再起を誓っていた。
このオフの日本ハムの戦力補強を見て、分かったことが1つ。チームトップの打点88を稼いだスレッジを失ったにも関わらず、打撃陣の補強に動いていない。そのうえ、森本の放出も視野に入れているということは、「中田を使うから」と見て、まず間違いないだろう。中田は昨秋から外野の練習も始めている。09年のレギュラー外野手は、稲葉、糸井、スレッジ。スレッジがDHの場合は森本、村田、紺田などが左翼に入っていた。一塁には4番・高橋信二がいるだけに、中田にとっては外野手に専念した方が出場のチャンスも広がるだろう。
「今季、38歳になる稲葉をDHに固定する戦略も考えられる。対戦投手によって、高橋をDHにまわし、『一塁・中田』で右打者を揃えることも考えられる」(前出・同)
日本ハムは「現有戦力は必ず使う」の方針。FAや米挑戦にしても「選手の意志を最優先させる」合理主義的な発想である。
中田の飛躍に期待したいところだが、レギュラーポジションは「与えられるもの」ではなく、「奪い取るもの」だ。「そうやって甘やかすから…」と、批判的な声もチーム内部で囁かれていた。