そんな基地の街を歩いてみよう。
とあるミリタリーファッションの店。カーキ色のミリタリーコートは、誰でも似合いそうなスタンダードなデザインだ。店主は言う。
「20年ぐらいここは何も変わらないね」
ここ、すなわちどぶ板通りは、時々空母が来航しては、阿鼻叫喚のどんちゃんさわぎになる。そして、一か月位するとしーんとしたレトロな通りに逆戻り。週末には、それなりに、混む。そんなことだけを静かに繰り返す。それしか求められていない街なのだから、そんな変わらないのは当然かもしれない。
対照的に現在、ダイエーの脇、海軍ベースのゲートの辺りから、海沿いに15階建てくらいのマンションが非常にたくさん立ち並んでいる。
「多くが東京や横浜からこの地に憧れて越してきた方々ではないでしょうか」(不動産屋談)
いくら意外と地味でも、そんな憧れの町でもあるのは事実のようだ。
週末だというのに、人出はぼちぼち、だ。横須賀中央駅からメインの大通りを中心に、地元の老夫妻と、観光のおばちゃんといった人たちでそれなりに賑わっている(牛丼の松屋すら、おばちゃんだらけ)。中に、学生率少なそうな地元の若者たち(地方から出てきて、いきなり横須賀に住む若者もけっこういる。)が挟まれている、といった横須賀の日常の人口比は特徴的といえようか。
いっぽう、どぶ板の入り口駅の京急・汐入駅は、ときたま学生を大量に吐き出す。ここらへんがおそらくは新規住民層なのかもしれない。
と、前を歩く女性に「シーズ クレィジー ヒュー」などと言い合っている、いかにも飢餓感が漂う軍人さん2人連れとすれ違った。
現在、横須賀市は中小企業企業誘致に躍起になっている。
まあ、都心からはちと遠いのだが、外国人と日本人が静かに友好共存を果たしている、面白い街であることに間違いはなさそうだ。