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ドラフト戦線異常アリ! 2014年のキーワードは「外れ1位」(オリックス編)

 今オフ、オリックスバファローズの最重要案件はエース・金子千尋(30)の慰留問題である。救援の平野佳寿(30)も国内FA権を取得した。金子ばかりが騒がれているが、平野はパ・リーグのセーブ王であり(10月6日時点)、『5年連続60試合登板』も果たしたタフネス右腕だ。しかも、近年では少なくなったストレートを武器にできる投手だ。
 「平野のようなタイプはなかなか現れませんよ。今年のドラフト候補にストレートで勝負できそうな投手も何人かいましたが…」(チーム関係者)
 金子、平野の流出も念頭に入れたドラフト指名になるのだろうか。

 オリックススカウト陣は8月19日に高校生の指名候補を30人に絞り込んだという。直近のスカウト会議は10月3日。大学、社会人も含め、60人の指名候補リストを作成したという。
 「加藤君に任せてあるから」
 瀬戸山隆三・球団本部長は事ある度にそう答え、記者団をはぐらかしている。
 その加藤康幸氏とは、昨年まで楽天のチーム統括本部長を務めた“敏腕のベースボール・マネージャー”。ダイエー時代のホークスで球団マネジメイトを学び、スポーツメーカーを経て、楽天へ。ホークスOBの先輩でもある瀬戸山本部長が『球団本部副本部長兼編成部長兼国内グループ長』としてオリックスに招聘したのだ。
 その加藤氏の方針だろう。スカウト陣は今年から『身体能力の高さ』に重点を置いた調査を行ってきた。

 10月のスカウト会議を終えた直後に漏れ伝わってきた情報では、1位候補は3人。4月にチーフスカウトが早大・有原航平を直接視察しているので、筆頭候補と見て間違いないだろう。明大・山崎福也、済美高・安楽智大、前橋育英・高橋光成に対しても複数制で視察していた時期が長かった。『1位候補3人説』が正しければ、有原に山崎、安楽、高橋の3人のうち2人が残ったと思われる。

 こんな情報も聞かれた。
 「甲子園も経験した菰野高の投手、山田大樹もオリックスの上位リストに入っているはず。オリックスは同校出身の西勇輝を08年ドラフトで3位指名しており、信頼関係もできています」(在阪球団職員)
 山田は175センチ。投手としては小柄だが、今夏の三重県大会で6試合に登板し、3完投。単なるタフネス投手ではなく、変化球で“抜く”ことも知っている。安楽、高橋は超高校級と称されるように『力の差』を相手打線に見せつけてきた。山田は彼らとはタイプが異なり、下位打線が相手のときは変化球でゴロ・アウトを稼ぎ、次イニングに向けて体力を備える。奪三振、球速などの数値を含め、安楽、高橋らほど騒がれなかったのはそのためだが、プロのスカウトは「投球のコツを知っている」と高く評価していた。
 西勇輝を育て上げた実績からしても、オリックスはこの山田を上位指名してくるだろう。

 また、リップサービスを控えてきた瀬戸山本部長だが、野球専門誌のインタビューでこう答えている。「一芸に秀でた選手を集めても」−−。
 一芸で光った逸材といえば、非凡な打撃センスを甲子園でも見せつけた智弁学園・岡本和真、『超』の付く強肩捕手・春江工の栗原陵矢、体操選手のような機敏なスピードを誇る横浜隼人の内野手・宗佑磨が予想される。
 この宗は昨春、松井裕樹(現楽天)から2安打を放っている。
 「広角に打てるスピードプレーヤーは人気を集めやすい。でも、プロでやっていくには、あまりにも体が細すぎる。体力トレーニングをしたら、『筋肉=体重増』で長所を消してしまうかも。宗の評価は真っ二つに割れています」(前出・在阪球団職員)
 オリックスは数年後の二遊間を託せる内野手も探している。

 「大阪ガスの猿渡眞之(右投右打)は真っ直ぐ勝負ができ、社会人では主に救援で活躍してきました」(前出・同)
 オリックスもこの猿渡に熱視線を送っていたそうだが…。
 今年は上位指名で投手を、下位で身体能力に長けた高校生を集め、数年後のチーム作りにも着手するようだ。

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