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「リアル・ミッション」イルカに完敗

 本紙記者が体当たり取材でお届けする突撃ページ、今回のミッションは「イルカのトレーナーに密着」。「イルカと一緒に泳ぐ」という夢を抱き続け、小学2年から5年間、スイミングスクールに通い、かつて“トビウオ”と呼ばれた(?)記者が勇んで出撃。イルカとの夢のランデブーを果たしてきた。

 訪れたのは千葉県の鴨川シーワールド。サーフスタジアムに足を運ぶとイルカショーの真っ最中。白と黒のツートンカラーが特徴のカマイルカが2頭、流線形が美しいバンドウイルカが2頭の合計4頭がパフォーマンスを披露している。前方宙返りや水面から6メートル上方にあるボールにタッチするハイジャンプは豪快。トレーナーと鳴き声で「きらきら星」も歌う。
 トレーナー歴14年の加藤加奈さんの指導で、給餌(きゅうじ)の手伝い。
 エサはサバ、ホッケ、シシャモなど。エラから指を入れて内臓を取り除く。傷みやすい内臓を取り除き、針などが混入していないかを確かめるのは、イルカの体調を管理する上でも大切なひと手間。バンドウイルカは一日に20キロ、カマイルカは15キロの魚を食べる。4回ほどに分けて与えるため、トレーナーは給餌に一日の大半を奪われる。
 実際にバンドウイルカのオリノ(牝)を相手にエサやり。加藤トレーナーに習い、口に魚を投げ入れるように与える。ビッシリ生えた歯にかまれるのでは、と怖い気も…。でも、イルカはエサを咀嚼(そしゃく)せず、丸飲み。歯は魚を捕らえる際に使うだけなんだそう。
 ウエットスーツを着てイルカとの触れ合い。
 まずはプールの浅瀬でスキンシップ。相手は午前中に給餌したオリノ。イルカの肌はツルツル。加藤トレーナーは「ナスに似てますね」と表現していたが、確かにナスの皮の感触にソックリだ。
 次はカマイルカのサム(牡)を相手にプールサイドからサインを出し、アクションを指示した。
 右方から左の方へ、上から下へ斜めにサッと右手を差し出すサインは握手。サムは尾ビレを使って上半身を水面に押し上げ、右の前ヒレを差し出して記者と握手する。
 右手を左肩付近から右の方向にスッと動かす動作はジャンプ。漫才の「なんでやねん」の動きに近い? この動作が早ければ早いほどダイナミックなジャンプをする。自分のサインでイルカがジャンプするのは快感だ。
 いよいよプールの中へ。相手はオリバー(牡)。イルカと一緒に泳ぐぞ。
 基本動作を教わる。イルカを呼ぶ時には右手で水面を叩く。手首のスナップを利かせてバシャバシャって感じ。イルカが来たら、背ビレの付け根を右手で逆手でつかみ、左手を添え、そこから右手を順手に持ち替え、両手でつかむ。
 いざ実践。水面を叩いてオリバーを呼び、右手でつかんで…よし、つかんだ。うっ!? は、速いよ! ギャー、振り落とされるー!!
 途中、あまりの勢いに右手が離れ、左手だけでしがみつく不格好な姿をさらす。グングン引っ張られる感覚は、ボートかジェットスキーのような…海洋生物のパワー恐るべし。
 加藤トレーナーにアドバイスをもらい、2度目の挑戦で何とか成功。それにしても、イルカのスピード感には驚かされた。そして水面を滑る感覚、コレは口では言い表せない感動モノ。とにかく貴重な体験だった。

◎一緒に泳ぎたいなら急げ!!
 鴨川シーワールドではイルカの背ビレにつかまって一緒に泳げる「ワンダフル・ドルフィン」を、今月27日まで1日定員7人で開催中。また11月の金・土・日曜日にはイルカが泳ぐプールでシュノーケリングを楽しめる「ドルフィン・スイム」を実施。10月5日から電話受付開始。詳細はhttp://www.kamogawa-seaworld.jp/index.htmlを参照。

◎突撃後記
 ショーなどの華やかな表舞台の裏には、厳しい現実もあるイルカトレーナー。一日体験し、その一端を垣間見た。
 朝7時にはエサの準備が始まり、朝の給餌。この際、体温を計ってイルカの健康もチェック。その後も3度の給餌と4度のパフォーマンスを行い、ショーの合間にはイルカの訓練も。18時ごろ、日誌を書いて終了。
 加藤トレーナーは「イルカと触れ合える」という楽しさの半面、「冬場はツライ」とも話す。海洋生物が相手だけに、水の中での作業は不可欠。イルカトレーナーになる試験には、筆記試験、面接のほかに泳力も試される。
 それにしても、イルカの背中に優雅に乗る…そんなイメージを抱いていたが、実際には背ビレにしがみつくのが精いっぱい。理想と現実にはかなり差がありましたネ。

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