阪神は一時、首位巨人に肉薄したものの、9月に入って6連敗を喫するなど大失速。広島東洋カープとの激しいデッドヒートは最後まで続き、先に全日程を終えた。ライバル広島が1試合残し、両チームはゲーム差なしで並び、勝率の差で2位・広島、3位・阪神の順位となっていた。
10月6日、広島が最後の試合(巨人戦)で勝つか引き分けなら、2位確定。負ければ、阪神が2位という状況下で、広島は絶対エースの前田健太投手を立て、巨人は今季未勝利の宮国椋丞投手が先発。
ましてや、優勝が決まっている巨人にとって、勝敗はどうでもいい消化試合で、広島有利は動かなかったが、勝負はやってみなければ分からない。広島は頼みの綱の前田が8回に打たれて、1-4と敗退。この結果、3位濃厚だった阪神は、他力で2位が確定した。
2位と3位とでは天と地ほどの差がある。2位チームには、CS(クライマックスシリーズ)ファーストステージで、本拠地での開催権が与えられるからだ。ファーストステージは最大3試合だが、入場料、放映権、グッズ等の収入は1試合あたり約2億円とも推定される。2試合で終わっても、約4億円、3戦目に持ち込まれれば約6億円の臨時収入が得られるとあって、2位チームが受ける恩恵は大きいのだ。
そんななか、阪神・和田豊監督(52)は今季で3年契約が切れるが、「Aクラスなら続投」が基本線となっていた。だが、9月に入って失速したことで、球団、電鉄本社の考えも変わり、その去就は流動的となって、新監督候補のリストアップに着手。元監督の岡田彰布氏、金本知憲氏らの名が浮上した。
しかし、他力とはいえ、2位を確定させたことで、球団、電鉄本社は改めて和田監督の手腕を再評価し、続投で意見が一致したもようだ。
ところが、坂井信也オーナーの最終決定が下っていないという。坂井オーナーはCSでの闘いぶりを見て、最終判断をする構え。基本線は和田監督続投に変わりはないが、昨季同様、CSでぶざまな闘いをして、ファーストステージで3位広島に敗退する事態にもなれば、急転直下、オーナーの鶴の一声で、続投が白紙に戻る可能性も秘めている。
(落合一郎)