台東区では浅草橋のほか、隅田公園、新御徒町、仲御徒町、TX浅草駅南の計5カ所の駐輪場で区営レンタサイクルを営業中。浅草橋は午前7時〜午後7時まで、ほかは午前5時〜翌午前0時半まで利用できる。どこで借りてどこで返してもいいから便利だ。
浅草橋管理人の菅沼文武さん(72、写真左)は「週末は観光客も来るけど、平日のほうが盛況ですね。1日平均40台前後を貸し出すうち7割が常連さん。この辺りはビーズ問屋が多く、何軒もちょこちょこ周る営業マンには車より自転車のほうが使い勝手がいいんですよ。違法駐車の取り締まりも厳しくなったしね」と話す。
約10年前、同区が放置自転車対策として開業。引き取り手のない放置自転車から程度のよさそうなものをメンテナンスして貸し出している。浅草橋では常時60台置いているが、台数が足りないこともあるという。取材中もスーツ姿のサラリーマンが「こんにちわ」と何人も借りにきた。下町らしく「これから営業かい?」「体に気をつけなよ」などと必ずひと声かけて送り出している。
管理人は区のシルバー人材センターに登録する地元住民だ。元サラリーマンの菅沼さんが「仲間と働くのは楽しい。家にこもるとボケるから」と笑えば、元自営業の松本かずのりさん(72、写真右)は「家にいても粗大ごみ扱いされるしな」と相づちを打つ。
夕刻、楽しく働く大先輩に背中を押されるように、若いサラリーマンが“もうひと踏ん張り”のペダルに足をかけて下町に飛び出した。